第383話 弓と、レーザーポインターと、軌道
エルフの主武器は弓。
ここも物語と一緒だ。
モンスターも積極的には狩らない。
先の丸るまった矢じりの矢を撃って、警告を与えるのだそうだ。
賢いモンスターだとこれで逃げて行く。
逃げないのは狂暴な奴か強い奴だ。
肉食はしないので、食用に狩る事もない。
狩ってしまった獲物は、皮や爪や歯などの使える部位を採ったら、森の肥料にするそうだ。
エルフの供養のしきたりらしい。
エルフの亡骸も土に埋め、その上に苗木を植える。
樹になっていき返るというわけだ。
だからエルフにとって樹は同胞なのだ。
墓でもある聖域の樹を傷つけることは傷害罪と一緒。
森の樹も、もしかしたら先祖の村があって聖域だったかもしれないので、むやみに傷つける行為は忌避される。
エルフらしい風習だ。
弓はどうやって作るかというと枯れそうな樹から作る。
エルフで生きて、樹として生きて、道具として生きる。
そういうことだそうだ。
そして、エルフの特殊能力は樹の状態が分かるというものらしい。
小さい頃から樹に耳を当てて音を聞くのだそうだ。
そうするといつの間にか樹の状態が分かるようになるらしい。
他にも力の使い方はありそうだが、掟なのだろうクリアは喋らなかった。
import magic
mp = laser_pointer() # レーザー
str=input('入力したら終わり') # 入力したら終わり
mclose(mp) # 魔法終わり
こんな魔法を作ってみた。
レーザーポインターだ。
弓の照準にどうかと作った。
「こんなのが必要なのは幼子だけだ」
クリアに鼻で笑われてた。
「でもせっかく作ったから」
「まあ、子供への贈り物としてはいいだろう」
「エルフはどうやって狙いを定めるの?」
「森が教えてくれるんだ。森にいる限りエルフは無敵だ」
「出会った時に怪我してたけど」
「モンスターも森の一部だ。一部ではしょうがない」
レーザーポインターは失敗だった。
ちょっと悔しい。
確かにレーザーは風の影響を受けない。
矢を正確に当てるなら風向きを計算に入れないといけないだろう。
プログラムするにしてもちょっと複雑だ。
誘導魔法の応用で矢を当てるのは出来る。
だが、それは魔法矢であって矢ではない。
完全な矢の軌道シミュレーション。
世界システムに任せて端折れば簡単に作れる。
やってみようか。
import magic
import archery
i = 0 # カウンター初期化
j = 0 # カウンター初期化
distance = distance_count() # 目標までの距離算出
inital_velocity = bow_calculation() # 弓から初速算出
while j < 100 : # ループ100回
while i < distance : # 距離の分だけループ
coordinate = coordinate_calculation(i,distance,inital_velocity) # 矢が飛ぶであろう座標を割り出す
mp = plot_holographic(coordinate) # ホログラフィで空中に描画
mclose(mp) # 魔法終わり
i += 1 # カウンターを進める
j += 1 # カウンターを進める
こんな感じの魔法を作ってみた。
矢が辿るであろう軌跡をホログラフィで示す。
要するにスポーツ番組とかでボールの飛ぶのがCGで表示されたりするだろ。
あれと一緒だ
「タイト凄いな。どんな呪文にすればいいのか皆目分からない」
「そんなことより使えるか?」
「うむ、森が囁く軌道と一致している。だが要らないな。これが必要なのは幼子だけだ」
がっくり。
いい出来だと思ったのだがな。
やってみる。
矢の軌道がふらついて表示され地面に落ちた。
素人の引く弓なんてそんなものだ。
これの欠点は分かっている。
矢で狙っているともろばれだからな。
帰ったら弓術の道場にでも売り込んでみようか。
コツを掴むのが速くなるかも知れない。
矢の当たる位置があらかじめ分かるなんて良い発明品だと思ったんだけどな。
幼子用か。
一つ分かったのは、エルフの樹の状態が分かるのはかなり広範囲だということ。
それで葉に当たる風でもろもろを把握していると思われる。
それなら風の予測もし易いよな。
森にいるエルフはフィールドの状態を全て把握しているぐらいに考えた方が良いのかもな。
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