第3章 ソーヤ 領都ラドに行く

第32話 容疑者『 U 』の移送

 明日の朝は、領都ラドに向かって出発。

 荷馬車でも普通は三日かかるらしい。たぶんおれだけだったら、走っていった方が速い気がする。道がわからないけどね。


 明日から洗い物とか大変になるんだろうなぁ。何とかできないかなぁ…


『…そ…れは…わ…たしに…おま…か…せだ…よ…』


 うぉ、びっくり。だ。

 いやいや、お任せだよって… 具体的にどうするんですか? なんとなくでふわっとしすぎでしょ。


『…とり…あ…えず…す…てー…た…すみ…てご…ら…ん…』


 ステータスを見ればいいのか? 


 ステータス!

 NAME: ソーヤ  AGE:16  状態:健康(不安)

 LV:  04  EXP: 20

 体力HP : 22/22

 魔力MP : 14/14

 攻撃ATK :  16(+3)

 防御DEF :  21

 強度STR :  26(+1) 

 知能INT :  16(+1)

 器用DEX :  23(+1)

 移動AGI :  25(+3)


 スキル 【たわし】   :洗浄(L3)・脱水(L2)・乾燥(L1)

     ・分離 new!(L1)・付与 new!(未)

 スキル 【柄付きたわし】:洗浄(L1)・消毒(L1)・滅菌(L1)

 スキル 【&%$】   :10#%&$ 

 加護  【清浄たわしの女神の加護】 【転生神の気まぐれ】


 LVが4に上がってる。体力HP22:魔力MP14か、少し伸びてるな。全体能力も上がってるし。


 なんだ? 【たわし】の所に増えて〈new!〉が付いている?

 【分離】と【付与】 なんだこれ?


『…た…わ……しを…ほか…のひ…とに…わ……たせ…る…よ…』


『…わた…せ……るの…はひ…と…つだ…けだ…よ…』


『…と…うか……し…かも…た……ない…け…ど…』


『…いっ…ぱ…いふ…よ…すれ…ばの…びる…よ…』


『…で…もひ…と…つき…だ…けだ…よ…』


 懸案が片付くじゃん。

 分離した ”たわし” を一つだけ10日間は存在させるられるって事だよね。で・・・って "たわし”に何を付与するんだよ!説明足りないよ。


『…まり…ょ…くだ…よ……つ…かれ…た…から…ま…た…ね…』


 魔力の付与か、それをすると一か月もつのか。何とか希望が見えてきたな。


 清浄たわしの女神様!! ありがとう!!


 早速そっこう試すか、 "たわし召喚!” & "たわし分離!” って、一気に持ってかれた…これで魔力MP4消費しちゃったよ。まあいいか、今日はもう寝るだけだし。どうするんだ? 念じてみる? 魔力全力注入!!


 ぁあ・・やっぱ・・り・・・こう・・・な・・る・・・の・・ね・・・



 --------------


 翌朝、いつものように水瓶の水を入れ替え、顔を洗っていると


「よぅ。おはよう!」


 と団長の声がする。振り返ると毎度のように怒ってるのか? 怒ってないのか? 判らない顔をあった。でもちょうどいいや、聞きたい事があったんだよね。


「団長、ちょっと聞きたいんですけど。」


「なんだ?」


マジックバックって、とても珍しいんですか?

 これ見られたら、いきなり襲われたりとか殺されちゃうとかありません?」


「まぁ珍しいと言えば、珍しいんだが… 大きな商会の仕入れ担当や騎士団の輸送隊なんかは普通に持ってるからな。高価なものではあるんだが。」


「そうですか、問答無用で襲われるなんてことはないんですね。なら……」


「なら…? なんだ?」


「ウーゴが逃げれないように…

 荷物を全部、僕のマジックバックにしまっちゃたらどうでしょうか?

 最悪は逃げられても、その荷物を売れば今までの被害を軽く上回ってお釣りが来ませんか?

 荷物を人質? 物質ものじち? にしてしまえば…」


「ブフゥッ! くっくっくっ…ったく…おぇ、えげつないこと考えついたな。

 …面白れぇ、やってみるか。全部じゃなくても、高価な物だけでもいいかもしれんな。」


 団長… その顔でその笑い方。まるで完全に獲物を見つけた山賊ですよ。



 家に戻って、ビラ爺と話す。


「ありがとうございました。世話になりました。」


「なんじゃ、もう二度と会えなくなるような言い方じゃな。」


「戻ってきますよ。絶対に。

 開拓団ここですから。」


「そうじゃの。無事帰ってくるのを待っとるぞぃ。」


 ドアの外から、いつもの声が聞こえる。


 「ビ~ラ~ぃ~! ソーヤ~! 朝ごはん持ってきたよ~! ドア~あ~け~て~!!」


 テーブルにトレーを置くと、二人がおれの目の前に立つ。


「行っちゃ「うの?」」


 相変わらず微妙なハモり方。


「うん、これが僕の出来る仕事やくめだからね。」


「でも約束するよ。から。」


 そう答えながら、両手でそれぞれ二人の頭をなでる。


「約束だよ!待ってる「から!」」



 食器をもって井戸の洗い場に、そうそうも渡しておかないとね。

 洗い場にはベルナさんが、待っていた。


「はぁ~~… 今日でこの素晴らしいソーヤ(=たわし)とのなのね。」


「なんですか。その誤解を招く様な言い回しは。

 でも、そんなベルナさんにはがあります。」


 目の前に "たわし” を差し出す。


「ちょっとこれ使ってみてください。」


 ベルナさんは首をひねりながら受け取って、お皿を一枚洗ってみる。


「え!!!! ソーヤ、これって・・・」


「実は昨夜さくや女神さまからのがあって、作ってみたんです。

 僕が居なくても、一か月は使えますよ。

 ただ、今はこれ一つしかないので、食器洗い専用にしてくださいね。」


 満面の笑みで頷くベルナさん。よかったよ。これで心配事減ったし。



 --------------


 さて、容疑者ウーゴ開始の時間だ。


「おい!ウーゴ!

 開拓団おれたちは、てぇを許してもいねぇし、信用もしてねぇ。   だ、おめぇの荷物を預からせてもらう。」


「やれ! ソーヤ!!」


 おれは荷馬車に近づき鬼兎オーガラビットの毛皮や他の物。ウーゴが開拓団ここで仕入れたものをすべてを、マジックバックにぶち込んだ。


 あれ? 皆さんどうしたの??

 あ゛…… マジックバックのこと、……。


「無事に、領都ラドの商会にいて、会頭がこちらに来て謝罪するまで預からせてもらう。

 そのマジックバックなんでな、こいつ以外取り出せねぇようになってる。

 わかったら、さっさと行け!」


 隣の顔面蒼白のウーゴが操って荷馬車は動き始めた。

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