第263話 入学式と、研究テーマと、包容力
今日は入学式。
ラチェッタの親代わりとして、肉体年齢を30歳ぐらいにして出てみた。
「入学おめでとう」
「ありがとうございます」
俺は祝いの言葉を述べて花束を渡した。
「「「「「おめでとう」」」」」
「ありがとうございます」
おも研のメンバーも祝う。
ベークも花束を用意したようだ。
レクティに魔道具を売って金回りは良いからな。
プログラム的魔法なら、魔道具の生産は容易い。
ベークの新魔法でも普通の人の10倍の量が作れる。
金儲けに走って堕落しなけりゃ良いけど。
「ラチェッタは魔導師を目指すんだろ。研究分野は決まったのか?」
「テーマは神の研究ですわ」
なるほど。
それは俺も謎だ。
魔法システムを作った何者かがいるはずだ。
神なのかそれとも天才的な人物かは分からないが、魔法の存在からして何者かがいる事は間違いないだろう。
「とっかかりはどこからだ?」
「特殊能力からですわ。元魔導師の人間から、そのような物があると聞いてます」
スキルの事だな。
「詳細は話せないが、俺も持っている」
「神の愛なのではないかと思っております」
魔法システムを作った者が管理しているか、管理システムを作ったのだろう。
「愛かどうかは分からないが、調べれば何かが見えてくるはずだ」
「幼少期の経験が作用していると思われます。これは神が性格を判断して与えているのではないかと。ただ空間魔法の取得条件が分からないのです」
「他は分かったのか」
「おぼろげなら、姿隠しは疎外されている人間に多いようです。人間関係だと思われます」
「ラチェッタはないのか?」
「ございます。神託ですわ。稀に言葉が降りてきます」
「どんな言葉が降りて来るんだ」
「神は変化をお望みのようです」
「進化を望むか」
それじゃ、まるで俺達はモルモットだな。
そこに行くと俺なんかは神の意に沿って動いているようだ。
「ラチェッタ、僕のとの付き合いに関しては何か言われた?」
「いいえ」
「良かった。神の意思でラチェッタが僕を好きになったと言われたら、ちょっと複雑な気分になるところだった」
「おじさまなタイトも素敵」
とマイラ。
「ですわね」
そうレクティ。
「私も包容力というか、好みです」
頬を赤らめるセレン。
「そうよね。男性は頼りがいがないと」
リニアもまんざらでない様子。
30歳のタイトは今日1日だけだ。
存分に愛でてくれ。
「僕も頼られる男になるぞ」
「同志よ。目指そう包容力」
ベークとリッツが何やらほざいている。
精神年齢が違うのだよ。
諸君にはまだ早い。
肉体年齢を操作してもおじさんにはなれない。
「リッツ、おも研の出席が最近、悪いぞ」
「いやぁ、デートが忙しくって」
「そんなだとまた年末の試験の時に慌てる事になるぞ」
「大丈夫。暗示魔法と計算魔法があれば無敵だよ」
「だと良いが。金がよく持つな」
「ベーク印の魔道具を一緒に作っている。あれは良いね。短時間で稼げる」
「お前ら、レクティに感謝するんだな」
「しているよ」
「うんうん」
「意味が分かってないだろう。俺から新呪文を聞き出せば、レクティは好きなだけ魔道具を作れるんだぞ。俺がレクティにお願いされたら二つ返事だ」
「そんな」
「しないよね」
「致しませんわよ。でもその選択肢はとっくに検討済みです。それをしてラチェッタさんの機嫌を損ねるマイナスが大きいのでやめました」
「ラチェッタのバックは大きいからな」
「ええっ、ラチェッタのおかげだったのか」
「同志よ。包容力には程遠いな。ラチェッタの方が包容力がありそうだ」
「リッツ同志、ソレノの方が包容力があるぞ」
「ぐっ、それを言われるとつらい」
「頑張ろう」
「そうだな。同志よ」
「リッツも論文を出せ。通らなかったらソレノと別れろ」
「そんな。なんの権利があって」
「ソレノはレクティの部下に当たる人間だ。レクティがリッツの為にならないと思えばそうなる可能性も高いな」
「嘘だ。嘘だと言ってくれ。俺の論文が教授に通るわけないだろ」
「レクティ、リッツがそんな事を言っているが」
「将来性のない殿方とソレノがお付き合いするのは不幸の源です」
レクティはリッツとソレノを別れさせたがっていたからな。
「ええっ、何を研究したら良いんだ」
「1年ある。じっくりと考えるんだな」
「リッツ同志よ。頑張ろう」
「くそっ、飛び火した気分だ。対岸の火事だと思っていたのに」
「兄さん、必死ですね。見苦しい気もします」
「だな」
「そのうち、ベスとコネクタにもやってもらおうかな」
「私は構いませんよ」
「くそっ、飛び火した」
リッツの事だからなにか捻り出すだろう。
ベスとコネクタは優秀だから何か出すはずだ。
ちょっと楽しみだ。
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