第90話 おかんむりと、婚約破棄予定と、エアホッケーゲーム

「なあ、マイラ。機嫌を直してよ。ほら美味しいケーキもあるから」


 おも研の部室でみんなとお茶会中なんだが、マイラが口をきかない。

 レクティの婚約の件を告げてからだ。


「マイラ君はどうしたのだ」

「俺とレクティが婚約する事になって、おかんむりなんだよ」

「政略結婚によって引き裂かれる男女の愛。美しいね。心中するのかな、駆け落ちかな。僕的には、花畑の中で二人毒を飲んでと言うのが、美しいと思う」

「アキシャルは黙ってろ」


「マイラも娶ってあげたら。貴族では珍しくもないでしょ」


 とセレン。


「そうなのだ。そうするのだ」

「ちょっと考えさせて」


 絶対にマイラは怒りそうだ。

 正妻をマイラにするなんて言ったら、オルタネイト伯爵との関係がこじれるに違いない。

 かと言ってマイラ側室になってよとは言いづらい。

 俺も男だ。

 なんとかしてみよう。


「マイラ、聞いてくれ。学園を卒業するまでにレクティとは別れる。婚約破棄するから、それまで我慢してほしい。絶対に良い方法を探すから」

「許してあげる。でも絶対だよ。約束破ったら、分かってるわよね」

「ああ、命に誓う」


「美しい。この結末はどうなのかな。マイラがタイトを殺して死んで終わりなのかな。それとも奇想天外な手段でハッピーエンドか」

「黙れ。男には無理でもなんとかしなきゃならない時があるんだよ」


「こほん、みなはおも研での研究は進んでおるかね」

「はい、会長。タイト君以外は進んでます」


「タイト君、色恋にかまけて弛んではいないかね」

「ちくしょう作ればいいんだろ」


 エアホッケーゲームをプログラムか。

 物理の本が欲しい。

 マレットとパックの衝突がどうにもイメージ出来ないんだよな。


 仕方ない世界システムに頼ろう。

 おぼろげなイメージでも世界が補完してくれるさ。


struct MALLET {

 double x;/*座標*/

 double y;/*座標*/

 MAGIC *mp;/*魔法*/

};

struct PUCK {

 double x; /*座標*/

 double y; /*座標*/

 double direction; /*角度*/

 double magnitude; /*大きさ*/

 MAGIC *mp;/*魔法*/

};

extern void game_init(MALLET *mallet1,MALLET *mallet2,PUCK *puck1);

extern void field_display(MAGIC *fmp,MALLET *mallet1,MALLET *mallet2,PUCK *puck1);

extern void puck_move(PUCK *puck1);

extern void mallet_move(MALLET *mallet1,MALLET *mallet2);

extern void hit_box_judge(int *score_player1,int *score_player2,MALLET *mallet1,MALLET *mallet2,PUCK *puck1);

extern void game_display(int *score_player1,int *score_player2,MALLET *mallet1,MALLET *mallet2,PUCK *puck1);

extern void time_wait(long time_ms);


void main(void)

{

 int score_player1,score_player2; /*スコア*/

 MALLET mallet1,mallet2; /*マレット パックを弾くパドル*/

 PUCK puck1; /*パック*/

 MAGIC *fmp;


 score_player1=0;

 score_player2=0;


 game_init(&mallet1,&mallet2,&puck1); /*ゲームで使う変数の初期化*/

 field_display(fmp,&mallet1,&mallet2,&puck1); /*フィールドの表示*/


 while(score_player1!=3 || score_player2!=3){ /*終了判定*/

  puck_move(&puck1); /*パックを動かす*/

  mallet_move(&mallet1,&mallet2); /*マレットを動かす/

  hit_box_judge(&score_player1,&score_player2,&mallet1,&mallet2,&puck1); /*当たり判定*/

  game_display(&score_player1,&score_player2,&mallet1,&mallet2,&puck1); /*動く物の表示*/

  time_wait(1); /*百分の一秒待つ*/

 }

 if(score_player1==3){ /*結果表示*/

  printf("プレイヤー1の勝ち");

 }

 else{

  printf("プレイヤー2の勝ち");

 }

}


 これでいいだろう。

 やってみた。

 上手く動いている。


「ほう、これがエアホッケーゲームかね。面白いのだ」


 そうだ。

 裏技も入れておこう。

 あるパスワードを入れると、マレットがパックを追従するようにした。

 これをやると絶対に負けない。

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