第105話 子供たちへのお土産
「団長、前にガルゴ君の鑑定をするのに、
「あぁ…話したな。」
「
「その件は、春になってからだ。今すぐにどうこうという話じゃないしな。」
「わかりました。とりあえず大きな話はそれだけです。あと、
”英雄ザックに手紙を送れる” と騎士団第二中隊で話題になったそうです。と言っても騎士団からだけじゃないですけど」
「ちょ…ちょっと待て! 誰だ! ”英雄ザック” なんて言ったのは!」
「第二中隊隊長のマクシルさんです。」
「やりやがったな!あの親父!!」
「あとゼシトさん、ギダイさんからも預かってきています。手紙は団長宛だけじゃなくて、
テーブルの上いっぱいに手紙を置く。
「わかった。おれから手渡しておこう。話はそれで全部か?」
「あと、お礼を言ってなかったですね。団長。
「それは、礼を言われることじゃねぇよ。」
そう言って照れ隠しをしている。背負子に保管箱を積み直してから
「じゃあ、僕はこれで。今夜は
「ニクパ? なんだそれ?」
という声を背に団長の家を出る。裏に廻ると、ビラ爺がすでに内臓を取り出していた。
「これでいいか? ソーヤ」
「ありがとう。ビラ爺、助かったよ。あとトーラとシーマなんだけど家に居させていいかな?」
「かまわん。ちゃんとテイム出来ていれば問題無かろう。」
「ありがとう、ビラ爺。あとでちゃんと紹介するね。お肉はジーンさんのところにお願いします。」
「はいよ。」
さて、おれはトーラとシーマのご飯を作って、モツの下ごしらえとBBQコンロのセットをしておくか。
「シーマ! おいで。おうちに行くよ。」
ビラ爺の家の前に来ると、子供たちとトーラが遊んでいた。
「あ!ソーヤ! もう一匹いたの?」
「トーラの兄弟だよ。こっちはシーマって言うんだ。ただシーマは怪我しているからまだ遊べないんだ。」
「そっかぁ…早く元気になればいいね。」
ビラ爺の家に入りおれの部屋に行く。
「シーマ。こっちおいで、草床出して毛布置いたよ。ここで休んでて。」
外に出ると
「みんな集合!!」
わらわらと子供たちが集まってくる。
「お土産配ります! ならんでくださーい これでーす! 石入計算機が新しくなりましたー! 算術台っていう名前になりました。重たい石の箱はもう使わなくていいです!」
年上の子たちから配る。
「マルコ君、ルシアナちゃん、エリザちゃん、ガルゴ君、ジェス君、アマル君、マリサちゃん、カーラちゃん、ハンザ君 みんな貰ったかなー? どうしたのハンザ君?」
「ソーヤ、あのね、僕あのきれいな石の方がいいの。もう使っちゃダメなの?」
「そんなことないよ、石入れでもいいよ。でもこっちはね。こうすると… 木の駒がきれいに全部並びます! しまう時はここにこうして並べるとぴったり入ります。だから好きな方使ってくださーい!」
「「「「「「「「「 はーい! 」」」」」」」」」
「次にマルコ君、ルシアナちゃん。君たちにはこれを渡しまーす。ソーロバンと言いまーす。明日からこれの勉強もしまーす。」
「最後でーす。みんなへのお菓子でーす。」
「ヤッター!」「おかしだー!」
「でもこれは毎日の勉強が終わったら食べまーす。」
「まいにち? 食べれるの?」
「そうでーす! 今日は特別でーす。みんな並んでー! 手を出してくださーい」
「「「「「「「「「 はーい! 」」」」」」」」」
みんなの手の上に、星砂糖を一つずつ乗せる。
「凄いの!お星さまなの!」「僕のは青いよ」「私のは黄色」「赤ー!」
「合図したら食べて下さーい。3!2!1! いいよー!」
「んんっん」「あまい!」「お星さまが溶けていったの」
「明日からのお勉強頑張ろー!」
「「「「「「「「「 はーい! 」」」」」」」」」
ええ子ばかりで… おれ泣きそう…
「で、トーラ、君はなんで並んでいるのかな?」
「「「「「「「「「 きゃははは! ほんとだー! 」」」」」」」」」
キャン!
「お土産無くさない様におうちに持ってってねー」
「「「「「「「「「 はーい! 」」」」」」」」」
さて、やるか。
「トーラ、おいで。ここでシーマと少し待ってろ。」
タライを持って井戸前広場へそして "たわし召喚!” をして下処理開始。
2度目ともなると、要領が解っているので手早く終わる。今回はマルチョウは開かないで丁寧にひっくり返す。
レバーとハツも極小魔石を切り取ってボウルに入れて
「ジーンさん、今日もニクパ!です。今回は呑んでも大丈夫ですよ!またもつ煮込みお願いしますね」
戻ってくるとBBQコンロの準備、早速火を起こそうと… あれ? 炊事場の脇、あんな建物有ったか? 見回すと、いくつか知らない建物が増えている。
「「ソーヤ~! お手伝いに来た~。」た~。」
「二人とも、ありがとう。建物増えてるんだけど…あの建物は何?」
「「食堂って言ってた!」た~」
食堂? わざわざ作ったのか? ジーンさんが来るからか?
「そうか、もう食堂は使っているの?」
「「お父さんたちが、お酒飲むときだけ」だけ~」
毎晩飲んだくれている姿しか思い浮かばないよ。それなら子供たちのために勉強部屋つくってよ。
「ごめん、ちょっと団長に聞いてくる。待ってて。」
「団長! あの食堂ってもう使えるの?」
「…あ? ソーヤか。もちろん使えるぞ。料理人が来るって聞いてたからな。炊事場も専用にしてある。」
「わかった。じゃあ、今夜はあそこで!」
団長、手紙読んで泣いてたっぽいな。
「ジーンさん!いますか?」
「はいよ! 何かあったか?」
「食堂の事、聞いてますか?」
「食堂? いいや?聞いてないが?」
まったく、肝心なこと本人に伝えてないじゃん。
「すみません、ちょと一緒に来てもらえますか?…
……ここです。専用の炊事場と食堂だそうです。」
「立派なもんだ。家の台所が狭いからどうしようか考えてた所だったんだ。ここなら文句ねぇ。」
「運んでくるものはありますか? 持ってきちゃいますけど。」
「今は大丈夫だ。明日、また頼むよ。」
「はい。」
解体している、ビラ爺の所に寄って話をする。
「すみません、お肉なんですけど新しい食堂の方にお願いします。」
「うむ、わかったぞぃ。」
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