初めての部活見学、生物部③
「この間、無量が『船幽霊』と戦って、正直苦戦してたんだけれど。無量いわく、大きな白龍が現れて、『船幽霊』を全部消してくれた。そこにいたのは、君だよね。桃子ちゃん」
坊主頭の先輩が、わたしにちょっと強い口調で言った。なんか、これ、午後にやってる刑事ドラマとかでよくあるやつ。取り調べってやつだよ。
「わたしは、夢を見てただけです!」
泣きそうになりながら、必死に訴えた。
「夜中の台所に、亡くなったはずのお母さんがいたんです。お母さんが巫女みたいな格好してて、そこから夜のあの船着場にワープしました。確かに。でも、あれは夢ですよね!」
「夢じゃないよ。僕たちはほんとに戦ってる。そして、力を持ってる君も、ともに戦うんだよ」
無量くんが、またわたしの手をそっととった。その手からピンク色の光が立ち上る。
そして、わたしの手に、ものすごく軽い感触があったんだ。
「水色の勾玉? 夢に見た?」
わたしの手の上にある。その勾玉はツヤツヤしてて、よく見ると透き通ってる。透き通った中には、水のような液体が閉じ込められてるのが見える。
「『水の巫女姫』の力の印を、君はお母さんの幽霊から受け継いだんだね」
坊主頭の先輩がしんみり言う。
「俺だけ自己紹介遅れたね。黒川っていうんだ。部長で三年生。星野森町の旅館、黒川旅館の次男坊だけど、母親から力を受け継いでる。俺は、人の心を読める力を持ってるんだ。滅多に使わないようにしてるけれどね」
頭がついていけない。
手の中にあった水色の勾玉は、なんと、ほんの何秒かで消え失せてしまった。
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