第90話 発つソーヤ、たわしを残す。
24日目、食堂に降りると昨日までの喧騒が嘘のように、帝国から来たウカーリ商会の人たちが朝早くに出発したかららしい。
キュパスも定期的にローク・ドージョー食品商会で仕入れることが決まった。帝国の南海の島の特産品だと言ってた、生は無理だけど、下処理をして時間遅延の
朝食の時に、ゴーロウさんに風呂の掃除の件を話した。
「昨夜、風呂場と洗濯場の掃除をしておきました。驚かない様に従業員の方々に伝えてください。」
「ありがとうございますソーヤ様。ところで明日の出発ですが、荷馬車などご用意されておりますか? もしよろしければ…」
「いいえ? 用意していないです。荷物は
「そうでしたか… もしよろしければ、西街道を進む予定の荷馬車があるのですが。冒険者の護衛を探しておりましたので、ご紹介しようと思っていたのですが…」
「それなら帰るついでですから受けてもいいですよ。
「わかりました。伝えておきます。」
そう言って、ゴーロウさんは微笑んだ。
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「ベンリルさん、お忙しいところすみません。明日、
「ソーヤさん、わざわざご丁寧にありがとうございます。
そうそう、ソーロバンですが
あと算術台ですが、先日帝国の商会があちらでの独占販売の契約をしていきました。王国だけでなく、帝国からもライセンス料がどんどん入ってきますよ。そのうちにソーロバンも売り出して…」
ベンリルさん… 完全に目が逝ってませんか…
「そ…そうですか…」
思わず顔が引きつってしまった。
「そのうちにまた来ます。その時はよろしくお願いします。」
「こちらこそ。次はどんなものが飛び出るか期待してますよ。」
ハードル上げないでよ… 次は、
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「こんにちは、デリダさん。明日、
「ソーヤ様、先日は…」
「様付け禁止です。」
「ソーヤさん、ありがとうございました。ギルマスのお部屋にどうぞ。」
部屋に入り、あのソファーに注意して座ると
「ジラルドさん。お世話になりました。明日、
「そうですか、
「いえ、やれることをやっただけですので。そうだ、
「ちょっと待ってください。デリダ、確認してきてください。
「はい、構いませんよ。もし他にも
デリダさんが戻ってきた。
「これですね、荷馬車の護衛依頼。西街道を進んで
「知人からの紹介ですので、そのまま受けます… そうだ、報告はどうすれば?」
「前金の依頼ですから、ここでサインしていただいて、完了後に先方のサインを貰ったら期限までに提出してください。巡回の騎士団や行商人に渡すか、こちらに来た時に提出していただければ。期限は1年間ですので。」
「わかりました。いろいろとお世話になりました。手紙ですが明日の朝の出発前までに持ってきていただければ
護衛の依頼を受け
後は、騎士団と道中の食事の準備だけど… 食事は護衛の依頼主が用意するって言ってたな。足はいつの間にか噴水広場に向かっていた。とある屋台を探すが無い。ジーンさんまだ体調悪いのかな? いたら挨拶しておこうと思ったんだけどな。
騎士団の駐屯地に向かう。うっかりしてたアポなしだ。今日の門番の人は知らない人だった。ロイージさんたちはまだ村々を調査して回っているらしい。マールオさんは
明日は西門で護衛依頼者と合流して出発。いよいよこの宿ともお別れ。次に
早めに夕食を済ませ部屋に戻る…ふと思い出した。うっかり種を
あれを作ってから寝ることにした。
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25日目、早朝に起き背負子に保存箱を積む。昨日分離したあれも鑑定しておく。部屋を見回し忘れ物を確認。昨夜届いた
「お世話になりました。ありがとうございます。」
誰もいない部屋に向かってお辞儀をする。
受付に行くと、ゴーロウさんとナツコさんが居た。
「お世話になりました。また
そう言って懐から ”たわし” を取り出し、作ってもらった偽装袋から ”デッキブラシ” を取り出す。
「これ僕の
「なんと… そんなものを頂いてもよろしいのでしょうか…」
「お世話になったお礼です。是非受け取ってください。ではお元気で。」
「またお越しになるのをお待ちしております。あの部屋は、ソーヤ様のお部屋として常に開けておきますので。いってらっしゃいませ。」
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
第4章 これにて終了です。
色々と詰め込み過ぎて、プロットの時点より、だいぶ領都(ラド)滞在が長くなってしまいました。
ここまで書き続けてこれたのは読んでいただいた方々のおかげです。
次章から、ようやくソーヤもラドサに向けて出発です。
毎日更新が少々辛くなってきましたが、頑張って書いていきますので、今後もよろしくお願いいたします。
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