第288話 攻撃と、頭上攻撃と、スルー
「そろそろ旗を奪いに行くべきじゃないかな」
コネクタがそう提案した。
「そうなると誰が行くかだな」
ベークの疑問はもっともだ。
「2人と2人に別れるのは愚策だと思うわ」
ベスが意見を述べる。
「では全員で行くのはどうでしょう」
ラチェッタが大胆な提案をした。
「なるほど。防御はトラップ任せにするんだね」
「それだけではありませんわ。既に旗が取られたかの様に偽装します」
激戦の後を偽装するのか。
騙される奴もいるかも知れない。
トラップが生きていると無駄足かも知れないという意識が働くかもな。
どうだろう。
でもやってマイナスになる要素はない。
やる方向で決まったようだ。
魔法で作られた土壁。
所々土壁が壊されていて激戦の後を思わせる。
突破された落とし穴などのトラップ。
偽装工作が終わった。
「よし行こう」
ベークの号令で4人が出撃する。
俺とマイラとリニアがベークについて行く事になった。
「しっ、話し声がする」
ベークは指揮もこなせるようになったらしい。
昔に比べたら凄い進歩だ。
作戦立案能力はラチェッタに負けるけどもな。
「まずは偵察だ。僕とコネクタで行こう」
「それがいいな」
こっそりと敵陣地に近づく。
敵の陣地は川と岩を利用したものだった。
背後には岩があり奇襲が出来ない。
但し、岩の上に敵が来ると、終わりだろう。
そこら辺は考えてあるらしく、警備の生徒が配置されていた。
前面は川。
橋がないので、奇襲をかけるなら回り込むしかない。
橋を架けるのは魔法なら簡単だ。
でもたんなる突撃だと、岩の上からも攻撃が飛んで来る。
狙い撃ちも良い所だ。
「回り込んで、横手から攻撃するのが定石ね」
「駄目ですわ。意表を突かないと。上から攻撃しましょう。木を伝って移動するのです」
マイラやリニアならともかく、ラチェッタ達ではきついだろう。
「具体的には?」
「蔦を魔法で動かして移動するんです。そして落とし穴で使った魔道具を頭上からばら撒きます」
お手並み拝見だ。
まずは蔦を集めた。
ブランコとハンモックを足して2で割った感じの物が出来上がる。
蔦が樹に絡みつく。
足が4本あるので、安定はしている。
1本が解けてするすると動いて樹に絡みつく。
何だか虫みたいな動きだ。
当然ながら、移動速度は遅い。
ばれたら良い的だ。
そして、敵の頭上に到着した。
パラパラとゴミが落ちたのか、敵生徒が見上げる。
魔道具が振って来て、敵陣地は光に包まれた。
改善点は隠密性がいまいちってところだな。
「思ったんだけど、真上を確保する必要はないんじゃないかな」
コネクタの意見はもっともだ。
「僕にも分かった。レールを作って斜め上から魔道具を転がせば良いんだ」
とベーク。
「何でレールを作ろうかな?」
ベスがどうするか考え始めた。
そうめん流しみたいなのを作るのは難しい。
支えがないと持ってられないからな。
俺がやるなら魔法で解決するけど。
「糸を付けてブランコみたいに動かすんです。そして真上にきたら糸を引く。そうすると糸が解けて落ちます」
そういうのも作れるけどもな。
「投げた方が早いかも」
それが早いな。
目的のところに投げるのは技が要るけども。
実験してみる事にしたらしい。
結果は糸でやった方が正確。
ただし、連射性能では投げた方が早い。
「糸につける時に10個ぐらいまとめたらどう」
「蔦で何とかなるかもな。布はあるから、魔道具を10個包めば良い」
さて準備は整った。
次の敵陣地を目指して移動する。
次の敵陣地は塹壕タイプだった。
頭上から魔道具が振って来て、次々に敵生徒がアウトになる。
次の敵陣地は小屋を利用したものだった。
どうする。
頭上から魔道具では駄目だぞ。
「パスしましょう」
「ラチェッタのいう通りだ。簡単に倒せる奴だけやれば良い」
「そうだな。時には退く事も大切」
「まあ、猪みたいに突っ込むだけだとね。でも嫌がらせはしておきましょ。魔道具を降らせればアウトになる人が出るわ。陣地を攻略は無理だけど。点数稼ぎにはなる」
「ヒットアンドアウェイですね」
「まあね」
「よしやろう」
「だな」
一撃だけ加えて、小屋の周りから去る。
悪態が聞こえてきたのは言うまでもない。
そろそろ、リッツと当たりそうだな。
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