第355話 女性の権利拡大と、解散選挙と、首都の改革

 方針が決まった。

 女性の権利拡大。


「リッツ、おまえ、もてたいだろう」

「もちろん」

「じゃあ、女性の権利拡大を訴えて活動しろ。女性の味方はもてるぞ」

「そうか、その手があったか」


 ポンと手を打つリッツ。


「手始めに女性から求婚できるようにやってみろ」

「分かった色々と考えてみる」


 めんどくさいことは上手くおだてて他人にやらせる。

 これに限る。


「テラモイミやト・イモセラテイスモイミカ」


 リッツが女性に呼び掛ける。


「キララシ・リナソノ」


 女性からリッツに励ましの声が上がる。

 先の戦争で大活躍したリッツだけあって、人気は高い。


「ハーレム力が上がっている」


 なるほど、リッツのスキルは人気のバロメーターとして使えるのか。

 まあ、仮にリッツのスキルを俺が持ったとしても、あまり嬉しくはないがな。


「ニ・シラミやカ・リニノイ・ニカ」


 そう言って男戦士がリッツの胸倉をつかんだ。

 何を言っているかは分かる喧嘩を売っているのだろう。

 気にくわないらしい。

 リッツは光り輝くと男戦士の手を捻って、地べたに這いつくばらせた。


「ニ・キニヒイ・ナセ」


 男戦士は涙目だ。

 参ったと言っているのだろう。

 ミカカ語は分からないが雰囲気で何を言っているのかは分かる。


 耳障りなのだろう、男戦士達が度々妨害にきた。

 ハーレム力が上がり調子なリッツは、余裕で男戦士達を叩きのめした。

 リッツへの声援は強くなった。


 ますます、調子に乗るリッツだが、残念行動で失敗しなきゃ良いけどな。

 カテラ、カクスイイ、ハラナスの3都市で演説をするリッツ。

 リッツの親衛隊ができた。

 俺は彼女らを魔道具で強化してやった。


 リッツの行動は大きなうねりになった。

 ディッブの女性達も色々と溜まってたんだな。


「我々は議会の解散を求める。テイ・ソチリリ・ハラス・カクイ・シニトトラリナカニラミ・ラハ・セチスリニチモイミカ」


 リッツの次の手は議会の解散か。

 署名は、まあ集まるだろう。


 その行動は、3都市の解散選挙に繋がった。

 リッツは熱を入れて選挙運動した。

 そして、開票の結果、女性議員が過半数を超えた。

 女性の権利を法律で決めるところまでこぎつけた。

 リッツ凄いな。

 エロパワーもここまで来るとなんだかなという感じだ。


「力が溢れてほとんど眠らなくても動けるんだ」

「休息は大事だぞ」

「今が大事だから、こんどこそ失敗しない。大ハーレムを作るんだ」


「分かっているか。大ハーレムなんて政策を打ち出したら、ハーレム力がゼロになるぞ」

「分かっているよ。猫と同じだ。要望を叶えていれば仲良くなってすり寄ってくれる。へたに手を出して撫でると、引っかかれるぐらいは分かっている。学習したんだ」

「そうか。それが分かっているなら何も言うことはない」


 次にどうするかと見ていたら、リッツは首都を改革するらしい。

 首都に乗り込んで、文句を言ってきた戦士をボコボコにした。


「我々は、選挙で議員を選出して、政治を行う改革を提案する」


 リッツが戦士会議で発言する。


「馬鹿らしい」

「やるか」


 リッツが眩しく光輝いた。


「そんな大道芸に騙されるか」

「じゃあやろう」


 闘技場に場所を移した。

 始めの合図とともに相手の上級戦士の手足が光輝く。

 だが、その輝きは弱い。

 上級戦士はリッツにパンチやキックを叩き込み笑った。


「ハエがうるさいな」


 リッツが手を振った。

 吹き飛ぶ上級戦士。

 ハーレム力は強いな。

 いったい何千人分の力だ。


「勝負あり」


 上級戦士は立ち上がれなかった。

 それを見て他の上級戦士達はリッツに敵わないと思ったのか議員選挙を認めた。


 歯ぎしりの音が聞こえた。

 イーサだった。

 まだ死んでなかったんだな。

 てっきりロータリと心中したと思ってたのに。

 イーサみたいな男にとって女性の権利拡大はさぞ嫌なことなのだろう。


 イーサは自分の武力が劣っていると自分でも思っているはずだ。

 だから、勝てる戦いしかしない。

 リッツに挑戦したいが、負けると分かっているから出来ないのだろう。


 イーサは女性に武力で負けている自分が許せない。

 そのうえ権利まで女性有利になったら、我慢ならないと思われる。


 奸計が得意そうな奴だから絶対に何かしてくるな。

 そんな気がする。


 気にくわないかもしれないが、女性議員候補には毒感知の魔道具を配っておくとしよう。

 あとはステータスアップとバリアの魔道具があれば大抵の攻撃はなんとかなると思う。

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