第196話 お茶と、裏と、ハーレム力
行きつけの喫茶店で紅茶を飲む。
お茶請けはクッキーだ。
リニアがぼりぼりとクッキーをむさぼる。
それをリッツが驚きの目で見ていた。
コネクタ、ベスの兄妹はエミッタに話を聞いていたんだろう、驚いてはいなかった。
「これ頼まれてた物です」
レクティが身上書みたいな物を出した。
どこから出したという突っ込みはなしだ。
たぶんオルタネイトの諜報組織のメンバーが用意したんだと思う。
「わあ、俺の為にありがとうございます。もうレクティ様の方に足を向けて寝れませんね」
リッツがとても嬉しそうだ。
「へぇ、綺麗な子ばっかり」
みんなでわいわい言いながら描かれた絵をみる。
「こういうのは、修正が入っていると聞いたわ」
たしかに絵はなぁ。
絵は美化できるから、会ったらがっくりが多いのだろうな。
「お兄ちゃんも紹介してもらったら」
「俺は自分で探す」
「そんな事言っていると行き遅れるよ」
「男は良いんだ。お前こそ、行き遅れるぞ」
コネクタ、ベスの兄妹が軽い口喧嘩をしている。
「複数の人と連絡取ったら不味いかな」
リッツ、ハーレムを目指しているのか。
羨ましいって言ってたからな。
「そうですね。失礼だと思います。誰か一人に決めて下さいませ」
リッツは決めたようだ。
誰にしたのかおも研のメンバーにも教えない。
俺はレクティと喫茶店の外で話した。
お相手が知りたかったわけではない。
いや、知りたかったのか。
「常に恋人候補がいるのか? ちょっとおかしいだろう。急に集めたとしては絵はいつ描いたんだって事になる」
「ぶっちゃけますと、候補は諜報組織のメンバーです。潜入するのに釣書は小道具として欠かせません」
「リッツ、可哀想だな」
「諜報組織のメンバーは上手くやりますよ。傷つけたりしません。別れも自然に演出します」
「なんでまた諜報組織のメンバーなんだ?」
「リッツさんを調べる為です。魔導師の手下の可能性も捨てきれないですから」
「今日持ってくる必要はなかったんじゃないか。疑われるぞ」
「リッツさんの反応を見たかったんです」
「結果はどうだ」
「素人ですね。密偵ではないでしょう」
リッツは振られる事が決定か。
強く生きろよ。
喫茶店に戻る。
「二人してトイレに立つなんて、釣書にあてられて、いちゃつきたくなった?」
「マイラ、違うよ。用意してくれたオルタネイトの家の人にお礼を言っておいてって言ったんだ」
「なんでタイトがお礼を言うのよ」
「リッツは後輩だから」
「怪しい」
「怪しいな」
「怪しいね」
3人が結託してしまった。
「時間が掛かったのは、家の人は有能だねって言ったんだ。さっき話してすぐだろう。早いじゃないか」
「恋人募集中の使用人から集めたんじゃないの」
「貴族の人脈は侮れないって話してた」
実際は諜報組織のメンバーだけど、雇っているから人脈の一種かな。
「嘘はついてないようね」
疑いは晴れたようだ。
今度、レクティと話をする時は帰ってからにしよう。
「ハーレムって大変なんだね」
「誰か1人を立てると角が立つ。目指すのは勝手だが刃傷沙汰は起こすなよ」
「うん、気をつけないと」
リッツよ、やっぱりハーレム目指す気が満々だな。
「店員さん、紅茶のお替わりと、腹に溜まる物をじゃんじゃん持って来て。今日は俺が奢るよ」
「いよ、お大尽。さすがハーレム作る男は違う」
「ありがたく頂きます」
「割り勘で良かったのに」
「9割がたリニアの腹に消えるから、割り勘だと不公平になるから。細かく計算してもいいけど面倒だし」
「タイト先輩と結婚すると、出費でイライラしそう」
「妹よ、タイト先輩を狙っているのか。やめとけ」
「狙ってない。釣り合わない男と付き合うと身の破滅だから」
その言葉に、セレンがショックを受けたようだ。
マイラは気にしてない。
気にするような繊細さはないからな。
そこはリニアも同じだ。
レクティはお嬢様だから、釣り合っていると思っているのだろう。
セレン、強く生きろ。
「ロマンスに憧れるのは、何も分かっていないお子ちゃまよ。馬鹿なの死ぬのと言ってやりたいわ」
ベスが更に追い打ちをかけた。
セレンの目が光を無くしたように見えた。
「セレンのそういう繊細さが好きだな。3人にはないよ。誇ってもいい」
そばに行き、そう耳打ちした。
セレンの目に光が戻ったようだ。
「少し目を離すといちゃつくんだから」
「マイラは嫉妬しても意地悪しないところが可愛いよ。みんないい所があって可愛いよ」
「これがハーレム
リッツは茶化してくる所があるな。
なんとなく性格が分かった気がする。
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