「ありがとう、郷太くん。算数教えてもらったお礼に何か……。うーん何が良い？」

「チョコレート！」

「えっ、チョコレート？」

「バレンタインにもらったことないから、チョコくれ。チョコレート！　母ちゃんと父ちゃんと兄ちゃん達に自慢すっから。安くて良いぞ。そうだ！　チロルチョコ３個で良いからな。ラッピングしてくれれば」

「チロルチョコ？」

「出来たらミルク味が良いかな。オレ、ミルク味が好きだから。でも、桜井がくれるんならさ、まっ、何味でも良いやあ」

　……そんな。

　元々バレンタインには気合を入れて、郷太くんに手作りチョコレートをあげる予定だったのに。

　えーっと、うーんっと、チロルチョコあげてから、サプライズすれば良いかなぁ。

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