異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った前世の知識は魔王級。家族には捨てられたけど、世界法則には気に入られた気がする。帰って来てくれと言われても、もう遅い。プログラム的呪文で最強無双~
第240話 ゴブリン農場と、ゴブリンの起源と、ゴブリン語の論文
第240話 ゴブリン農場と、ゴブリンの起源と、ゴブリン語の論文
夏休みも終わり、王都も落ち着いた。
休み明けの学園の行事と言えば、職業見学。
俺達はもうやったからやる必要はない。
ベス、コネクタ、リッツ、ベークはまだなので、俺達が連れて行く事にした。
魔道具関係は大体網羅したから、別の場所に行ってみたい。
今回は、ゴブリン農場にお邪魔する事にした。
世話した茶トラ猫も元気にしているようだ。
ゴブリンに交じって昼寝をしている。
「お世話になります」
「何にもないところですが、存分に見ていって下せぇ」
俺は何回も来ているから目新しさはない。
あいかわらず、ゴブリンは魔道具を使って文明的な生活をしている。
魔法は覚えないのかな。
教えてみる事にした。
「【火よ点け】」
俺は火を点けてみせた。
ゴブリンは点いた火を不思議そうに見ている。
言葉が理解できないのかな。
「【翻訳ゴブリン語『火よ点け』】」
ゴブリンの言葉で翻訳はされなかった。
俺はゴブリン語を知らない。
翻訳される訳はないか。
「グギャグギャギャギャ」
リニアがゴブリンと喋り始める。
「リニア、ゴブリン語が分かるのか」
「まあね。一時期ゴブリンの魂も入っていたから」
「魔法の使い方をゴブリンに教えてみないか」
「暇つぶしには良いかもね」
リニアがゴブリンに魔法を教える。
ついにはリニアが癇癪を起した。
「どうどう、何が起こった」
「ゴブリン語には火を意味する単語がないのよ」
「野生のゴブリンは火を使わないからな。水ならどうだ」
「やってみる」
ゴブリンは魔法で水を出せるようになった。
知的生命体なら魔法は行使できるのだな。
ドラゴンも魔法を使えるのだろうか。
前世の小説ではドラゴンも魔法を使ってたな。
ドラゴンの言葉でも可能なような気がする。
『アルゴ、ドラゴン語で魔法を使ってみろ。成功したら神秘魔法名カニキクカに返答を寄越せ』
そう伝言魔法で伝えた。
返事は来ない。
アルゴの頭の良さなら、魔法ぐらい容易く出来そうなんだが。
そして3時間後。
『苦労しました。やっと魔法が出来ましたよ』
アルゴから返答があった。
『どこに苦労した』
『ドラゴン語は受け付けてくれないようです。人間の言葉で念じたら成功しました』
この世界の魔法システムにはドラゴン語は含まれていないようだ。
ゴブリン語はいけるのにな。
人型かそうでないかで分けられているのかな。
ゴブリンにも人間の遺伝子の何%かが含まれているのかも知れない。
前世の小説ではゴブリンは人間と子供を作る事が出来るという設定だった。
この世界ではそんな事はないが。
とにかく、ゴブリンは人間に近いらしい。
骨格からして大体同じだから、頷ける話だけどね。
「もう嫌。ゴブリンは何て頭が悪いの」
「火の魔法は駄目だったか」
「火が燃える原理を説明したけど、理解して貰えなかった」
水が使えるのでも、生存確率は上がるだろう。
野生に余計な知恵をつけたかな。
「ゴブリンが魔法で逆襲したりはしないかな」
「魔法を使うゴブリンはいるみたい。遥か昔だけどね。ゴブリンの昔話にあると言っているわ」
「浸透しなかったのか」
「ゴブリンは教育するという文化がないみたい。本能でこなしているみたいね」
教育しなければ、伝わらないよな。
ゴブリンの分化には文字がないので、教育もへったくれもない。
結局は文化の差で魔法の力が決まるらしい。
「先輩、ゴブリン面白いよ。連れてきてくれて、ありがとう」
リッツが来て言った。
「どんな所がだ?」
「可愛いよね。言葉を理解しているし」
「可愛くはないけどな」
「もふもふは正義」
「たしかにここのゴブリンは毛が生えているけども、猫とか犬じゃないんだぞ」
「1匹飼ってみようかな」
「野生の奴は、ある日突然、反逆するぞ」
「そうなんだ」
「こいつら年に何回か歯向かってきますぜ。俺達も一人では世話しないようにしております」
「ほら、猛獣なんだよ」
「ちぇっ」
「だけど、品種改良が進めば、飼えるようになるかも。ここで飼育しているのも大人しいのを選別している。10年も経てば何とかなる可能性もある」
「俺、ここに就職してみたい」
「魔法学園を卒業したら、紹介してやろう。そうだリニアにゴブリン語を習うと良い。役に立つはずだ」
「ええー、私が教えるの」
「ゴブリン語に関する論文でも書いてみろよ。特技としてはありだと思うよ」
「そうね。もう、戦闘馬鹿とは言わせないわ。学会で脚光を浴びる未来が見える」
リニアの意外な特技が役に立つ日もくるかも知れない。
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