第394話 スケルトンの活動と、交易品と、魔貨

 リッチの領域をクリアと二人旅。

 クリアは例の原初の草の種を蒔きながら歩いている。

 緑がないのが我慢ならないのだろう。


 迷い込んだのかトラ型のモンスターがうろついていた。

 モンスターはスケルトンと交戦中。

 爆発する槍を投げつけられて満身創痍。

 歩けなくなったところで、スケルトンに手をかざされ、何かを吸い取られていく。


 やがて、モンスターは死んだようだ。

 爆発する槍は強いな。

 普通のモンスターなら勝てないのだろう。


 しばらく進むとモンスターの骨が野ざらしにされていた。

 そこに籠を背負ったスケルトンが現れ、骨と魔石を採取していく。

 たぶんスケルトンの材料だろう。


 リッチは侵略する意図はなさそうだ。

 縄張りを守るだけで満足しているのが見て取れた。


「リッチが欲するものってなんだろう?」

「スケルトンが手をかざして吸い取ってたエネルギーってなにかな」


「たぶんだけど、スケルトンの活動から考えるに魔力だと思う」

「魔道具は魔力を作り出せないからね」


「魔法陣なら出来るけどね。太陽光を魔力エネルギーに変えるシステムがある」

「それを持って来たら、リッチが喜ぶかも。草から魔力を吸い取るのじゃなくて、荒野を緑の地に変えてほしいな」


 交易することになったら交易品に付け加えよう。

 作り方はオルタネイトが握っているから、リッチがそれを利用して侵略戦争を始める危険もないだろう。

 魔法陣の塗料の作り方を探るのは容易ではない。


「その他にはないかな。交易の隊商が到着するまでに時間はある」

「リッチの考えが間違っているわ。森と共に生きないと」

「リッチに畑でもやらすか。いや、そこは入植した獣人の出番かな」

「世話をすれば緑は応えてくれる」


 農業と畜産ね。

 獣人にやらせないと。

 リッチとしたら、魔力を持っている奴はみんな餌なんだろうな。

 共存という考えを持たせないと。

 獣人だってスケルトンに魔力を注ぐことは出来る。


 交易なら、魔力を売るって手もあるな。

 獣人の魔力なら余っているし、スライダー国も使わない人は余っている。


 ディッブで作った闘貨みたいな物を作るか。

 ただリッチ側からの輸出品がないんだよな。

 ああ、肝心なことが抜け落ちていた。

 スケルトンは金になる。

 骨が不気味なら木で作れば良い。


 簡単な命令を聞かせられるのなら、農作業とか製造業で役に立つ。

 うんうん、とてもいいぞ。

 もちろん、俺でも簡単なロボットみたいなのは作れる。

 だが、スケルトンほど見事じゃない。

 ノウハウの蓄積は馬鹿にできないからな。


「あと、2つぐらいリッチ側の交易品が欲しい所だが」

「ふむ、スケルトンは寝ないで作業できるのだろう。そしておそらく間違わない。工芸品とかで、そういうのが必要な作業があるだろうさ」


 焼き物も、長い時間火を見ないといけないと聞いたことがある。

 そういうのを探せばいいか。


「スケルトンの有効利用を考えるのが吉か。ここって、何も採れないのかな。鉱脈とか存在してそうだけど」

「魔法で探せば、良いだろう」


 鉱脈の利用は追々だな。

 いま鉱脈を発見するとややこしいことになりそうだ。

 貴金属の鉱脈とか、宝石の鉱脈なんか見つかったら戦争の火種になりかねない。

 人間の欲深さはよく知っている。


 工場をここに作って何かスケルトンに生産させたいな。

 そうだ。

 紙を作らせよう。

 ここには木はないが周りは木が溢れている。


 スケルトンぐらい動ければ、紙漉きぐらいこなすだろう。

 それと工業製品だ。

 スケルトンがロボットみたいに動くのなら、色々な部品が寸分たがわずできるに違いない。


 科学技術が一気に進むな。

 それが良いのか悪いのか分からない。


 銃とか武器を作らなければいいのだが。

 これはリッチと話して、彼の考えを聞かなきゃ判断できない。


 とりあえず闘貨は魔貨という名前にして獣人に作らそう。

 獣人は魔道具を作らないから、魔石は余っている。

 


import magic


magic stone=[]*10 # 魔石

transform_coin(magic_stone) # 魔石をコインの形に


 これで形を作ってと。



import magic


magic stone=[]*10 # 魔石

if magic_power_ck(magic stone) < 100: # 魔力が100以下なら

  magic_power_in(magic stone) # 魔力を入れる

else: # 魔力が満ちていれば

  mp=light() # 光らせる


 中に入れる呪文はこんな感じだ。

 俺はリッチへのお土産にそれを幾つか作った。

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