第382話 時計と、タイマーと、リバーシ

 エルフの村にない物があった。

 それは時計だ。

 なければ作ろう。

 ということで作る。


import datetime

import time_wait


datetime_data = datetime.datetime.now() # 日付と日時を取得

print(datetime_data) # 日付と日時を表示

time_wait(3*1000) # 3秒待つ


 こんな簡単な魔法だ。

 ゴザの上に時計の魔道具を置いて、何度もデモンストレーションすると、エルフが魔道具の時計を物珍しそうに眺める。


 興味は引けている。


「これは何だね。日付は分かる。カレンダーは作るから」

「時計だよ。一日を24等分して1時間。それを60等分して、1分。それをまた60等分して秒」

「時間の概念は知っているよ。ただ、それを正しく表示しようとは考えなかった」

「どう、安くしとくよ。買ってがない」

「インテリアとしてもいいか。じゃあひとつもらうよ」


 時計は今まで作らなかった。

 作らなかったのは時計屋があるからだ。

 彼らの生活を圧迫したいとは考えていない。

 ただでさえ、魔法陣の時計が出回っていて、生活を圧迫しているのにだ。


 だから、アナログ時計も作れるが作らない。


import time_wait

import voice


time_wait(60*1000) # 1分待つ

voice("1分経ちました") # 1分待ったというメッセージ


 これは砂時計の代わりだ。

 3分、5分、10分のバージョンを作った。


 いいねと喜んでもらえた。

 今まではどうしていたかというと、ある葉っぱを千切って茎からでる樹液の雫で判断していたらしい。

 葉っぱの大きさで時間が調節できるらしい。

 大雑把だが、エルフらしい。


「タイトの作る魔道具はどれも便利だな」


 クリアに褒められた。


「でもちょっと葉っぱで時間を計る文化が廃れると思うと、やらなきゃよかったとも思う」

「廃れないぞ。葉っぱで時間を計るのは獲物を待つ間の娯楽だ。後ろを向いて雫の数を言い当てたりする。子供達も良くやる遊びだ」


 娯楽がないと色んな遊びが流行るのだな。

 廃れないようで良かった。

 何か娯楽の魔道具を作ってみようか。

 何が良いだろう。

 あれにしよう。


import magic

import reversi


i = 0

mp=stone_board_make(1,40,40) # 厚さ1センチで大きさ40センチの石の板を作る*/


while i<9 :

  groove_make(mp,4+i*4,4,4+i*4,36) # 縦線を引く

  groove_make(mp,4,4+i*4,36,4+i*4) # 横線を引く

  i += 1


mclose(mp) # 魔法終わり処理


i = 0


while i<64:

  mp1=black_stone_piece_make(3) # 石の黒い3センチの丸い円盤を作る

  mp2=white_stone_piece_make(3) # 石の白い3センチの丸い円盤を作る

  magic_join(mp1,mp2) # 魔法をくっ付ける

  mclose(mp1) # 魔法終わり処理

  mclose(mp2) # 魔法終わり処理

  i += 1


 リバーシの道具を作る魔法だ。

 でもエルフは自分の手で作りたがるのだろうな。

 俺のは子供とサンプル作りのためだ。



「遊びの道具を作ってみた」

「どんな遊びだ」


「まずは中央に4つ駒を置いて。俺は先手だから黒。黒の石を置いて白を挟めば良い」


 クリア相手にやり始めた。

 最初は手加減したが、容赦なく俺が勝ち出すとクリアはむきになる。


「ムキー、角の重要性は分かったが、なんで角が取れない」

「熟練者に初心者が敵うわけない」

「もういい。勝負になりそうな相手を探してくる」


 1時間後には木で作ったリバーシが出来ていた。

 嵌った人が続出。

 角に初めから石を置かせるハンデ戦もやり始めた。


「くそう、上手くなったと思ったが、タイトには勝てない」


 クリアがリベンジに来たが、負けた。

 リバーシには定石もあるのだよ。

 それがばれないうちは負けないと思う。


 リバーシセット作成の魔道具は村の宝になった。

 色々とルールができたらしい。

 賭けるなら果物何個までとか。

 クラス分けして、弱い者とやる時はハンデを付けるとか。

 仕事が滞ると困るので一日に5試合までとの規定も出来た。

 喜んでもらえて何よりだ。

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