第362話 深夜の散歩で起きた出来事と、UFOと、説教

 深夜、トイレに起きた俺は何気なく外を見た。

 ぼうっと光る物体が空を移動している。

 UFOかな。

 異世界にUFOはちょっと違うと思う。


 好奇心が頭をもたげた。


 学園の寮から出ると、飛ぶ板の魔道具を起動。

 UFOの追跡を始めた。


 UFOは鋭角的なターンを何度も見せた。

 飛ぶ物体が機械だとしても、あの軌道は難しいだろうな。

 魔法ならどうだろう。

 出来ると思う。


 軌道データ通りに飛ばせばいいだけだ。

 こんな魔法でどうだろうかと頭に浮かんだ。


char clothes[3000]; /*服*/

void main(int argc,char *argv[])

{

 int i; /*カウンター*/

 char orbit[2000]; /*軌道データ*/

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 mp=magic_make(clothes,sizeof(clothes),IMAGEclothes); /*服を魔法として登録*/



 for(i=0;i<sizeof(orbit);i++){

  orbit[i]='\0'; /*方向データ初期化*/

 }


 i=0;

 while(*(argv[1]+i)!='\0' && i!=sizeof(orbit))

  orbit[i]=*(argv[1]+i); /*外部からの入力を方向データに入力*/

  i++;

 }


 magic_move(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*飛ばす*/

}


 ただ、それに振り回される人間は持たないだろうな。

 Gを緩和する結界を作ればその限りではないが。


 生徒の誰かの傑作魔道具かな?

 それなら作った生徒を仲間に引き入れたい。


「タイトどこ行くの?」

「うひっ」


 耳元にいきなり声が。

 婚約者のマイラが飛ぶ板にいつの間にか乗っていた。


「マイラか、びっくりさせるなよ」

「私に一言ぐらい言ってよ」

「今度からそうするよ。で、あれね」


 マイラが光る物体を指差す。


「あれが何だか分かる?」

「風の力で、飛んでいるみたい」


 何だ風の力か。

 というとロボットアニメみたいに、姿勢制御噴射口みたいなのが、沢山ついているのかな。


 学園の塀が見えた。

 飛ぶ板をジャンプさせる。

 エアクッションを展開。

 無難に着地した。


 あの光る物体は今も自由に王都の空を舞っている。

 俺達を追ってきたのか、何か影が塀を飛び越えて来たのが分かった。


 光の魔道具を起動すると、映し出されたそれは、リニアが飼っている狼型モンスターのサイリスだった。


「わふぅ」


 ついて来いと言わんばかりのサイリス。

 俺はサイリスの嗅覚を信じて後を追った。

 サイリスもあの物体を追っているらしい。


 ニヤニヤしだしたマイラ。

 何か面白い事があるのかな。

 物体は王城の天辺の旗の所に停まった。


 この展開には見覚えがある。

 リニアの奴だな。

 リニアは4人いる俺の婚約者のうちの一人だ。

 俺達が来たのが分かったのかリニアが降りてきた。

 その姿はイカと鳥が合体した感じだ。


 地上に降りるとリニアは人間の姿になった。

 リニアの体は多数のモンスターから出来上がっている。

 その姿と能力を借りることが出来る。


「なんとなくイカと鳥が食べたくなったな」


 そう俺は呟いた。


「私が食べたいの♡」


 そう言って色っぽくほほ笑むリニア。


「イカの丸焼きと、焼き鳥で一杯やったら、美味いだろうなと。そんな夜だ」


 空にはまん丸の月が掛かっている。


「ワォォォン」


 サイリスが遠吠えを上げる。


「そうね。バーベキューしましょ」


 アイテムボックスからバーベキューセットと食材を取り出した。

 良い匂いがするぐらい焼けた。


 イカにかぶりつく。

 醤油の香ばしさとイカの旨味がなんとも言えない。


 焼き鳥も美味かった。

 肉汁が何とも言えない。


 深夜に食う飯も美味い。

 成長期だからな。

 何を食っても美味い。


 喉を潤すエールも美味い。

 今夜はとても良い晩だ。


 ひとしきり食ってから学園の寮に帰ると

 おかんむりのレクティとセレンが待っていた。

 二人とも俺の婚約者だ。


「心配してたら、良い匂いをさせて帰ってくるなんて最低ですわ」

「そうです。伝言魔法を飛ばす暇ぐらいあったはずです」


「いや、UFOを見失いそうになったから」

「ユーフォーって何です? 煙に巻こうとしても無駄ですわ」

「あっ」


 俺が空を指差すとその先には光る物体が舞っていた。

 リニア、ナイス。


「まあ、不思議な動き」

「あれがUFOだ」


 二人とも口をあんぐり開けてリニアを目で追っている。

 リニアから、パラシュートが投下された。

 俺はそれをキャッチ。

 それには焼き鳥とイカ焼きが包まれていた。

 あとでサイリスにあげるものとばかり思っていた。


「これ食べて機嫌を直せよ」

「そんな物には騙されません」

「食べ物には罪はないわ。二人で頂きましょう。タイトにお説教しながらでも」


 そういえばマイラもいない。

 くっ、怒られるのは俺の役目か。

 まるでお父さんだな。

 子供を夜に連れ出して、お母さんに怒られる。


 まあこんな夜も良いだろう。

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