第368話 新年と、マヨネーズと、準備

 新年を迎えた。

 俺はやっと12歳。

 見た目17歳にしているがな。

 マイラは16歳、大人と少女の中間だ。

 色っぽくもあるし幼さも見える。


 リニアの年齢は分からん。

 17歳で見た目は止まっているからな。


 レクティとセレンは18歳。

 すっかり大人の女だ。


 レクティとセレンはさっそく外回りに行くらしい。

 新年の挨拶回りは商売をする者にとっては重要になるみたいだ。


「マイラ、リニア本年もよろしくな」

「よろしく」

「よろしくね」


「よろしくであるな」


 ランシェもお祝いに駆け付けた。


「母上もよろしく」


「おう、魔道具を作る魔道具の在庫がだいぶ減ってきた」


 元締めは相変わらずだ。


「今年も良い商売を」

「良い商売を」


「このサラダ美味いであるな」

「マヨネーズを使っている」

「ほう、新しい調味料であるか」

「生卵を殺菌するところがみそ。それさえできれば、卵黄と酢と塩を混ぜてから、油をゆっくり入れてかき回すだけ」

「殺菌しないと腹を壊すのであるな」

「必ず危ない菌がいるとは限らないけど、確率論で物を食う気にはなれないよ。生ガキとか美味いけどあれは低確率で当たる。それに海の魚。生で食うと寄生虫がいる場合が。まあ魔法で解決できるんだけど。魔法で解決しないで確率に任せたりはしない」


「マヨネーズを作る魔道具を売ってくれ」


 と元締め。


「駄目だよ。マヨネーズを魔道具を使わずに自分で作ろうとして、病気になる人がでるから。この調味料は俺以外には使わせない」

「材料が分からなければ自作する奴は出ない。口の堅い奴だけでマヨネーズ工場を作りたい」

「駄目だ。秘密は漏れるものだよ」


「金になるのになぁ」


extern MAGIC *magic_make(char *obj,int obj_size,int imege);

extern void magic_alchemy(MAGIC *mp,char *process_data);

extern int mclose(MAGIC *mp);


char mayonnaise[1000]; /*合成する物質1000立方センチ*/

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 char process[10]; /*工程データ*/



 mp=magic_make(mayonnaise,sizeof(mayonnaise),IMAGE_LIQUID); /*マヨネーズを魔法登録*/


 process[0]=EGG_YOLK; /*卵黄*/

 process[1]=STERILIZATION; /*殺菌*/

 process[2]=SALT; /*塩*/

 process[3]=VINEGAR; /*酢*/

 process[4]=MIX; /*混ぜる*/

 process[5]=OIL; /*油*/

 process[6]=MIX_WHILE_ADDING; /*入れながら混ぜる*/

 process[7]='\0'; /*終わり*/


 magic_alchemy(mp,process); /*プロセスに従って錬金*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 マヨネーズ魔法はこんな感じだ。

 材料を手元に置いておかないと、遠距離から質の悪い食材が取り寄せられ、とんでもない不味い味になる。


 注意事項はそれだけだ。


 何事もなく新年のお祝いは済んだ。

 そして、入学式が来る。


 さて、入学式が終われば、新人勧誘活動だ。

 その準備をしよう。

 チラシを複写魔法で作って、ティッシュペーパーと輪ゴムがあれば花を作るところだ。


 ティッシュみたいな薄い紙は魔法で作れる。

 わら半紙みたいなのがあるからな。

 輪ゴムが無かったら糸で良いだろう。

 染料は流石に色とりどりだ。

 わら半紙を染めると、レトロな感じの風合いになる。

 これはこれで良いかもな。


 机を用意して、紙の花を貼る。

 良い感じになった。

 この渋さはちょっと好みだ。


 わらティッシュの花に針金の茎を付けて配ることにした。


「どんな奴が来るか楽しみね」


 とマイラ。


「おも研に来る奴だからどこかおかしいのが来ると思う」


 とリニア。


「ベークと先輩はおかしな奴枠ですけど。僕達兄妹は違います……」


 マイラとリニアに睨まれて口をつぐむコネクタ。

 わいわい、やっているこの感覚が好きだな。

 学園に帰って来て良かったと思う。

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