第26話 論文と、警報装置と、捨て台詞
論文を二つ書いて学校に提出した。
一つは繰り返し制御に関して、もう一つは魔法が創造魔法ではなく転移魔法や召喚魔法の
アキシャル先輩がこれで厄介事に巻き込まれないで済む。
「素晴らしい。こんな優秀な生徒を迎えられて鼻が高い。君は我が校きっての生徒だ。さあ、ケーキを食べたまえ」
なんと理事長に呼び出されたので行ってみると称賛の嵐だった。
マイラは無言でケーキをぱくついている。
なんと言ってこの場から逃げよう。
「では研究がありますので。ほら、マイラ行くよ」
マイラはケーキを口に押し込んだ。
「むぐっ」
「ほっぺにクリームがついてるぞ」
俺はマイラのほっぺのクリームを指ですくって舐める。
「はにゃ」
マイラの顔が赤くなる。
「では失礼します」
寮に帰る途中に廊下でニオブと出会った。
嫌な奴に会ってしまったな。
「おい、タイト。論文を出したそうだな。功績を俺に譲れ」
耳が早い奴だな。
「お断りだ」
「逆らおうというのか。どうなっても知らないぞ」
「実力行使でもしようというのか。魔法学園の管轄は王家だと知らないのか」
「知っているさ。くそう、後で覚えてろよ」
負け犬の遠吠えだな。
寮の部屋に帰ると魔報が届いてた。
『とにかく家に一度戻って来い。過去の事は忘れてやる。タンタル・バリアブル』とある。
嫌なこった。
過去の事を忘れてやるだと、どうか忘れて下さいの間違いじゃないのか。
歓迎しないお客さんが来る事も考えないとな。
マイラの察知能力に疑問がある訳じゃないが、警備用の魔道具を作る事にした。
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
extern MAGIC *obj_make(long obj_size_mm,int image,int attri);
extern int touch(MAGIC *mp);
extern int mclose(MAGIC *mp);
void main(void)
{
MAGIC *mp; /*魔法の定義*/
FILE *fp1,*fp2; /*伝言魔法の定義*/
mp=obj_make(1,IMAGEBALL,HOLOGRAPHY); /*1ミリのボールをホログラフィで生成*/
fp1=fopen("カニキクカ","w"); /*回線を開く相手を自分に指定*/
fp2=fopen("モンスチ","w"); /*回線を開く相手をマイラに指定*/
while(1){
if(touch(mp)==1){ /*ボールに触った*/
fprintf(fp1,"警報装置1番に触った"); /*自分にメッセージとして送る*/
fprintf(fp2,"警報装置1番に触った"); /*マイラにメッセージとして送る*/
}
}
mclose(mp); /*魔法終わり処理*/
}
こんなのでどうだ。
これで二人に警告が伝わる。
いくつか作ってメッセージの番号を変えておけば良い。
来ないだろうなと思って寝たら、メッセージが来た。
ライトの魔法で照らすとニオブがロープにぶら下がっている。
俺は窓を開けるとウインドカッターの魔法でロープを切った。
「くそう、覚えてろよ。後で絶対に仕返しするからな」
ここは二階なのでニオブも死んだりしないだろう。
死ねばいいのにと思わないでもない。
ふぎゃと猫を踏んづけたような声がする。
地面に落ちたようなので、魔法で水を作って落としてやった。
「ひゃっ、水を掛けるとは何事だ!」
「頭の黄色いネズミがなにか言ってるな」
「毒針を投げつけてあげましょうか」
マイラが
「弟の癖しやがって。俺の方が跡取りに相応しいに決まってる。順位戦で勝負だ。その時になって、命乞いしても許さないぞ」
捨て台詞を吐いてニオブは逃げて行った。
なんだかなぁ。
順位戦は魔法の実技で戦う。
成績に関係あるので誰も必至だ。
俺はほどほどで良いと思っているが、ニオブを殺す機会を逃すのも癪だから、ニオブに当たるまでは頑張ろう。
「悪いな、起こしてしまって。ニオブの野郎は、忍び込んで、どうするつもりだったんだろう」
「下に何か落ちている」
そう言うとマイラは窓から飛び降りた。
そして、壁をよじ登って帰ってきた。
おう、すごい運動神経だこと。
差し出された物を見ると、継承放棄書と書かれた物と論文の権利譲渡の書類だった。
後は俺が署名するだけになっている。
ニオブはどうやって俺に署名させるつもりだったのだろう。
まあ、それは今は良い。
ニオブから跡取り関係の書類が出て来たという事は、ニオブの地位が揺らいでるのかもしれないな。
今更、領地など欲しくないから、関係ないが。
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