第231話 戦いと、城壁の攻防と、人形
戦いが始まった。
王都では、略奪騒ぎを起こしている。
王都の城壁の所では盗賊が多数詰め掛けているらしい。
まず、城壁を守ろう。
俺は空を飛んで城壁の上に行くと、石の壁を何重にも重ねて補強した。
これでしばらく耐えるだろう。
王都側と外側から俺達に向かって何百もの火球が迫ってくる。
俺はまんまと罠に嵌ったらしい。
「【メテオ魔法】」
セレンがスペルブックを開き短縮でメテオ魔法を発動。
俺は魔道具でバリアを張った。
火球が次々にバリアに当たる。
「遠距離戦は苦手」
「まったくだわ。城壁から飛び降りて、やっていいかな」
「気をつけろよ」
「じゃあ行くわ」
王都の外側にリニアが飛び降りる。
「私は内側ね」
マイラが城壁を垂直に駆け降りる。
魔法使っているんだな。
天井に張り付く魔法とか研究してたものな。
重力魔法を使えば、簡単に出来る。
そして、マイラの姿が消える。
姿隠しの魔道具を使ったようだ。
「では、わたくしは、ここに罠を張ります」
レクティに人形を出して姿を隠して下さいませと、小声で言われた。
言われた通り、人形を出して姿を隠す。
人形は戦いを予期して作っておいた。
部屋の中とかに置いといて、カーテン越しなんかだと、部屋にいるように見える。
城壁の上で使う事になるとは思っていなかったがな。
レクティが周囲に罠を張る。
セレンのメテオ魔法が着弾する。
一瞬で城壁の外にいた盗賊の集団が全滅した。
城壁の外から火球は止んだ。
リニアは大丈夫だよな。
メテオ魔法を使った場面を見ているし。
リニアが城壁を駆けあがってくる。
足には吸盤を生やしていた。
リニアは力の使い方を色々と考えているな。
「酷い、危うく死ぬところだった」
「ごめん」
「謝る事はないよ。セレンはメテオ魔法を撃つって言ったんだし」
「まだ暴れたりないわ。マイラと競争してくる」
リニアは王都側に飛び降りた。
城壁に上がって来た盗賊風の身なりの男が倒れる。
レクティの仕業だ。
まきびしに毒を塗っていたのを俺は見ていた。
王都側の火球の数も段々と減ってきている。
マイラとリニアが頑張っているのだろう。
楽勝だな。
「タイト、死ね」
投げナイフが投げられ、人形に刺さった。
人形はホログラフィで俺の映像を被せてある。
簡単には人形だとは見抜けないはずだ。
俺はナイフを投げた男を電撃魔法で討ち取った。
「見えない護衛がいるぞ。それと足元に気をつけろ」
「痛っ、くそっ」
まきびしは灰色で石の色と見分けがつかない。
レクティはある意味凄いな。
レクティが投げナイフを投げる。
毒をぬってあるのか一撃で男達は倒れた。
「メテオ魔法を王都側に撃ちたい」
「セレン、それは辞めておけ。関係ない人に被害が出る」
「そうよね。私ったら」
セレンの奴、戦いに酔ってるな。
なんか役目を与えておくか。
「セレンは、見張りを頼む。特にレクティの後方に注意してくれ」
「分かった」
空を飛んで移動して、自動迎撃の魔道具を設置する。
空を飛んだのは、まきびしを踏まない為だ。
味方の罠に掛かる程、間抜けじゃない。
「よし、人形を置いて撤退するぞ」
「はい」
「ええ」
魔法でゆっくりと下に降りた。
上では自動迎撃の魔道具が、電撃を放っているのが見える。
馬鹿な奴らだ。
俺はもうそこに居ないのにな。
下に行くとマイラが待っていた。
「タイトが無事で良かった」
「姿隠しを使っているのに、俺の姿が分かるのか」
「場所は空気の流れで分かる。血の匂いがしないから、怪我をしてないのかなと」
そういうマイラは返り血をまったく浴びていない。
流体把握のおかげだろうけど、戦う為に生まれてきたような子だな。
リニアが血まみれで現れた。
「血なまぐさい」
マイラが大げさに鼻を摘まむ。
「ああ、こんなの」
リニアが手からスライムみたいなのを出して、さっと一拭き。
返り血は全て消えた。
リニアの能力は便利だな。
リニアにレクティの頭脳があって、マイラの戦闘センスがあれば、きっと最強だ。
たぶん、俺は足元にも及ばないだろう。
さて、次は学園に寄ってみるか。
そして王宮に戻る。
何となく最終決戦は王宮なような気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます