第7章 魔王大戦編

第366話 帰路と、試験期間と、インテリジェンスアイテム

 リッツがいなくなるだけでも少し寂しい感じがする。

 帰路はなぜかみな無口だ。

 やっぱり、リッツはそれなりに愛されている。

 まあ、死んだわけじゃないからな。

 休学してるだけだ。


 帰路は平和なものだ。

 空飛ぶ家にちょっかいを掛けてくる盗賊などいるはずもないから戦闘は発生しない。

 命は惜しいものな。

 モンスターも同様だ。

 巨大だということはそれだけでアドバンテージだ。


 俺は1年ぶりに王都に帰った。

 さっそく学園に行くと、魔戦士との戦いで壊れていた建物が全て新しいものになっていた。


 季節は試験のちょっと前。


「あー、勉強をすっかり忘れた。もう駄目だ。僕は立ち直れない」


 頭を抱えるベーク。

 ディッブに滞在中に遊んでいるからそうなる。

 そこ行くと、コネクタとベスは余裕そうだ。

 二人は勉強していたからな。


 ラチェッタは優等生なので、確実に単位を取るだろう。

 ベークは適度に頑張れ。

 俺はもう卒業できる単位は全て取得してあるから、慌てる必要はない。


 マイラは受講生だから単位を取ったら箔にはなるが、本人はどっちでも良いみたいだ。

 駄目元で試験を受ける気楽な身分。


 レクティはそろそろ単位が揃うと思った。

 セレンも同様だ。


 リニアはやはり試験を気にしてない。

 もう卒業はどうでも良いと思っている節さえある。


 記憶を何とかする魔法を開発することにする。

 暗示で覚えるのは前にやったから、ニューロンの回路を作るイメージでやる。


extern char liar_checks(char *q,char *mm_name);

extern MAGIC *paper_init(char *paper_material,int paper_size);

extern void paper_draw_color(MAGIC *mp,char *scene_material,int scene_size);

extern int mclose(MAGIC *mp);

void main(void)

{

 char str[256+5]; /*神秘魔法名の格納場所*/


 mystery_magic_name_get(str); /*神秘魔法名ゲット*/

 strcat(str,".soul"); /*神秘魔法名に『.soul 』を連結*/


 memorize("3.141592653589793238462643383279502884",str); /*エロ排除。エロい場面で血が一部分に集まりそうになったらこの数字を唱えるのだ*/

}


 俺はまほうを実行した。

 うん、円周率を覚えた。

 こんなのに頼っていてはためにならないから、ベークには伝えない。

 それにこれでは応用問題は解けない。

 加点は応用問題が高いのは言うまでもないだろう。


 応用問題を解くためのAIの理論も実は少し知っている。

 文章をバラバラにして単語同士の関連性の数値を出すのだ。

 それに従って文章を組み立てる。

 膨大な文章を学習すれば、最初の一言を与えてやると、文章が組み立てられるのだ。


 C言語でそれを組むのは大変なのでしない。

 もっとも世界システムに構文分析とかやらせても良いが、ものすごく魔力を食いそうだ。

 それをすると世界システムが過負荷で止まるかもな。


 それと学習したデータを入れる大規模なストレージが必要だ。

 魔石辺りを使うとしても、かなりの量が必要になる。


 道楽にそんな金は使えない。

 この世界の魔法システムは案外AIで動いているのかもな。

 古代人が作ったとかだといいな。

 世界システムのサーバーを発見して、色々出来たら凄いだろうな。

 ロマンがあるな。


 インテリジェントアイテムだが、この世界には存在しない。

 とにかく思考をさせるというイメージが難しいのだ。

 漠然と【思考しろ】と魔法で命令しても失敗に終わる。

 一番簡単なのは、脳の回路をスキャンしてそれを魔法生命体として作るのが手っ取り早い。

 だが、脳内の回路数は膨大だ。

 とてもじゃないがコピーなど出来ない。


 魂をコピーしても動かないのは知っている。

 肉体と両方が備わらないと駄目なみたいだ。

 たぶん魂はソフトウェアで肉体はハードウェアの役割を果たしているのだろう。


 インテリジェントアイテムは今後の課題だな。

 そんなこんなで試験期間が終わった。


「わたくし、卒業致しますわ」

「私も」


 レクティとセレンは卒業するらしい。


「卒業したらどうするんだ」

「オルタネイト商会の幹部になります」

「私は医者と天文学者かな」


「おう、二人とも頑張れ」

「寮には住みますけど」

「私も」


「好きにするがいいさ」


「なんとか単位をひとつ取ったぞ。同志に手紙を書かないと」


 ベークは単位をひとつ取ったらしい。

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