異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った前世の知識は魔王級。家族には捨てられたけど、世界法則には気に入られた気がする。帰って来てくれと言われても、もう遅い。プログラム的呪文で最強無双~
第4話 パーティ結成と、考察と、ウサギの串焼き
第4話 パーティ結成と、考察と、ウサギの串焼き
「答えたくなければ良いけど、マイラは訳ありなのか?」
「うん、スリをやってた」
「スリって強いんだな]
俺とそんなに歳が違わないように見えるけど。
「スルのもやるけど。私は追いかけて来た奴を、どうにかするのが役目」
「それはまた殺伐としているな」
「命までは取らないわよ。足止めすれば良いだけだから」
さいですか。
確かに踵を切り裂いて股間を潰せば大抵は追いかけては来ないよな。
「なんで、捕まったんだ?」
「食事に薬を使われたのよ。がっぽり稼いだので、高級なレストランに行ったのが、仇になったわ」
「なるほど」
「あなた貴族みたいだけど、流石の魔法ね」
「勘当された元貴族だけど」
「帰る家がないのなら、提案があるの。私達でペアを組んで暴れまわらない?」
「犯罪は勘弁だな」
「じゃあ、冒険者をやりましょう。私達ならオーガも狩れると思う」
「冒険者は良いかもな」
「じゃ決まりね」
しばらく歩いて街道沿いの野営地に着いた。
野営地は少し広くなっていて焚火をした跡がある。
水場も設置されているようだ。
「ウサギでも狩って来るわ」
「おう、よろしく」
マイラが離れて行ったので、枯れ枝を拾いながら、魔法に関して考察を始める事にする。
人気ソフトにこういうのがある。
日付が2022/2/5や2022年2月5日や2022-Feb-5でも受け付ける。
プログラマーの俺の見解を言えば、ユーザーの事を思うと、かくあるべしという事なんだろう。
それで、魔法だ。
ファイヤーボールを撃つ魔法詠唱は何でも良いんじゃないかな。
『炎よ玉になり飛んで行け』や『獄炎よ火球となりて焼き尽くせ』なんて中二臭い詠唱でも良いんだと思う。
それどころか『火球』や『炎』なんて短い言葉でも行けるはずだ。
ようするに入力の幅が広いのだな。
それでだ。
結果としてプログラムでも呪文を受け付ける。
ビバ、プログラム。
いらっしゃいませ、世界コンピューター。
世界がコンピューターそのものだなんて、なんて素晴らしいんだ。
おまけに架空の関数を用意してくれるとは、凄いシステムだ。
プログラムの呪文がなぜ効率が良く安定しているのかを考えた。
その答えが入出力とパラメーターだ。
たぶん魔法は入出力が出来る。
魔法に返答させたりできるのだ。
そして、これを設定しないと効率が悪くなるし不安定になる。
そしてパラメーターだ。
パラメーターが魔法の機能を定義する。
プログラムというのは何をさせるかの定義が物凄くかっちり決まっている。
ある意味で曖昧な点がない。
曖昧な点がないと言う事はイメージがしっかりしているという事だ。
これが魔法の効率と安定性を抜群に高めているのだろう。
ファイヤーボールの魔法を構築するか。
extern void fireball(int size_cm,int speed_km);
void main(void)
{
fireball(10,200);
}
これで良いな。
試し撃ちしよう。
木に向かってファイヤーボールを撃つ。
木に当たって、幹を少し焦がす。
サイズが10センチなのに十分な殺傷力はありそうだ。
「獲って来たわよ。皮をはぐね」
マイラが帰ってきた。
マイラは手際よくウサギを解体していく。
肉を枝に刺して焼き始めた。
良い匂いが辺りに漂う。
お腹がぐうっと鳴いた。
そう言えば家を出てから何にも食ってないや。
俺は焼けた肉にかぶりつく。
「はふ、はふ、美味しい」
「塩があれば、もっと美味しいけどね」
「そう言えばマイラはスリのグループから抜けられるのか?」
「簡単には抜けられないわね」
「どうするんだ」
「そんなの実力行使しかないでしょ」
「話し合いで何とかならないのか?」
「うーん、対価を何か差し出さないと」
「分かった。何とか考えるよ」
「期待しないで待っているわ」
対価ねぇ。
俺の持っている財産はプログラム知識だけだ。
だが、呪文は教えたくない。
特に犯罪者には。
魔法で何か生産する事が出来れば良いと思う。
考えてみよう。
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