第127話 道と、ヌルゲーと、太陽火球の謎

 空を飛んで行くのは良いが、後詰めが来られないと、もしもの時に孤立無援になる。

 というわけで、道を作りながら行く。


#include <stdio.h>

#include <conio.h>


extern void ground_leveling(void);

extern MAGIC *stone_wall_make(float mana);

extern void stone_joining(MAGIC *mp);

extern int mclose(MAGIC *mp);


void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 while(1){

  if(kbhit()){ /*何か入力されたら*/

   ground_leveling(); /*地ならし*/

   mp=stone_wall_make(0.006); /*厚さ10センチ幅3メートルの石の板を作る*/

   stone_joining(mp); /*石を連結*/

   mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

  }

 }

}


 入力があったら、石の板を敷設する魔法だ。

 空を飛びながらでもできる。

 魔道具にして兵士の一人に持たせた。


 俺達いつものメンバーが先頭を行く。

 アイアンゴーレムが出て来た。


 兵士に緊張が走る。


「ここは、我々が。隊長はお下がりください」


 兵士が焦った様子で俺にそう言ってきた。


「無傷で討伐できるのかな?」

「それは約束出来ません。ですが、必ずや討伐してみます」


「そういうのいいから。【ドリル】【酸注入】」


 俺はスペルブックを開いて魔法を行使した。

 アイアンゴーレムの額に穴が開いて、酸が入れられる。

 アイアンゴーレムは痙攣すると、倒れた。


「そんな。1部隊が必要な敵を一撃で」


 兵士の顔は蒼白だ。

 みんな俺を恐れている。

 やり過ぎたか。


 でも死人や怪我人が出るより良い。


「隊長、流石です。今回の作戦はどうなるかと思いましたが、これなら大丈夫そうですね」


 攻略法が分かっているモンスターなど、ヌルゲーとしか言いようがない。

 楽勝過ぎて欠伸が出る。


「先は長い。巻いて行くぞ」

「了解です」

「了解しました」


 兵士が活気づいた。

 無能な指揮官でないと分かって安心したのだろう。

 兵士の見る目が、怯えから賞賛に変わったように思える。


 道程は荒れ地を抜けて、森に入る。

 グリフォンは前にここを通った時に、さんざん倒したから生き残りは少ないだろう。


 だが、いくらかいるみたいだ。

 数頭のグリフォンが飛んで来る。


「ここは我々が」

「出来るの」

「はい、約束します」


「じゃ任せた」

「対空攻撃用意」


 兵士が魔道具を構える。

 赤いホログラフィの線が空中に飛ぶ。

 隊は全体がまるで巨大なハリネズミになったようだ。


「ガイドがあるんだから焦らずに引きつけろ」


 そして、グリフォンが射程に入る。


「撃ち方始め」


 火球と電撃が空を舞う。

 千人もいると楽勝だよね。

 グリフォンは火だるまになって撃ち落とされた。

 グリフォンの魔力量は3万ぐらいで、魔法は体表で防げるが、熱とか電気の余波は防げない。

 集中砲火されると蒸し焼きにされる。


 圧倒的な火力で攻撃すれば一撃だが、兵士に1メートルを超えるような攻撃の魔道具は持たせられない。

 持ち逃げされると厄介だからだ。

 オルタネイト伯は信用しているが、末端の兵士までは信用できない。


 あれっ、そう言えば、太陽火球とかいう魔法を食らったな。

 あれには蒸し焼きにされなかった。

 常々不思議に思っていたんだよな。


 ああ、そうか。

 燃料を召喚して燃やすのでは火の温度しか出ない。

 太陽火球は魔力で熱を再現しているんだ。


 高魔力だとその熱が無効化されるのか。

 俺の今の魔力は100万+113だから、熱が無効化されて張りぼての火球になったんだな。

 長年の謎が解けたよ。

 使えないな太陽火球。

 プログラムするまでもない。


「戦果、グリフォン5頭撃破。被害はありません」

「ご苦労様。ここで少し休憩しよう」

「了解」


 兵士は浮遊する板から降りて、水分の補給などを始めた。


 俺達もゴザを広げて座った。

 ケーキを収納魔法から出して食う。

 紅茶で喉を潤し、立ち上がり、ズボンの埃を叩いた。


 魔の森は問題ないだろう。

 問題は貴族には火球と電撃の魔道具は通用しないんだよな。

 その場合は俺がやらないと。

 さあ、出発しよう。

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