第346話 戦争準備と、望遠鏡と、エロにかける情熱

 城壁が出来たので、肉食モンスターの襲撃も減っている。

 あとは塹壕とか掘ろうかとも思ったが、ディッブ人の好みじゃないとか言われる可能性が大だな。


 国境付近に石組の見張り台を作った。

 これはディッブ人に受けた。

 高い所は好きなんだな。

 まるで猫みたいだと思わないでもない。


「ディッブ人の気に入る方法で戦争準備は何かあるだろうか」

「首袋とか」


 マイラが物騒なことを言う。


「首を取るような習慣はないぞ」


 トレンがマイラの言を訂正した。


「冗談よ。スラムジョーク」


 舌を出してから、マイラがそう言った。

 笑えない冗談だな。


「戦闘時の食料とかはどうするんだ?」

「水は秘密の井戸があって、食料は干し肉と干し果物だな。どうしても困れば、戦闘中にサバンナの肉食モンスターを狩って食べる。それか略奪だな」


 凄いワイルドだ。

 戦闘中に料理すると言ったら、モンスター狩猟ゲームを思い出す。


「ディッブ人は物に執着しないから、欲しい物が分かりづらい」

「望遠鏡などはいかがでしょうか」


 レクティから建設的な意見が出た。

 遠くを見る魔法か。

 レンズを魔法で作り出すことはできる。

 氷で作ると溶けそうだな。

 石英だと純度が低いので、濁ったレンズができるだろう。


 最低でも2枚の凸レンズがあれば、作れる。

 水で作って保持するのが良いだろう。


#include <stdio.h>

#include <conio.h>

extern MAGIC *water_convex_lens_make(float mana);

extern void keep(MAGIC *mp);

extern int mclose(MAGIC *mp);


void main(void)

{

 MAGIC *mp1,*mp2; /*魔法定義*/

 mp1=water_convex_lens_make(0.1); /*大きいレンズを作る*/

 mp2=water_convex_lens_make(0.05); /*小さいレンズを作る*/

 while(1){

  keep(mp1); /*形を保持*/

  keep(mp2); /*形を保持*/

  if(kbhit()) break; /*何か入力されたら止める*/

 }

 mclose(mp1); /*魔法終わり処理*/

 mclose(mp2); /*魔法終わり処理*/

}


 こんな感じの魔法ができた。


「ディッブ人はこんな物は要らん」


 トレンからのまさかの駄目出し。

 ああ、サバンナで暮らすと目が異様に良くなるんだったっけ。

 テレビでやっていたのを忘れていた。


「大きい望遠鏡は作れますか」


 セレンから要望が出された。


「後で作ってみるよ」

「素晴らしい発明品ですね。持ち運びに便利なのが良いです。望遠鏡はどうしてもかさばるので。部下に持たせたいです」


 レクティにも好評だ。


「儲かりそうな商品をまた作ってしまったけど、これは非売品だな。レンズ職人の職を奪うわけにはいかない」

「えー、買いたいのに」


 残念そうなリッツ。


「どうせ覗きに使うのだろう。却下だ」

「なぜにばれた」

「そりゃそれだけ鼻の下を伸ばしていたら、気づくだろう。普通の望遠鏡を買えよ。覗きは犯罪だがな」

「普通の望遠鏡だと見つかった時に証拠が残る」

「見つかること前提かよ」

「今までの経験から学んだのだ」


「最低ね」


 セレンの言葉に頷く女性陣。


「安心してくれ。リッツには魔法を渡さない」

「こうなったら自分で作るしかないか。幸いにして望遠鏡の知識はある」

「ソ・ミカカ語の魔法でもレンズを保持するのは魔力が食うぞ」

「そこは魔力アップの魔道具で補う」


 ベークが欲しいと言い出さないのはさすがだな。

 ラチェッタに嫌われたくないのだろう。

 だが、裏では『ぐへへ、同志よ。良い魔法を作りましたな』とか言いそうだ。


「リッツ、ソ・ミカカ語でレンズは何て言うんだ?」

「リイミトだよ」

「聞いたか。この言葉が出たら有罪だ」

「くそっ、素直に答えてしまった。でも遠くなら言葉は届かないはずだ」


 レクティの目がキラリと光った。

 お任せ下さいと言っているようだ。

 リッツの重要性は前から上がっているからな。

 レクティが常に部下を張り付けていたも不思議じゃない。

 録音の魔道具は前に作ったから、リッツが不埒なことをしたら、証拠を揃えて問い詰めるだろう。


 しかし、リッツのエロに掛ける情熱は凄いな。

 女性陣の見ている前で覗きをしたいみたいなことを言うんだからな。

 その情熱を他に向けたらいいのに。

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