第3章 ソーヤ 領都ラドに行く
第32話 容疑者『 U 』の移送
明日の朝は、
荷馬車でも普通は三日かかるらしい。たぶんおれだけだったら、走っていった方が速い気がする。道がわからないけどね。
明日から洗い物とか大変になるんだろうなぁ。何とかできないかなぁ…
『…そ…れは…わ…たしに…おま…か…せだ…よ…』
うぉ、びっくり。神託だ。
いやいや、お任せだよって… 具体的にどうするんですか? なんとなくでふわっとしすぎでしょ。
『…とり…あ…えず…す…てー…た…すみ…てご…ら…ん…』
ステータスを見ればいいのか?
ステータス!
NAME: ソーヤ AGE:16 状態:健康(不安)
LV: 04 EXP: 20
スキル 【たわし】 :洗浄(L3)・脱水(L2)・乾燥(L1)
・分離 new!(L1)・付与 new!(未)
スキル 【柄付きたわし】:洗浄(L1)・消毒(L1)・滅菌(L1)
スキル 【&%$】 :10#%&$
加護 【
LVが4に上がってる。
なんだ? 【たわし】の所に増えて〈new!〉が付いている?
【分離】と【付与】 なんだこれ?
『…た…わ……しを…ほか…のひ…とに…わ……たせ…る…よ…』
『…わた…せ……るの…はひ…と…つだ…けだ…よ…』
『…と…うか……し…かも…た……ない…け…ど…』
『…いっ…ぱ…いふ…よ…すれ…ばの…びる…よ…』
『…で…もひ…と…つき…だ…けだ…よ…』
懸案が片付くじゃん。
分離した ”たわし” を一つだけ10日間は存在させるられるって事だよね。で・・・って "たわし”に何を付与するんだよ!説明足りないよ。
『…まり…ょ…くだ…よ……つ…かれ…た…から…ま…た…ね…』
魔力の付与か、それをすると一か月もつのか。何とか希望が見えてきたな。
ぁあ・・やっぱ・・り・・・こう・・・な・・る・・・の・・ね・・・
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翌朝、いつものように水瓶の水を入れ替え、顔を洗っていると
「よぅ。おはよう!」
と団長の声がする。振り返ると毎度のように怒ってるのか? 怒ってないのか? 判らない顔をあった。でもちょうどいいや、聞きたい事があったんだよね。
「団長、ちょっと聞きたいんですけど。」
「なんだ?」
「
これ見られたら、いきなり襲われたりとか殺されちゃうとかありません?」
「まぁ珍しいと言えば、珍しいんだが… 大きな商会の仕入れ担当や騎士団の輸送隊なんかは普通に持ってるからな。高価なものではあるんだが。」
「そうですか、問答無用で襲われるなんてことはないんですね。なら……」
「なら…? なんだ?」
「ウーゴが逃げれないように…
荷物を全部、僕の
最悪は逃げられても、その荷物を売れば今までの被害を軽く上回ってお釣りが来ませんか?
荷物を人質?
「ブフゥッ! くっくっくっ…ったく…お
…面白れぇ、やってみるか。全部じゃなくても、高価な物だけでもいいかもしれんな。」
団長… その顔でその笑い方。まるで完全に獲物を見つけた山賊ですよ。
家に戻って、ビラ爺と話す。
「ありがとうございました。世話になりました。」
「なんじゃ、もう二度と会えなくなるような言い方じゃな。」
「戻ってきますよ。絶対に。
「そうじゃの。無事帰ってくるのを待っとるぞぃ。」
ドアの外から、いつもの声が聞こえる。
「ビ~ラ~
テーブルにトレーを置くと、二人がおれの目の前に立つ。
「行っちゃ「うの?」」
相変わらず微妙なハモり方。
「うん、これが僕の出来る
「でも約束するよ。必ず帰ってくるから。」
そう答えながら、両手でそれぞれ二人の頭をなでる。
「約束だよ!待ってる「から!」」
食器をもって井戸の洗い場に、そうそうあれも渡しておかないとね。
洗い場にはベルナさんが、待っていた。
「はぁ~~… 今日でこの素晴らしいソーヤ(=たわし)との関係も終わりなのね。」
「なんですか。その誤解を招く様な言い回しは。
でも、そんなベルナさんにはプレゼントがあります。」
目の前に "たわし” を差し出す。
「ちょっとこれ使ってみてください。」
ベルナさんは首をひねりながら受け取って、お皿を一枚洗ってみる。
「え!!!! ソーヤ、これって・・・」
「実は
僕が居なくても、一か月は使えますよ。
ただ、今はこれ一つしかないので、食器洗い専用にしてくださいね。」
満面の笑みで頷くベルナさん。よかったよ。これで心配事減ったし。
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さて、
「おい!ウーゴ!
「やれ! ソーヤ!!」
おれは荷馬車に近づき
あれ? 皆さんどうしたの??
あ゛……
「無事に、
その
わかったら、さっさと行け!」
隣の顔面蒼白のウーゴが操って荷馬車は動き始めた。
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