第300話 腹痛と、透視と、癌切除
まだ、魔法医を見学している。
「どうしました?」
「腹が痛くて」
「どのあたりです?」
魔法医が手を当てて聞く。
「そこそこ、そのあたりです」
「うーん、腹の中にいるモンスターが暴れているのかも知れません。薬を出しておきます」
出たよ、迷信みたいな診断。
腹の中にモンスターがいたら死んでいるよ。
あー、原始的だな。
放射線は危ないから、超音波を使ったエコーや磁気を使ったMRIなんかを魔法で再現するべきかな。
でも原理を知らないんだよな。
困ったものだ。
反射するデータを複雑な計算をして画像にしているのだろうな。
透視魔法は無理なのかな。
いいや、データの処理は世界システムに任せて、超音波で透視とか、磁気で透視とか出来るはずだ。
出てきた画像を読み取るには魔法医が研究しないといけないだろうな。
でも確実に進歩するはずだ。
透視の魔道具でも作ってみよう。
char view[1000][1000]; /*視界*/
extern void inhibits_nerve_transmission(char *view_buf,int size_v,int size_h);
void main(void)
{
see_through_ultrasound(view,1000,1000); /*超音波で読み取る*/
}
これの磁気版も作った。
保存しておく必要もあるだろうから、記録と再生の魔道具も必要だ。
それも作った。
さっきの患者を呼び止めて、セレンが超音波診断する。
「お腹の中ってこうなっているのね。正常な人の物がどうなっているか分からないから診断が下せないわ」
「超音波診断と磁気診断の論文を書いて、臨床結果をまとめたら良い」
「これから忙しくなるね」
次の患者も腹痛だった。
早速セレンが診断する。
俺も記録された画像を見る。
影が映っているな。
癌なのか、炎症なのか、出血なのか、判断がつかない。
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <string.h>
extern void mystery_magic_name_get(char *str);
extern void cancer_resection(char *str);
extern void stop_bleeding(char *str);
void main(void)
{
char str[256+5]; /*神秘魔法名の格納場所*/
mystery_magic_name_get(str); /*神秘魔法名ゲット*/
strcat(str,".body"); /*神秘魔法名に『.body』を連結*/
cancer_resection(str); /*癌切除*/
stop_bleeding(str); /*出血を止める*/
}
癌の切除の魔道具を作ってみた。
患者に魔道具を起動させる。
痛みに顔をしかめる患者。
出血は止まっているようで、痛いだけで実害はなさそうだ。
魔法医も、結果に興味津々だ。
「ちょっと、質問していいかな。悪い出来物が腹の中にできるという病気だと判ったが、切除に危険はないのかね」
魔法医が聞いて来る。
「分からないよ。でも癌が残っていると確実に死ぬ。早いか遅いかの違いだ。この魔道具を使えば助かるかもしれない」
「ふむ、試行錯誤が必要なのだな」
癌治療の魔道具ができた。
これで助かる人もいるだろう。
画像診断と合わせて治療の結果を蓄積すれば、医療が進むに違いない。
「さすがですわね。セレンよりお医者さんらしいですわ」
「俺なんか大したことはない。行き当たりばったりで、やっているだけだ」
「すべての病気が治る魔法は作れないのかな」
とベーク。
「完全回復がそれに近いけど、バックアップを取っても、タイムスタンプが進むんだ。癌とかは防げない。きっと防げない病気も沢山あるに違いない」
「【万病治癒】これでどうだ。あれっ、魔法が失敗した」
「元気になるという漠然としてイメージじゃ駄目だと思うぞ」
体の情報をバックアップして行う完全回復は確かに凄い。
欠損も回復してしまう。
だが、バックアップの時間も進行していく。
癌などはパックアップにも発生する。
生活習慣病もだ。
老化も防げない。
タイムスタンプを操作しても、病からは逃げられそうもない。
とにかく医学を発展させるのには色んな人の偉業が必要だ。
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