第274話 ラブラブ度チェーックと、マイラの異常な愛情と、使節団

「ラブラブ度チェーック!!」


 剣技大会が終わり、引き上げようかと思った時に、救護所から戻ってきたリッツがそう宣言した。

 チャレンジャーだな。


 ラブラブ度占いの魔道具をリッツが起動する。


「やったあ。ソレノは70ある。これって合格って事だよね」

「僕とラチェッタは120あるよ」

「負けた」


 4人の婚約者達がやりたそう。


「やれば良いんだろ。ただし結果は本人にしか伝えない。教え合うのは禁止だぞ」

「わくわく」

「ちょっとドキドキしますわ」

「大丈夫よ。高い数値が出るはず」

「こんなの気にしないわ。でも」


 俺は魔道具を起動して、空中に出る表示を体で隠した。

 マイラとは831か。

 レクティとは99。

 セレンとは106。

 リニアとは105。


 やばい、マイラがダントツだ。

 なんで831もあるんだ。


 それだけ好きって事なのかも知れない。

 マイラを呼んだ。


「マイラとの数値は831だった」

「えっ、999いかなかったの。ちょっとショック」

「他のみんなには言うなよ」

「うん」


 レクティを呼んだ。


「99だった」

「そんなものですわね。始まりが政略結婚でしたから。これから上がる可能性もあるのですよね」

「まあな。体調とか、ハプニングとかでも変わるはず」

「なら気にしないでおきます。愛はゆっくり育むものですから」


 レクティはさほど気にしてないようだ。

 セレンを呼んだ。


「106だった」

「他の人がどうだったかは気にしないわ。100を超えたという事はかなり良いと思っているから。安心してぐっすり眠れそう」


 リニアを呼んだ。


「105だった」

「そうなの。もっと低いと思っていたわ。嬉しい」


 マイラの数字を他のみんなが聞いたら一悶着起こりそうだ。

 とにかく亀裂が入らなそうなので良かった。


 ランシェがやってきた。

 何だろう。


「すまぬ。ディッブに使節団として行ってくれぬか」

「早急にという事?」

「早くても来年であるな」


 ふーん、まだだいぶ余裕がある。


「どういう外交姿勢なの?」

「戦力を見せつけて優位に事を運ぶという方針である」


 それで俺か。

 魔王だものな。

 100万魔力の火球とかデモンストレーションして帰って来いという事だろうな。


「なるほどね」

「奴ら、開戦派が強いらしいくてな。だが、3国を同時に戦うのは無理だと思っているのである。舐められたものであるな。2国までなら余裕だそうだ」


 ディッブは蛮族の国だから、力こそ全てと思っているかも知れない。

 俺にとってはやり易い相手になるのかな。


「その時はドラゴンのアルゴも連れていこうかな」

「そうしてくれるとありがたい」


 ランシェとの話は終わった。


「何だって?」


 マイラがそう聞いてきた。


「来年になったら、使節団としてディッブに行く事になった」

「へぇ、私達も連れてってくれるのよね」

「そのつもりだよ。パーティとかあるんだろうし。パートナーは必要だ。使節団の人に頼むとマイラはすねるだろう」

「まあね」


「ディッブに支店を作りたいものですわ」


 レクティも話に加わった。


「そういうのは事務方がおぜん立てするんじゃないかな。俺はお飾りみたいだし」

「もちろん根回しは致しますわ。1年近くあるのですから」


「ディッブ、どんな国なのかな」

「腕が鳴るよ」


 いくら俺でもどういう事か読めている。

 トレンの国はディッブだろう。

 さっき順位戦の優勝の願いで使節団の話をしていた。

 トレンの強さが一般の兵士だとすると、確かに2国ぐらいは余裕だろう。

 俺がいなければの話だけどな。


「気づいているかもだけど、ディッブはトレンの生国だ」

「蛮族の国らしいね。あの女にぴったりね」

「わたくしもその予想はしていました」

「トレンさんは強そうだけど、もっと強い人がいるのかな」

「あれが基準なら負けないと思う」


 イミキリニトク・ミカカ語を覚えないといけないらしいな。

 挨拶ぐらいできれば十分か。

 リッツは通訳として連れていきたい気がする。

 トレンはたぶん案内役として付いてくるのだろうな。


 まずはディッブに行くまでに、魔戦士の問題は片付けておく。

 俺が留守の時に危険があるようなら、ラチェッタとベークもディッブに連れていこう。

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