第354話 戦勝記念と、ディッブの先行きと、女性社会

 戦勝記念の宴会に突入。

 ディッブ人は本当に宴会好きだな。


 ジャングル産果物のジュースを飲みながら考える。


 ロータリはこれから10年は襲って来ないだろうな。

 10年の間にはまた国際情勢が変わっているに違いない。

 特使としての仕事もそろそろ終わりかな。


 ディッブの内情は都市が4つになって、これからもっと栄えるだろう。

 となるとスライダーに略奪に来る輩が増えるに違いない。

 それはよろしくないな。


 婚約者達を集めた。


「ええと、ディッブをどうするべきかな?」

「マフィアの組織同士の付き合いから考えるに、なれ合いは不味いし。どっちかを下に身て虐げるのも違う。そうすると抗争一直線だから。お互いを尊重して手出しを控えるようにしたいのよね」


 マイラらしく状況をまとめてくれた。


「まあな。だが、ディッブ人の戦士に、スライダーへ略奪に行くなと言っても、聞かないだろう」

「上がルールでガチガチに締めない緩い組織なのよね」


 ディッブ人には法律も規則もない。

 最終的に力がものを言う。

 救いなのは、上にいくほど武道家の精神になっていくことだ。

 そうでなければ達人にはなれないのだろう。

 魔力を使うのは精神力が必要だからな。

 欲まみれの奴は上達できない。

 ある意味潔くて高潔だ。


 山賊が極めると仙人になっていくような社会だな。


「同盟は結んだのよね。もうやることはないと思うけど」

「セレンの言う通りだ。だから困っている」


「ベーク・アンド・リッツ商会が取引しますから、スパイを潜り込ませるのはいかようにもできます。問題が起こったらその時に対処するしかないですね」

「まだるっこしい。もういっそのこと、タイトがディッブ人を支配しちゃえば」


 リニアの意見は極論だな。

 だが、てっとりばやい。

 でも、支配した場合、俺が死んだり衰えたりしたら、ディッブは牙を剥くだろう。

 喜ばしい方策はディッブ人の牙を抜くことだ。


「それは悪手ですわ。のちのちの火種となります」

「じゃあどうするって言うんだ」

「嗜好品などの贅沢品で骨抜きにするのが一番です。豊かになれば争いはなくなります」


 レクティの意見は、もうやっている。

 都市を3つ作って、豊かに暮らせるようにしたからな。


「力で従えるのも上手くない。そういう組織はやがて崩れる。男気とかの組織が長続きする」


 ええとスライダーとディッブで友情を育めと言うんだな。

 外交を始めて交友するのは良い。

 ディッブは戦士なら歓迎する風土だからな。

 ただ、貴族の権威主義の奴とかが派遣されると凄いことになるだろうな。


 問題勃発するのが目に見えるようだ。


 とりあえずの対処法として、ディッブとの国境の村々に迎撃の魔道具を配布することかな。

 でも、たぶん戦士の試練だとか言って、ディッブ人は挑戦するのだろうな。

 逆効果になりそうだ。

 実にめんどくさい。


 ディッブ人の中に警察組織を作ればいいのか。

 うん、なんか良さそうな気がしてきた。

 でも、ディッブ人の気質からすると反発して戦いが各地で勃発しそうだ。


 駄目だ、考えがまとまらない。


「ディッブ人社会を女性社会に作り替えるべきですわ」

「なるほど。女ボスと女幹部が仕切るマフィア形態ね。それもありだと思う」


 レクティとマイラは女社会に作り替えるべしと結論か。


「女性の社会なら馬鹿な行動も少なくなります」

「それなら、付き合っていけるかも」


 セレンとリニアも賛成か。

 ディッブを女社会にすべしか。


 魔導金属や焼き物の利権を握っているのは女性だから、経済的には女性が支配する構図になるだろう。

 ただし、男が女性から奪わない限りだな。

 俺が打つ手としては、ディッブ人の女性を守ることか。

 女性専用武器だな。

 嘘判別を使えば女性かどうか判別できる。

 ステータスアップと集団魔闘術の魔道具にそれを組み込むとして。


 あとひとつぐらい考えるか。

 バリアかな。

 これの魔道具を女性専用にしてディッブに売り込もう。

 それにしても、でた答えが女性社会か。


 ディッブは男尊女卑の度合いが酷いからな。

 4人はそれを見てて思うところがあるのだろう。

 スライダーも女性の権利が男性に比べると少ない。

 政治は男性のものだからな。


 だがランシェみたいな例外もいる、

 レクティもそうだ。

 スライダーは女性が活躍できる土壌がそれなりに育っていると言える。


 そう考えるとこれも一つの時代の波か。

 そうなんだろうな。

 ディッブの女性が持つ権利を拡大する方向で考えるか。

 それが良いような気がしてきた。

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