第15話 キングウルフと、解体と、お風呂タイム

 ウルフ狩りは順調だ。

 順調だが狩りするより皮をはいでいる時間の方が圧倒的に長い。

 8体ほどの狩りで1日目が終わってしまった。


 2日目。

 地響きが遠くから聞こえる。

 ふと遠くを見るとウルフが1頭。

 なんだ普通じゃないか。


 いや、縮尺がおかしい。

 これだと体長が4メートルはある計算だ。


「マイラ、どう思う」

「伝説のキングウルフじゃないの」


「どこにこんなのが隠れていたんだ。草原だぞ」

「伝説によればキングウルフは地中に眠っていて、百年周期で起きるそうよ」

「そうなんだ」


「狩っちゃう?」

「えー、やるの」

「私達なら余裕よ」


「いや辞めておこう」

「誘導弾をちょこっとだけ」

「仕方ないな。誘導弾を1発だけだぞ」


 俺達はキングウルフにゆっくり近づいた。

 ほんとでかいな下手な軽トラックぐらいある。


 10メートルぐらいの電撃を誘導弾で撃つ。

 眩しさで目がチカチカした。

 キングウルフは突然の魔法に逃げ出した。


「あっ、逃げるな」


 マイラはそう言うとキングウルフを追いかけ始めた。

 キングウルフは誘導弾を振り切ろうと懸命に逃げる。

 これは追いつかないな。

 やがて誘導弾の射程が切れてキングウルフの足が止まった。

 当たらなかったな。


 キングウルフはこちらを見ると歯をむき出して唸り始めた。

 怒らせたか。

 キングウルフはゆっくりと俺に近づいた。


 草原に伏せていたマイラが立ち上がり、キングウルフの足の腱を切る。

 だが皮が硬くてダメージにはならなかったようだ。


 キングウルフの注意がマイラに移る。

 今だ。

 電撃の誘導弾を撃つ。

 キングウルフの初動は遅れ、誘導弾は見事当たった。

 キングウルフは悲鳴と共に崩れ落ちた。

 結局、2発目を撃ってしまった。


「なあ、マイラ。これを解体出来ると思う?」

「無理ね。普通のウルフでも四苦八苦なのに」

「しょうがないな。魔法で解体しよう」


 うーん、魔法のイメージが難しい。

 どんな力で解体するのか。

 石の包丁は駄目だな。

 風の刃が良いだろう。

 動かす制御はどうやる。

 意識で入力だな。


extern MAGIC *air_cutter_make(float mana);

extern int mclose(MAGIC *mp);


void main(int argc,char *argv[])

{

 int i; /*カウンター*/

 char orbit[2000]; /*軌道データ/

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 mp=air_cutter_make(0.006); /*エアカッター生成*/


 for(i=0;i<sizeof(orbit);i++){

  orbit[i]='\0'; /*軌道のデータ初期化*/

 }


 i=0; /*カウンターをゼロに*/

 while(*(argv[1]+i)!='\0' && i!=sizeof(orbit)){ /*外部からのデータが終わるか 軌道データが尽きるまで*/

  orbit[i]=*(argv[1]+i); /*外部の入力を軌道のデータに*/

  i++; /*カウンターを一つ増やす*/

 }


 magic_move(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*飛ばす*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 自由自在に操れる風の刃が完成。

 解体の手順なんて分からないからぶつ切りにする。

 大きさが小さくなったのでマイラが皮をはぐ。

 大きなままで解体できなかったけど良いよね。

 持って帰れないのなら、価値が下がる方がいい。


 キングウルフの解体で2日目は終わりそうだ。

 いつも元気一杯のマイラもさすがに疲れたように見える。


「明日、帰りましょ」


 マイラからそんな言葉が出た。


「そうだね。俺も帰りたくなったよ」


 だって解体で血まみれになって生臭い事といったら。

 そうだ、風呂を作ろう。


 石の板を出して風呂桶を作る。

 水と温めるのも魔法でやった。

 今までの魔法を少しいじれば良いだけだ。


「さあ、入るぞ」

「一緒に入りましょ。背中流してあげる」


「えっ、一緒に入るの?」

「恥ずかしがっているの。私達は子供だから気にしなくていいよ」


 そうなのか。

 そうなんだろう。


 マイラの裸体は眩しかった。

 ロリコンちゃうわ。

 さすがの俺も顔が赤くなったように思う。

 顔が暑い。

 湯のせいでなっただけではない。


 もう一度言うロリコンちゃうわ、ちゃうわ、ちゃうわ(エコー)

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