第23話 魔導師と、ファラド一族と、神秘魔法名

 学園生活の授業はこれと言って特筆すべき事はない。

 十分についていけるし、まだ最初の方なので難しい事はやらない。


 今日も退屈な授業が終わった。

 魔法おもしろ研究会を訪ねてから、帰ろうと思って教室を出ると、男が一人待ち構えていた。

 男はローブというのか、ゆったりとした衣服を身に着けている。


「俺に何か用?」

「お前のバックの魔導師を出せ」

「そんな者はいないが」


「お前のせいで、バリアブル公爵家からお叱りを受けた。魔導師同士の掟を忘れた訳じゃあるまい」


 知らんがな。

 何を言っているんだ。


「言っている意味が分からない」

とぼけようって言うんだな。双方に魔導師がバックについている場合は、話し合いで決める。話し合いで方が付かなければ本家に裁定してもらう。そういう決まりだ」


 魔導師同士は争わないって事だよな。


「本家ってどこの本家?」

「ファラド一族の本家に決まっているだろう」

「ふーん、魔導師はそのファラド一族しか居ないのか?」

「いる訳ないだろう」


「タイト、こいつやっちゃう?」

「マイラ、敵認定はもう少し話を聞いてからだ」


「もしかして、このちっこい少女がお前の魔導師か」

「いやいや、それはない。だってスペルブックも持ってないだろう」


「魔導師は収納魔法を使う」

「さっきから魔導師ではないと言っているだろ」


「嘘判別魔法を使わせろ」

「いいよ使っても」


 男はスペルブックを開いた。


「魔法を受け入れろよ。【嘘判別魔法】、魔導師のバックは居ないのか?」


 短縮詠唱を使っているな。

 圧を感じたので、跳ね返さずに受け入れた。


「居ない」

「そんな馬鹿な」


 男が驚きの余りスペルブックを落とした。

 俺は呪文を盗み見ようとしたが駄目だった。

 男は慌ててスペルブックを拾う。


「見たか!?」

「いいや見てない」

「そうか。【嘘判別魔法】。見たか?」

「見てない」

「見てないようだな。見てたら殺さないといけないところだった。俺はサージ・ファラド。魔導師には逆らわない事だ」


 そう言ってサージは去って言った。

 俺を殺すと言ったのか。

 ファラド一族はどうやら敵のようだ。


「タイト、見ちゃった。文字は分からないけど形は覚えた」

「マイラ、でかしたぞ」


 マイラが書いた文字を読む。

 神秘魔法名を用いて魂から嘘を判別したまえと書いてあった。

 ほう、神秘魔法名に魂か。

 魔導師の呪文にそんな秘密がな。


 神秘魔法名と言うのが分かると魂を読み取れるのか。

 よしやってみよう。

 まずは。

#include <stdio.h> /*お約束という奴。色々な定義がしてある*/

#include <stdlib.h> /*お約束という奴。色々な定義がしてある*/


void main(void)

{

 system("dir"); /*情報を獲得*/

}


 神秘魔法名を読み取ると念じて実行してみた。

 『カニキクカ』と『モンスチ』が空中に表示された。

 両方ともフォルダーだ。


 さらにフォルダーの中を覗いてみたい気もしたが辞めた。

 なんかやばい気がしたからだ。


 とにかく『カニキクカ』と『モンスチ』が俺達の神秘魔法名らしい。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>


void main(void)

{

 FILE *fp; /*ファイルの定義*/

 fp=fopen("カニキクカ","w"); /*ファイルを開く この場合は人*/

 fprintf(fp,"本日は晴天なり"); /*メッセージを送る*/

 fclose(fp); /*閉じる*/

}


 実行してみた。

 俺の脳内に『本日は晴天なり』の字が浮かんできた。

 『カニキクカ』が俺だとすると『モンスチ』はマイラだな。


 『カニキクカ』を『モンスチ』に書き換えて、マイラにも通信を送る。


「伝わったよ。これでタイトも本物の魔導師ね」

「ファラド一族にばれたら厄介だから、この事は秘密な」

「二人だけの秘密」

「そうだ二人だけの秘密だ」


 いずれ、ファラド一族とは雌雄を決しないといけないだろうが、それは今じゃない

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