第29話 算数教室 in 異世界

 では算数という大冒険に出る、命知らずの生徒達の紹介だ!


 年齢順に、マルコ(13)、ルシアナ(12)、エリザ(10)、

 ガルゴ(10)、ジェス(10)、アマル(8)、マリサ(8)、

 カーラ(7)、ハンザ(6)。


 テーブルが狭いので、床に車座になって座る。細長い箱をそれぞれに配り。真ん中に3色の小石入れた箱を置く。


「じゃあ、はじめるよ。」


 この石の小箱。

 実は元の世界で就学前の子供に、算数の初歩を教える玩具がもとになっている。鬱を発症する前、従兄いとこの家で見かけてたんだよね。


「「「「「「「「「 はーい! 」」」」」」」」」


 うん。素直だ。実に素直。


「最初に好きな色の石を 5《ご》個とりま~す。1《い~ち》!」


「「「「「「「「「 いーち! 」」」」」」」」」


・・・


「1《いち》 から 5《ご》 まで 数えれた人!」


「「「「「「「「「 はーい! 」」」」」」」」」


「次は、違う色の石を5個とりま~す。 6《ろ~く》!」


「「「「「「 ろーく!! 」」」」」」・」・」・」


 ハンザ君、カーラちゃん、マリサちゃんどうしたの?


「「「5《ご》までしか数えたことが無い…」の…」よ!」


 おっとこれは並んだ順番が悪いな、小さい子が固まっちゃってる。

 ちょっと座ってる位置かえようか。


 |マルコ|ハンザ|ルシアナ|カーラ|エリザ|マリサ|→

 |ガルゴ|おれ|ジェス|アマル|


「じゃあ、次、7《ナナ》から行くよ、年上の子は隣の子の面倒見てあげてね。いくよ~! 7《な~な》!」


 ・・・


「これで10まで数えました。箱の中に10個の石があります。」


 今度は戻してカウントダウンをしていく。何回か繰り返す。


 子供は覚えが速い。ハンザ君もちゃんと10まで数えられるようになった。次のステップ。繰り上がりのない足し算。


 みんなが石を戻したのを確認して


「次はざんです。」


「「「「「「「「「 たしざん? 」」」」」」」」」


 子供たちが見事にシンクロして首を右側にかしげる。


「そうです。籠の中にケルルが2個あります。もう1個ケルルを収穫して入れます。籠の中のケルルは何個かな? はい!ジェス君」

 

「えーと…… 二つ入ってて、もう一つ入るから……。三つだ!」


 ジェス君は指を折って数を答える。


「正解!」


 ”にまぁ” といい笑顔になる。


「次に、籠に3個入っていて、もう3個入れるとどうなるかな?

 はい! ガルゴ君」


「んと…… えっと…… 指が足りない!」


 そうなるよね。


「指で数えたらそうなっちゃうよね。じゃぁ、みんなでさっきの石入れを使ってやってみよう。」


「最初に入っているのが3個。はい、石を置いて…できたかな?そこにもう三個入れてみよう。

 いくつになった? はい、マリサちゃん!」


「いち、にい、さん、しい、ご、ろく? ろく!!」


「はい正解。こうやって合わせて増えた数を数えるのが、ざん。わかったかな?」


「「「「「「「「「 わかったー! 」」」」」」」」」


 こうして、がりのない計算はみな出来るようになった。

 もちろん石入れ計算機も指も使わない暗算でだ。


 次のステップ。

 だいたいがり算でつまづくんだよね。


「じゃあ隣の人と二人一組になって。っと、ジェス君はマルコ君と組んで。アマル君は僕とね。」


「じゃあ、石入れを並べて。横じゃなくて、そうそうみんな並べたかな?」


「今度はちょっと難しいかなぁ? 6たす7は いくつだ? さぁやってみよう。」


「アマル君、まず6つ入れてみよう。

 そうそう、そうしたら、もう一個の石入れに7つ入れてみよう。

 そうそう、みんなできたかな?」


「「「「「「「「「 はーい! 」」」」」」」」」


「それじゃあ、どっちでもいいから片方から、もう片方に石を入れて隙間を埋めてみよう。そうそうアマル君」


「できたかな? いっぱいになった石入れ。さっきいくつになった? はい!ハンザ君!」


「じゅう!」


「そうだね、石入れを見てみよう。10の石入れと、残りは・・・「三つ」」


 ハンザ君が喰いついてる。いいねいいね。


「ということは、6たす7は? はい!ルシアナちゃん」


「13《じゅうさん》!」


「正解!」



 こうして、がり算も無事クリア 駄洒落だじゃれじゃないからね。その後も続けて初日は終了。


 翌日は引き算。

 石入れ計算機のおかげで、基本の考え方が身についてきた。翌々日は二桁の足し算・引き算。もうみんな、完璧に覚えた。三桁も出来ると思う。次のステップは掛け算かな九九の表作るか。そろばんも欲しいな、こっちでは売ってないかな? ベルデさんに作ってもらうか。



 --------------


 ビラ爺の腰の具合も落ち着いてきた。今日はバラーピカの小屋も完成したので。バラーピカのお引越し。


 子供たち9人で……ちょっと人数多すぎない? バラーピカ抱えているのは、カーラちゃんとエリザちゃんとマリサちゃん。


 すっかりバラーピカもなついちゃったよ。抱えなくても後ろをついて歩いてくるかもしれない。


 小屋に入れたバラーピカに野菜の葉っぱとかをみんながあげていた。

 シャクシャクと食べてるよ。確かにこの姿を観ちゃったらねぇ… しばらくそんな様子を眺めてほっこりしていたら。


 街道の東側から、荷馬車かな? 向かってくるのが見えた。


 おっと、バルゴさんが凄い速さで団長の家に走っていく。


 どうやら行商人が到着したようだ。井戸前広場にみんなが集まってきた。

 団長が中央で腕を組んで待っている。

 だから、その顔じゃ怒ってるのか? 怒ってないのか? 判んないですよ。

 でも、商人相手だからこれでいいのかも。 


 そんなこと考えている間に行商人が到着した。


「ザッカール団長お久しぶりです。」


「ウーゴさん、遠いところはるばるようこそ。」


 ニコニコと笑顔で挨拶する二人。


 ……団長さん。さっきまでのあの顔はどこに置いてきたん?



 --------------

 13歳で計算できないのは、ちょっとと思うかもしれませんが。

 学校も無い・行っていない設定ですので。


 カッコが多くてすみません。

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