連携
ウンディーネと名乗った精霊は、白い肌に藍色に輝いている二対四枚の羽。
薄水色の瞳に肩が出る、細身のドレス風の服を着こなしている。
「ウンディーネ、シルフと協力し二人のアシストをして欲しい!」
『仰せのままに』
そのまま羽を広げ、真っ直ぐワイヴァーンの動きを封じているシルフの元へと飛んでいく。
『手を貸しましょう。
細長い、白い右腕をしなやかに前へと出す。すると、何も無かった地面から突如とし大量の水が現れた。
空中へと舞い、一箇所へと集まり一つの形を作り出す。それが大きくなっていき、水の龍を作り出した。大きさはワイヴァーンに負けないほど。
『
透き通るような声に応えるよう、水龍は上空へと上っていく。そのままワイヴァーンへと大きな牙を覗かせ飛び出す。
それに気づき、ワイヴァーンは噛みつかれる前に大きな体で後ろへと跳び回避。すぐさま咆哮で威嚇するが、水龍には効かずシルフの隣へと移動。
噛み付こうと水龍はワイヴァーンへと突っ込み、それを迎え撃とうと口を開き水龍の右側面を噛み付く。それと同時に、水龍もワイヴァーンの右側面へと噛みついた。
大きな体同士がぶつかり合い、地震が起きる。
そんな中、星壱郎は顔を青くしその場に倒れ込んでしまう。だが、意識はしっかりしており立ち上がろうと震える手を地面に付く。
「はぁ……っ、はぁ……」
「無理をするな星壱郎。精霊を一体出すだけでも気力や精神力。魔力が莫大に吸い取られると耳にする。それを二体も出したんだ。助かった、今は少し休め」
「だ、いじょうです。それに、ワイヴァーンの倒し方を見つけなければ共倒れになってしまいます。援護しか出来ませんが、頑張ります」
フォンセは星壱郎の肩に手を置き、休むように言う。だが、それを彼はやんわりと断り、立ち上がる。
彼の表情は、先程までの恐怖で染った色ではない。真っ直ぐと、敵であるワイヴァーンだけを見続けていた。
ウンディーネとシルフが相手をしている間に攻略方法を見つけ出そうとしている。そんな星壱郎を目にし、フォンセはこれ以上は止めようとはせず、彼の右側に立ち笑みを浮かべた。
「なら、お前を信じるぞ。援護だけでも充分だ」
「はい!」
左手でフォンセが拳を作り星壱郎に向けたため、釣られるように彼も右手で拳を作り、コツンと当てた。
そんな二人を、ルーナは優しく微笑みながら見つめ、気合いを入れ直すため拳銃のグリップを握り直す。目線は、今だ水龍とぶつかり合っているワイヴァーンに向けられる。
トントンと、軽くその場で跳び、両手に握られている拳銃の用心金に人差し指を入れ、クルクルと回し顔まで上げた。そして、右手を額辺りで逆手で持ち、左手は顎辺りまで上げ、したり顔を浮かべ声を出す。
「行くよ!! お兄ちゃん!!」
「あぁ。
二人はそう言い合い、勢いよく走り出した。
まず、ルーナから仕掛けた。
「
二丁の銃口から放たれたのは、赤く染っている弾丸。
水龍の隙間から一直線に、ワイヴァーンの黒い瞳を捉えた。
見事命中し、視力を奪うことが出来た。その隙を逃さぬよう、フォンセが畳み掛ける。
音を立てぬよう気をつけながら走り、ワイヴァーンの左側まで移動すると、膝を折り一気に飛び上がった。
顔の左側まで跳んだ時、何故か黒い瞳と目が合ってしまう。
奪ったように見えた視力だが、瞬きで防いでいたらしい。黒い瞳がフォンセを捉えた。それに一瞬息を飲んだが、直ぐに自身を奮い立たせ、前に出している拳銃を握り直す。
「
銃口からは、紺碧色の弾丸が放たれた。
スピードは遅く、簡単に避けられてしまいそう。だが、放たれた弾丸は、徐々に分裂していく。
四方に飛び、ワイヴァーンの周りを囲い、頭、翼、背中、お腹、足と。
次々と、フォンセの放った弾丸がワイヴァーンを襲う。
それでも油断せず、彼はワイヴァーンの頭へと着地する。
「瞬きすらする時間を無くしてやるよ」
落ちないようバランスを意識し、フォンセはワイヴァーンの左目に銃口を向ける。
その距離──0
「食らいな。
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