第3章 狂戦士の守護者編

第133話 新年と、幽霊と、痕跡

 新年を迎えて8歳になったので、体の設定は13歳にした。

 そして、おも研の新年会に顔を出す事にした。


「新年おめでとう」

「おめでとうなのだ」


 皆とおめでとうを言い合った。


「反乱騒ぎが大事にならなくてよかったよ。戦争は美しくないからね」


 そう、アキシャルが言う。


「幽霊が現れたという噂があるのだ。なんとリニアの幽霊なのだ」


 誰かがリニアに化けているのかな。

 偽ニオブの例もある事だし、その可能性は大いにあるな。


「幽霊は見た事ないから、見てみたい」

「マイラ君は勇敢なのだ」

「皆さん、肝試しなんてのはいかがかしら」


 レクティが良い事を思いついたとばかりに提案した。


「面白いのだ」


 エミッタはそう言うと思ったよ。


「セレン、どうした。顔が青いぞ」

「べっ、別に。幽霊なんか怖くないんだから」


 怖いんだな。

 でも、これだけ人数がいたら怖くないだろ。


 幽霊が出たという寮を訪れる。

 夕方に近いが、まだ十分に明るい。

 特段変わった所はないな。


 寮を出たところ、セレンががたがたと震え出した。


「あ、あそこ」


 セレンが指差した所には誰もいない。

 そこは1階のひさし部分だった。


「何もいないのだ」

「黒い何かがいたんだ。ふわっと消えた」


「こういうのは調べてみないと」


 俺がそういうと、セレンを除いた全員が賛成した。


 2階の窓から、ひさし部分に出た。


「足跡があるな」

「サイズから推測すると、子供か女物ですね。たぶんスパイがここに居たのではないかと」


 俺が足跡を見つけると、レクティが推理を働かせた。


「ほほう、面白くなってきたのだ」

「消えたのは転移魔法のたぐいかな」

「幽霊じゃなかったんだ」


 エミッタがセレンの耳に息を吹きかけた。


「きゃーーー」


 セレンが跳び上がった。


「会長、いたずらが過ぎます。セレン君、花でも見て落ち着きたまえ」

「悪かったのだ。あんなに驚くと思わなかったのだ」


 俺は少し思う所があって、マイラとレクティと一緒に、この建物を調べたところ、屋根の上にも足跡はあった。

 屋根の土ぼこりに二つの円がある。

 これは、腰かけた跡に違いない。


 誰かがいたというのは間違いないな。

 気になったのは、ここから良く見える場所に、俺達が暮らす寮がある事だ。


「マイラ」

「ダイナにも言って警戒させる」

「どうやらターゲットは私達の誰か。もしくは全員みたいですね」


 俺は触ると警報が通信で来る魔道具を複数設置した。

 その魔道具の魔法はこんなで、前に作った奴だ。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>


extern MAGIC *obj_make(long obj_size_mm,int image,int attri);

extern int touch(MAGIC *mp);

extern int mclose(MAGIC *mp);

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法の定義*/

 FILE *fp; /*伝言魔法の定義*/


 mp=obj_make(1,IMAGEBALL,HOLOGRAPHY); /*1ミリのボールをホログラフィで生成*/

 fp=fopen("カニキクカ","w"); /*回線を開く相手を自分に指定*/


 while(1){

  if(touch(mp)==1){ /*ボールに触った*/

   fprintf(fp,"警報装置1番に触った"); /*自分にメッセージとして送る*/

   break;

  }

 }

 fclose(fp);

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 これでとりあえずは良いだろう。

 俺達の部屋に戻ると、ダイナが既に帰って来ていた。


「向かいの寮の屋根に誰かがいたみたい。ダイナも警戒して」


 マイラがそうダイナに話し掛けた。


「あそこですか。あそこは怪しい輩がちょくちょく訪れます」


「知ってたのか?」

「ええ、猫もたまに屋根に上りますのでそれで見つけました。怪しい奴は害がなければ放っておきます」


 俺の問いにダイナが答える。


「知りませんでした。私もまだまだですね」


 少ししょげた様子のレクティ。


「奴らは痕跡を残しませんから、お気になさらず」


 慰めるダイナ。


「あれっ、足跡と座った跡があったけど」

「それは、少し剣呑ですね。それは監視役ではなく戦闘要員かもしれません。気をつけておきます」


 俺の疑問にダイナがそう言った。

 なるほど、監視役ではないのか。

 怪しい輩は誰の手の者かな。

 王家の影、オルタネイト、貴族、魔導師、候補はこんなところかな。

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