第123話 文化祭と、トラブルと、反乱
試験が終わると文化祭だ。
おも研の出し物は決まっている。
無重力ゾーンだ。
大掃除の時に作った魔法だ。
「注意書きを作らないと」
ええと、スカートの方は中が見えますので着替えて下さいと。
更衣室と着替えのズボンが要るな。
次の注意事項は、無重力ゾーンから急に出ないで下さいと。
無重力ゾーンから段々と重力を戻して行って、通常に戻すようにしている。
一気に外に出られると落ちるわけだ。
注意書きに書いてあれば、良いだろう。
俺が指示をして、おも研のメンバーが準備した。
テストをする事にした。
段々と軽くなるゾーンに歩いていくと、歩きがスキップするようになって、最後は宙に浮かんだ。
成功だな。
手で宙をかいて泳ぐ。
魚になった気分だ。
この中に風船とか浮かべておくと楽しいだろうな。
「風船を浮かべたらどうかな?」
「僕としては花を浮かべたいね」
「柔らかい。丸いのがいいんだけど」
「任してくれたまえ。そういう花もある」
まあいいか。
空中に花でも風船でもどっちでも良い。
後は気持ち悪くなった人とか出ないかな。
無重力だと色々と体に変化が起こる。
注意書きに気分が悪くなった人は申し出て下さいと書いておこう。
何人か、救護所の案内役にしないといけないな。
誰に頼もう。
レクティとセレンが良いだろう。
エミッタとアキシャルはいまいち信用できない。
マイラは喧嘩とかしそうだからな。
遊び方の説明はエミッタとアキシャルに頼もう。
俺とマイラはトラブル要員だ。
荒事要員とも用心棒ともいう。
準備が整い。
客が入って来る。
子供が多い。
ここでトラブル発生。
子供のズボンを用意してなかった。
これは困ったぞ。
買いに行くのは時間が掛かる。
それに子供服のサイズは色々だ。
「半ズボンを買って来たら良いよ。子供は足が出てても気にしないから。ウエストは紐だから調節できる」
とマイラが言う。
俺は浮遊する板に乗り半ズボンを大量に仕入れて戻った。
ふぅ、なんとかなった。
ぶつかったとかで、男二人の喧嘩が発生。
無重力での殴り合いになった。
足場がないのでパンチに力が入らない。
魔法で水を掛けて男達の頭を冷やした。
水で頭を包み込まれ、男達がパニックになって、収まった。
まったく、喧嘩なんかするなよ。
お触りする奴も出て来た。
無重力なのにマイラが股間に一撃して収まった。
男は警備兵に痴漢として突き出しておいた。
次から次へとトラブルは起きる。
こんな大変ならやるんじゃなかった。
でも楽しいな。
人の笑顔を見ると幸せな気持ちになれる。
出来るなら魔法はこういう事に使いたい。
Side:タンタル
「トンネルが開通しました。点検しましたが異常はありません。何時でも兵を送れます」
「よし、王都のニオブに報せを出せ。いよいよ、進軍を開始するとな」
わしは、この時の為に取って置いた特別なワインをワイングラスに注いだ。
美味い、極上の味だ。
わしを臣下に落とした王族達に思う所は沢山ある。
だが、それも今となっては関係などない。
王座をこの手に納めるまでわしは止まらん。
ワインを飲み干し、指揮所へと向かう。
「将軍、任せたぞ」
「はい、ご期待に添えるよう頑張ります」
机の上に広げられた地図を見る。
他領の進入路は4つ。
どれか一つが潰されても、他からカバーできるように作戦は立てられておる。
そして、この付近の地図を見る。
地中爆弾が仕掛けられている箇所が記されている。
峠の入口と出口はまだ地中爆弾は仕掛けられていないが、進軍を開始する時に設置する予定だ。
守りは鉄壁だ。
領の守りは少ないが、持ちこたえる事が出来るだろう。
地中爆弾とは良い物を作ってくれた。
少数で守るには最適の兵器だ。
ニオブの賢さはきっとわしに似たのだろうな。
ニオブの為にも絶対に王座をこの手に。
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