第78話 転生の神様
部屋に戻りバケツの中を見る。スライムが頑張ってくれている。スローモーションで洗濯機の中を見ている感じだ。
なんだか眠気を誘ってくる。明日は呼び出しもあるし、素直に寝よう。
布団に入ると昼間の疲れが一気に押し寄せてきた…
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・・・また呼ばれた?
目の前に光の粒が集まり人型になる。
『ありがとう。スライムたちを救ってくれて。』
それは良いですけど、そんなにホイホイと呼び出しても女神様の神力は大丈夫なんですか?
『問題ないよ、君が救った人たちが祈りを捧げてくれたから。』
救った人たち? 今日スライムと一緒に、瘴気を浄化した人達が… おれがやったことに気が付いているのか? あまり大げさにしてもらいたくないのだけど。
『また呼び出したのは、他の神からお話があったからだよ。』
他の神様?
そう思っていたら、また光の粒が集まり出して人の姿になる。
『久しいの。元気でやっとるようじゃの。』
転生の神様… いったい何のお話があるの? 最初の転生者の話とか聞けるなら聞いておきたい。
『最初の転生者の話はまた今度じゃの。今回は送り出した時に説明しきれなかった事柄じゃ。』
送り出した時? そう言えば、業物の短剣や
『すまなかったの。あの場所を使える時間が限られていたのでの。伝えきれんかったんじゃ。女神の神力が戻るまでは、呼び出すことも叶わんと思っていたんじゃが、思いのほか早かったようじゃの。
その短剣じゃが、
え? 神様の骨を使った短剣? 呪いを断ち切るとか、勝手に戻ってくるとか… とんでもないものじゃん!! 奪われて勝手に使われたりしたら… 危険すぎる。
『おぬし以外、加護を持っていない者が使おうとしても、ただの切れ味のいい短剣でしかないから安心するんじゃ。見た目も地味じゃからの。』
見た目とかの問題じゃないんだけどな。悪用できないならいいけど。
『
…たぶん、この少し大きいは突っ込んではいけないのだろうな。
『次に、服じゃが。ある神が編んだ物じゃ。熱さ寒さを防ぎ、多少なら呪いや毒なども防ぐことが可能じゃ。靴は天命を全うした神獣の皮で出来ておる。疲れにくくなる効果ぐらいしかついておらんがの。服も靴も傷むことは無いサイズも自在じゃぞ。』
いや、服も靴もとんでもないものじゃないですか。かえって安心できなくなってきたよ。
『あっさり死なれても困るからの。サービスじゃ。』
サービスって、過保護にも… 助かっているから文句言わないけどさ。
『最後にわしからも、
転生神からの
『わしから贈った
【鑑定】の
『最後に言っておくがの。わしは転生の神ではないぞ。
わしはこの世界の創造神じゃからの。わしの話はここまでじゃ。ではの。』
ちょっと待って… 創造神様? 最上位の神様って事だよな。そういえば、転生の間で仕切ってたな… 光の粒になり創造神様は消えていった。
『と、いうことなんだよ。他の転生者は最初からもっと多くの
一つだけって言ってたのに? そういえば、サーブロさんも四つの
『私からも、贈り物を一つ
『私から贈ったのは、神域のスライム上位種の分体を繊維状にして編み上げた布だよ。汚れや瘴気を消せるよ。君の余った
切り分けることもできるけど、切り分けた布は大きさが変わらなくなるよ。切る時は注意してね。』
スライム上位種の分体、それでか… スライムが吸収されちゃうって言ったのは。
そうだ、聞いてみよう。
「女神様。たわしを拝むことで神力回復するなら、神像を作って拝んでもらった方が効果ありませんか?」
『! 思いつかなかったよ。そうすれば、どんどん神力の回復もできるね。
〔バインバインのあの頃に戻れるのも早くなるかも〕
お願いだよ。君が造れるのなら。すぐに造ってね。』
「僕は手先が器用じゃないので… でも、何とかしてみますね。」
『わかったの。スライムたちを助けてくれて…ありがとう…』
女神の姿が光の粒になり霧散していく。おれの意識は遠のいていった。
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20日目、起床して早々、バケツの中の服とスライムを確認する。
[おはようスライムくん。洗濯はできたの?]
[シトサマ…キレイニ…ナッタヨ…]
洗濯物を出して確認してみると… すごい。たわしで洗ったのと同じくらいにきれいになっている。
[すごい、完璧だよ!きれいになっている。ありがとう]
[…シトサマノ…ヤクニタテテ…ウレシイ…]
[聞きたいことがあるんだけど、他の子たちも同じ事できるのかな?]
[シトサマ…ボクタチハ…ミンナ…イッショ…デキルヨ…]
[そうなんだ、教えてくれてありがとう。あ、そうだ形を変えられるのかい。女神さまの姿になれる?]
[シトサマ…ナガクハ…ムリ…ダケド…デキルヨ…
…デモ…メガミサマノ…スガタ…ワカラナイ…]
そうか、姿が解らなければ無理だよな。念話で伝えられるかな?
[えっとね、こんな感じの姿になれる?]
女神の姿を思い浮かべて念話を送る。
スライムがウニウニと動き少しづつ形を変えていく。おぉ! 女神さまの姿だ。
[すごい!出来たね。ありがとう。壺に戻ってもらうけどいいかな?]
[…シトサマ…ワカッタ…]
壺の上にバケツを傾けると、スライムがにゅるんと壺に入り込む。
食堂に降りて朝食を頂く。
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