第181話 夜這いと、指紋と、罰
掃除も終わり、夕飯時。
ギスギスしているのもどうかと思い、5人で食卓を囲む事にした。
和やかな雰囲気で食事は進む。
さっきまでのギスギス感はなんだったのかと言いたい。
でもそれを言うとまたギスギスしそうだ。
「明日は5人で街に遊びに行きませんか?」
レクティがそう提案する。
みんな頷いて賛同。
こういう所は一致協力するんだよな。
でも俺は知っている。
抜け駆けしたらぶっ殺すという感情があるのを。
そして、夜が訪れる。
俺はドアにカギを掛けておいた。
来ないとは分かっているが、マイラとか来そうだからな。
夜中に騒ぐと使用人迷惑だ。
急に押し掛けたのに、夜の眠りを邪魔したら申し訳ない。
夜半。
ガチャガチャとドアノブを回す音が。
これじゃホラーだよ。
それも1回じゃなくて、時間をおいて何回も。
朝、朝食の席で。
「昨夜、俺の部屋に入ろうとした奴がいるだろう。正直に名乗り出れば許す。さあ言ってみろ」
みんな顔を見回すが、名乗り出る奴はいない。
「ふっふっふ、そんな事もあろうかと指紋を取っておいたのだ」
複写の魔法を使ったからセロハンテープみたいなのが無くても指紋は取れる。
「さあ、指にインクをつけて紙に押せよ」
4人は渋々指紋を押した。
結果は。
全員かよ。
みんな肉食系すぎる。
「罰として4人には恐怖の塩漬け依頼。孤児院のお世話をしてもらう。今日街に出るのは無しだ」
「簡単な依頼ですわ」
「いかに悪ガキと言えども、スラムのガキに比べたら虎と猫ほどに違う」
「そうですね。体力には自信があります」
「子供の世話なら出来そう」
「言ったな。言っておくが一日だぞ」
ギルドに行き、孤児院のお世話の依頼を受理した。
孤児院は王都の外れに建っていた。
スラムに隣接した場所だ。
「げっ、ここの子供」
「マイラは知ってるよな。スラムにも出入りしてたはずだ」
「ちびっこギャングじゃない」
「そうだな」
「みんな気を引き締めないと大変な事になるよ」
「モンスターより手ごわくないでしょ」
マイラの言葉にリニアは馬鹿にした態度をとった。
お手並み拝見といこう。
孤児院に着いて、孤児たちの前に俺達は出た。
「今日はお姉ちゃん達が相手をするぞ。遊んでもらえ」
「きゃっ」
「やっぱりね」
「この糞ガキ」
「えっ」
4人は挨拶とばかりにスカートをめくられた。
「ふはぁ、黒だぜ」
「こっちはピンクだ」
「白か。何でも染まる色」
「水玉だ」
孤児院の悪ガキを4人は追いかけるが捕まらない。
熟練の冒険者でも手を焼くのだからな。
うわっ、セレンがパンティを下ろされそうになっている。
ギャングの名に相応しい行いだ。
レクティは毛虫を頭に載せられきゃあきゃあ喚いてる。
リニアは落とし穴に嵌った。
そして胸を揉まれている。
マイラは攻撃をかわしているが、水でっぽうの集中砲火を浴び、ずぶぬれに。
俺はその場を後にした。
これで少しは懲りるだろう。
俺はバラクタ邸でまったりとした休暇を過ごした。
そろそろ迎えにいってやるか。
孤児院に入ると、セレンはパンティを取られて鬼の形相で追いかけていた。
俺がいるのがわかったのか、急にしゃがみ込んだ。
そして、懸命にスカートを抑えた。
孤児がにじり寄る。
見ないからな。
安心して戯れてろ。
レクティは毛虫のモンスターになっていた。
リニアはセクハラされ放題になっていた。
マイラはインクなどで極彩色になっていた。
所々、スパークが出たり、光ったり、煙が出たりしてる。
どっからインクを調達してきたんだ。
この色は魔法陣のインクだな。
だから、電飾みたいになっているのか。
俺は暴徒鎮圧用の重力を発生させた。
4人と孤児達が団子になる。
リニアがうっ憤晴らしだとばかりに悪ガキにアイアンクローを決める。
セレンはパンティを取り戻し、目にも止まらぬ速さで穿いた。
レクティは孤児の服を脱がせ、それで毛虫を払い落した。
マイラは悪ガキにデコピンをしている。
「みんな、ご苦労様。悪ガキども、お開きだ。お姉さんにお礼を言え。4人ともこれに懲りたら、少し考えろ」
重力を解いたら、悪ガキ達はスカートをめくって、ありがとうとお礼を言った。
疲れた顔の4人。
これで今晩からぐっすり眠れるな。
「言ったでしょ。ちびっこギャングだって」
「わたくし、あんな目にあったのは初めてです。今夜は夢に毛虫が出てきそう」
「落とし穴に掛かるなんて、屈辱よ。いつかリベンジしてやる」
「あんな恥ずかしいのはもう嫌。金輪際、夜中に悪戯しようなんて思わないわ」
セレンは反省したようだが、後の3人はそうでもないな。
でも、次にこれをやると言ったら脅しぐらいになるだろう。
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