第349話 戦況と、毒感知と、補給路

 ディッブ人は土をまとい、ほふく前進して近づいては奇襲を掛ける日々。

 ロータリの被害は限定的だ。

 ディッブ人は満足しているようだから、問題はないんだろうな。

 ディッブ人は狩りの手法は嫌がらない。

 ただ、集団で狩りをするという方向には向かないみたいだ。

 なぜかというと魔闘術が強いからだな。

 兵士的な思考には行かないのだろう。


 一騎当千の将ばかり集まっている感じか。

 しかし、ロータリも懲りないな。

 じわじわと進軍している。

 ディッブを征服したところで得るものなどほとんどないだろう。


 スライダーとの戦争の足掛かりにしたいのは分かるけど、それで消耗してたら世話が無い。

 魔闘術を封じる魔道具に自信があったのだな。


 俺が魔闘術と似たようなステータスアップの魔道具を作ったから計算が狂ったんだな。

 だが、いまさら兵は退けない。

 いま退いたら、大赤字だ。

 ロータリは商人の国だから、損は嫌なのだろう。

 たぶん、兵を退くと、破産する商人が出るのだろうな。


 命が掛かっているに等しいわけだ。


「レクティ、このままで行くとどうなると思う」

「ハラナスの街まで到達しますね。そこで攻城戦でしょうか。ディッブ人は籠城戦の経験がないですから、あっという間に街を落とされると思います。そこからロータリはハラナスを拠点として攻めるでしょうね」

「俺も同じ考えだ。そして、次はカクスイイの街。そして、カテラの街。で最後は首都だな。ロータリ人は籠城戦は得意だろう。街を取られると不利だな」

「奇襲を掛けるなら補給線ですわね。そうすればロータリ軍の前進は止まるでしょう」

「俺がディッブ人の指揮官でもそうする」


「トレン、補給線を狙え」

「略奪の時間だな。任せとけ略奪は得意だ」


 トレンが意気揚々と出撃していった。

 そして、ディッブ人たちの戦士が物資を抱えて帰って来た。

 これで住めば良かったが、略奪した食料を食った奴の何人かが毒にあたった。

 ロータリも嫌らしいことを考える。

 毒の食料を混ぜるとはな。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>


extern int poison_check(char sample);

extern void speak(char *ss);


char taste; /*味*/

char main(void)

{

 if(poison_check(taste)==1){

  speak("セラニトラミ"); /*毒発見の音声を流す*/

 }

 else{

  speak("トチハイカン"); /*安全の音声を流す*/

 }

 return(taste); /*味を返す*/

}


 リッツに聞いて、ミカカ語の音声に改良した毒探知の魔道具を作った。


 リッツが魔法を欲しがったので、ベークに翻訳させる。

 それをリッツがソ・ミカカ語の魔法にした。


「毒探知なぞ要らん」


 トレンがリッツの魔法を拒絶した。


「でも必要だよ」

「上級戦士は毒に慣れている。大蛇の毒さえ無効化する。だが民には必要だろう。そこは感謝する」


 魔闘術は内臓まで強化するのだな。

 道理で毒が入っていても気にしないはずだ。

 おかしいと思ったんだよな。

 毒を食らった奴が出ても、食料を捨てないのだものな。


 略奪が続いて、ロータリ軍の進軍が止まった。

 どうするのか見ていたら、軍の規模を拡大した。

 輸送隊にも何百人もの護衛が付いている。


 ディッブ人は単独で略奪するので、護衛の数が多いと失敗することもある。

 ロータリ軍はますます膨れ上がった。

 そして、進軍が再び開始される。

 人数が増えたので、その歩みは遅い。


 そして、転移もどきを使った輸送を始めた。

 転移もどきというのは、魔法は召喚魔法なので、物資も召喚できる。

 ただし、距離が離れれば離れるほど、魔力はたくさん必要になる。

 それを小刻みにリレーすることによって解決したのだ。

 ディッブ人が略奪しに行くと、魔法で召喚して物資を移動してしまう。

 小刻みなら魔力が少ない一般兵士でも召喚できる。

 人海戦術、極まれりだ。

 略奪がほとんど空振りに終わるようになって、ディッブ人は飽きてしまった。


 こうなったら、物資の集積地に襲撃を掛けるしかない。

 だが、集積地は厳重に守られている。

 奇襲は難しいだろう。

 何人かのディッブ人戦士が突撃していったが、成功した奴はいなかった。


 集団戦をしないディッブ人の弱みが現れたな。

 トレンはどうするつもりだろう。

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