第79話 報告会議
朝食後、ゴーロウさんとサクラさんを呼び止める。
「今日ローベルト様に報告をすることになっているんですけど。その時にサーブロさんの日記の件も伝えておこうかと思うのです。
おそらくアマートさんからは報告されていると思いますけど。先日の
「そうですね。ただ、今日はその話… 打診のみにしておいていただけないでしょうか? アマートを交えて一度話をしてからにしたいと思いますので。」
「わかりました。アマートさんにも会うでしょうから伝えておきます。」
しばらくすると、迎えの馬車が到着した。スライムの入った壺を抱えて乗り込む。
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辺境伯の公邸に到着すると、先日とは違う円卓のある部屋に通された。すでにマクシル中隊長、マールオさん、ロイズさんが居る。
マクシル中隊長が手招きをしていたのでその隣に。
「マクシルさん、すみません昨日スライムうっかり連れ帰ってしまいました。」
そう言って、壺を円卓の上に置く。
「問題ない。昨日あれからすぐ気が付いたんだが、君なら心配ないだろうと思ってな。」
その割には隣のロイズさんの目が… 責めているように見えるんだけど… ペコリとロイズさんに向かって頭を下げておく。
ラベスさんが入室してくると、アマートさん、ローベルト辺境伯、御付きの人が入室してきた。全員が席に着くと御付きの人が
「全員揃ったようなので、私ジャルティが取り仕切らせていただきます。では第二中隊隊長、マクシル・カービ男爵からお願いいたします。」
マクシルさんの報告が始まる。
「では、昨日の下水道における汚染スライムの処理の件を報告いたします。当初の作戦では汚染スライムを追い込んだのち………
…ソーヤ氏の
その際に浄化されたスライムですが、騎士団の鑑定士による鑑定では人に危害を加えることがなく、瘴気耐性を持つことが判明いたしました。また【#&の眷属】という称号が付いていることも確認いたしました。
次に、瘴気被害を受けた住民の治療について報告いたします。
駐屯地の療養施設に搬送された被害者258名ですが、スライムおよびソーヤ氏の
ローベルト辺境伯が大声を上げる。
「今何と言った! スライムが治療したのか?」
「いえ、ローベルト様。治療はあくまでもソーヤ氏の
と言って、円卓の上の壺を辺境伯の目の前に持っていこうとする。その時におれは
「ローベルト様、発言よろしいでしょうか? その…スライムのことですが…スライムはそもそも【女神様の眷属】というのはご存知でしょうか?」
「【女神様の眷属】…幼いころ聞いたことがある。おとぎ話だとばかり思っていたが…」
「今まで肯定も否定もしませんでしたが、僕は女神様から加護を受けています。そのおかげでスライムと念話という形で意思の疎通ができます。例えば…」
壺を受け取り、円卓の上にスライムを出すと、女神の姿になるように念話でお願いをする。
ウニウニとスライムが蠢きだして…
「女神様の姿になるようにお願いしました。」
「「「「「「 !!!!! 」」」」」」
一斉にスライムの女神像を拝みだす。
失敗した…話が進まないかも。
「すみません、ローベルト様、そんなに長くこの形を維持できないようなので…」
もういいよと、スライムに念話を送ると不定形の状態に戻っていく。優しくスライムを持ち上げて壺の中に戻す。
「ソ…ソーヤ様! 女神様は、そのお姿の像を造ることをお許し下さるのでしょうか?」
逆にこちらがお願いするつもりだったので。
「実は、女神様からお祈りに使う像を造ってくれと頼まれています。でも僕は
「ジャルティ! 彫刻の
ドタバタしてしまったので、一時休憩になったのでアマートさんに日記の扱いの話をする。ゴーロウさんも一度話をしたいと言っていたことも伝える。
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落ち着いたところで、次の報告になる。アマートさんの報告だ。
「先日の瘴気発生の件、および聖公国の
瘴気発生の呪具を投げ込んだ人物を特定、一部ですが聴き取りが出来ました、当該人物は治療中の為、詳細な聴き取りは継続して行います。
呪具については〔ジーロット〕なる人物から ”幸福を呼ぶ魔道具” と偽って手渡された物。
〔深夜、人目に触れない様に水に投げ込めば願いが叶う〕
と言われたそうです。
呪具の形状は当該人物の証言、また回収作業に当たった騎士団員からの報告では、7年前の魔獣発生源になった沼地で発見された物に酷似しているようです。浄化の魔道具が到着次第、詳細を検分いたします。
〔ジーロット〕という人物ですが、先日の
消息を絶ったその翌日、例の聖公国特使がガラッハに到着するも、その特使一行も慌ただしく帰途につきました。おそらく特使と合流し逃走したと思われます。」
「状況的には、聖公国がまた仕掛けてきたという事か… 今回は偶然が重なり被害が出なかったが、結果論にすぎん… 明確な証拠はないが敵対行為を働いたこと、国王にも報告せねばならん。
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最後に家宰のジャルティさんからの報告
「騎士団管理局における不正が発覚いたしました。詳細は管理局のラベスが報告いたします。では、ラベス。」
「はい、ご報告いたします。
練兵所の座学において導入が決定した〔算術台〕の納品時に、カストル・サークーシュによる、資金の不正流用、収賄、不正転売行為が判明しました。関係先のパークリー工房、パッチモ商会には昨夜から調査に入っております。」
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