異世界で俺だけがプログラマー～転生して蘇った前世の知識は魔王級。家族には捨てられたけど、世界法則には気に入られた気がする。帰って来てくれと言われても、もう遅い。プログラム的呪文で最強無双～

第３０３話 ダイアックと、コンニャク魔法と、ベーク

　突然、轟音がして胴体の半分が穴を開けられたように千切れる。

　いったい何が起こった？

　自動完全回復の魔道具が作動して、体が何事もないかのように修復された。

「油断してるから、そういう事になる。魔王とてたわいないな」

「お前はダイアック！　今まで隠れていた奴が何を偉そうに」

　そこにいたのはダイアックだった。

「次は頭を狙う。外したりはしない。それで終りだ」

　くそっ、非常時だからバリアの魔道具は常に展開している。

　それをぶち破ってきたのか。

　バリアブルの秘伝魔法である必滅矢みたいな能力か。

「回転と一点集中だよ」

　マイラが敵の能力を暴いた。

　要はドリルみたいにして、ぶち壊しながら進むってことか。

「ふんっ【破滅槍】」

　ダイアックが気合を入れて、魔法を放つ。

　マイラが素早く動き、何かの魔法を発動。

　破滅槍と呼ばれた魔法は少しそれたようだ。

　俺はまたしても体をえぐられた。

「外したか」

「まあ良いこれで最後だ。【大破滅槍】」

　力技で来たな。

　今度こそマイラの小手先技ではどうにもならないだろう。

「ラチェッタを害する奴は許さん【コンニャク魔法】」

　ベークが魔法を展開する。

　ギュルギュルという音がして、ダイアックの魔法が止まった。

　コンニャク魔法だって。

　なんというダサい魔法だ。

　でもベークありがとう。

　おかげで突破口が見えた。

「ベーク、しばらく頼む」

「おう、今回は負ける気がしない。任せろ」

　柔らかく包み込む魔法だな。

　受け止めれば良いのだろう。

extern MAGIC *adhesive_magic_power_make(float mana);

extern int mclose(MAGIC *mp);

void main(void)

{

　MAGIC *mp;　/*魔法定義*/

　while(1){

　　mp=adhesive_magic_power_make(1.0);　/*粘着魔力*/

　}

　mclose(mp);　/*魔法終わり処理*/

}

　ベークが相手をしている間に、即興で魔法を作った。

「【粘着魔法】」

　ベークが受け止めそこなった魔法を受け止めてみた。

　上手くやれている。

「ベーク、守りは気にするな。ラチェッタは必ず守る」

「分かった。【コンニャクパンチ魔法、１００連打】」

「こんなところでやられるか【破滅槍】。うがっ、あがっ、やめろ。ぐわっ、どはっ、ぐがががぁ」

　ダイアックがプルンプルンしている魔法に叩きのめされ、派手に吹っ飛ばされ転がり止まった。

「それにしても、ベークにこんな魔法が使えるとはな」

「急に閃いたんだ。剛には柔だって。これで僕も魔王かな」

「調子に乗るな。刃の形をした奴には斬られる可能性大だ。それと重力は防げないだろう」

「くっ、必殺技だと思ったのに」

　そして、ダイアックはまだ生きていた。

「もうどうにでもしろ」

「何で戦力を小出しにしたんだ。最初から全力で掛かってくればいいだろ」

「そんなのは最強とは言えない」

「だがお前は普通の生徒に負けたんだぞ」

「俺が弱かっただけだ。知ってたさ。魔導師だった頃、何人もの同僚に、魔法を破られた」

　そうだよな。

　貫通力だけじゃな。

　落ち着いて考えれば、光で目を潰して、目標を見えなくしても良いし。

　逆回転で回転を止めたって良い。

　同じ手で相殺しても良い。

　やりようはいくらでもある。

「とりあえず奴隷化の魔法を受けてもらうぞ」

「俺は敗者だ。勝者の言い分には従うさ」

　やっと終わったな。

　これで魔戦士の集団も自然になくなるだろう。

「あんな奴、私でもやれた」

「マイラなら魔法の流れをどうにか出来たんだろうな」

「まあね」

「わたくしもですわ。毒で弱られることができました」

「私もです。石を体の中に飛ばせれば必殺です」

　そうだな。

　なに一人でやらなくちゃという気になっていたんだろ。

　仲間をもっと頼って良いんだ。

　血まみれでリニアが帰ってきた。

「あー、敵の首領が倒されている。もしかして美味しいところ逃した」

「リニアとの相性はどうだろうな」

「応用力には自信があるわ」

「みんな倒せたという事にしておこう。俺達５人は一騎当千だ」

　ベークを見るとラチェッタとイチャイチャしてる。

　魔法の名前はダサかったが、見せ場はベークが持っていった。

　ベークにはそれぐらいのご褒美があってもいいだろう。

　後見人としてキスぐらい目を瞑るさ。

　ほどなくして、リッツとベスとコネクタも無事な顔を見せた。

　結果として、怪我人は多数でたが、死傷者は驚くほど少なかったようだ。

　しかし、テロに徹せられたら苦しいな。

　何か対策を考えないと。