第14話 誘導弾と、電撃と、姫様

 やっとウルフが出るという草原に到着した。

 ここまで掛かった時間は6日。

 1日短縮できたのは浮遊する石板のおかげだ。


 さあウルフ退治するぞ。

 その前に新兵器を紹介。


extern MAGIC *fire_make(float mana);

extern void vector_add(MAGIC *mp,char vector_data);

extern void time_wait(long time_ms);

extern void magic_straight(MAGIC *mp,char *orbit,int orbit_size);

extern int mclose(MAGIC *mp);


void magic_move(MAGIC *mp,char *orbit,int orbit_size)

{

 int i; /*カウンター*/

 for(i=0;i<orbit_size;i++){

  vector_add(mp,*(&orbit[i])); /*速度を設定*/

  time_wait(10); /*0.01秒待つ*/

 }

}

void main(void)

{

 char orbit[2000]; /*軌道データ*/

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 mp=fire_make(0.006); /*火球を作る*/

 magic_straight(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*真っ直ぐの軌道データを入れる*/

 magic_move(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*火球を動かす*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 これは火球を真っ直ぐ飛ばす魔法。

 こんなに細かく書いたら更に効率アップ。

 今までだと20センチぐらいの火球の魔力なのに1メートルぐらいの火球が出た。


 magic_straight、time_wait、vector_addの中身も書けるんだが、省略した。

 無詠唱とはいえ、このぐらい細かく呪文を設定するなんて、プログラムでないとな。

 文章でやってたらどうなるんだろう。

 出来なくもないか。

 でも、繰り返しの所とかラベルを使わないと無理かもな。


 そして、新兵器の第二段。



extern MAGIC *fire_make(float mana);

extern void magic_direct(MAGIC *mp,char *orbit,int orbit_size,char *target_data);

extern int mclose(MAGIC *mp);


void main(int argc,char *argv[])

{

 char orbit[10]; /*軌道データ10個*/

 int i; /*カウンター*/

 MAGIC *mp; /*魔法の定義*/

 mp=fire_make(0.006); /*火球を作る*/

 for(i=0;i<1000;i++){ /*千回繰り返し*/

  magic_direct(mp,orbit,sizeof(orbit),argv[1]); /*目標に向かう軌道データ生成*/

  magic_move(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*軌道データ通りに動かす*/

 }

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 なんと誘導弾。

 『main』の所の『argc』というのは入力の個数だ。

 『*argv[]』というのは入力したデータ。

 なんの入力かというと魔法に対する入力だ。

 この場合誘導するターゲットのデータ。


 『argv[1]』が一個目の入力データ。

 つまり『argv[2]』なら二個目の入力データだ。


「来るよ」


 囮役を買って出たマイラが駆けてくる。

 後を追いかけて来る体長2メートルほどのウルフ。

 地球の狼よりずいぶんと大きい。


 俺はスペルブックを開き、誘導弾を撃った。

 そして、スペルブックのページをめくり、牽制に真っ直ぐに飛ぶ火球を撃った。


「キャイン」


 誘導弾が当たり悲鳴を上げるウルフ。

 1メートルの火球はウルフを焼き尽くした。


「これじゃ魔石以外の素材が採れないね」

「うん、電撃に変えるか」


 『fire_make』の所を『electric_make』に変える。

 今度は上手くいくかな。


「じゃ、行って来る」


 おびき出し用の匂い袋をつけたマイラが駆け出していく。

 しばらくして、来た来た。

 団体でお出ましだ。


 誘導弾つるべ撃ち。

 電撃の誘導弾は次々に当たる。

 ウルフは感電して死に絶えた。

 焦げ臭い匂いが漂う。

 もう少し威力を落とした方が良いらしい。

 1メートルの電撃を30センチぐらいか。


「少し焦げたけど毛皮は採れるよ」

「皮はぎをよろしく」

「血の匂いでウルフがきたら迎撃をお願い」

「姫様、命に代えましても」

「私の騎士を信頼しております」


 マイラがぎこちなくお辞儀する。


「ぷははっ、マイラに姫様の役は似合わないね。女騎士団長とかの方が良いかも」

「嫌だ。姫様が良い」


 マイラも女の子だな。


「仰せのままに、姫様」

「護衛は任せましてよ」


 姫様ごっこが好きだなんて、マイラも可愛い所がある。

 おっと、この可愛いは子供に対する純粋な可愛いだからな。

 ロリコンちゃうわと言っておきたい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る