第24話 バラーピカ
しばらく時間をおいてから先ほど仕掛けた罠にゆっくり足を忍ばせて近づく。
よし、掛かってるよ。足に罠が巻き付いて身動きが取れなくなってるよ。
バラ-ピカを観察する。ちょっと大きめの猫サイズ。体長30cm、体高20cm。10kgぐらい? ずんぐりむっくりで茶色の硬そうな毛。そして面長な頭部にちょこんと出た耳。
こいつあれだ、冬になると温泉に浸かっている姿がニュースで流れる奴。あれにそっくりだ。
これが、バラ-ピカか。
「うむ。目の色が青いの。これなら大丈夫じゃ。袋を出してくれ。」
目の色で何か違うの?と思っていたらビラ爺が
「このバラ-ピカは無毒じゃから、
え? 無毒?? ってことは、有毒のもいるの? 噛付くの?
「心配せんでもえぇ、嚙まれたからと言って毒が身体に廻ることはないからの。」
また見透かされた。
「その身の肉に、毒が有るか無いかの違いだけじゃ。ほれ、こいつの目を見てみぃ。青いじゃろ。」
「毒がまわっとるやつは、目が赤くなるでの。
袋にバラ-ピカを入れる。残りの罠を見回るともう2匹かかっていた。
1匹は無毒。もう1匹は目が紫色っぽくなってて微妙。これは
袋担いで帰るのも大変だと思って、
帰ってきたら、バラ-ピカを家の脇にある木の柵でできた小屋みたいなところに入れる。これでしばらく生かしておくんだって。数日だから餌をあげることはしないみたい。
こいつが餌喰ってるの見たら、情がわきそうだし…。
明日、狩りに使うのは、1匹だけ。数日開けてもう一度狩りに行くって。
連続で狩りをしないのは、警戒させてしまわないようにするのと、狩り過ぎないようにするためなんだって。ちゃんと資源管理できている。
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翌日、朝から元気な声を響かせる二人。食事を終え食器をかたずけようと外に出たら、家の脇の小屋のバラ-ピカをカーラちゃんがじっと眺めてたよ。
「カーラちゃん、それ
「うん。わかってるもん!」
そういう割には・・・・ね。
今日は、マリーダさんと食器洗い。手早く終わらせたら狩りの準備。
そんなに ”たわし” を見つめないで。送還したらすごく残念そうな顔をしてた。
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戻るとビラ爺はもう準備が終わってた。弓と矢筒を担いで手にはごそごそと動く袋。
おれもすぐに家に入って準備整えて出てくる。
「では、いくかの。」
そういうとビラ爺は歩き出す。家の陰からカーラちゃんが悲しそうな目で、こっそり見ていたのは気づかないふりをしておこう。
バナソ川の河原を目指す。見えてきた、あの藪とそのわきの河川敷。ビラ爺は手前で立ち止まるとあたりを見回す。
「こっちが風下じゃな。ソーヤ、狩り場に近づいたら、まず風向きを確認すんじゃぞ。」
そう言って藪と河川敷から離れた場所に歩き出す。
「風上に立ったら、獲物が逃げてしまう。これは一般的な狩りの場合じゃ。」
「あいつら
ビラ爺のあとをついていきながら思い出してみる。奴らと最初に遭遇したときは・・・確かに奴ら風下から近づいてきたな。
ビラ爺は袋からバラ-ピカを取り出す。もうすでに後ろ足にしっかりと縄が結ばれている。
「さて、仕掛けるかの。」
そういうとゆっくり河川敷に向かい、バラ-ピカをつないでいる縄の反対側に結び付けた金属性の杭を砂地に深く差して固定する。静かに戻ってくる。静かというか足音も気配も消えてます。隠密スキルすげぇな。
「ここは大体この時間になると風向きが変わるんじゃ。」
揺れている藪の動きが変わり、奴が静かに現れた。来た
ビラ爺が弓を構え、矢筒から矢を2本引き抜くと静かに弓につがえ構える。
その瞬間、ビラ爺の引き絞られた弓から矢が放たれる。ちょっと方向がずれているような?? 横風に乗って軌道が変わる。そして
「まだじゃ、もう一匹来る。」
そういって、また矢をつがえる。今度は藪から出てきた瞬間をとらえた、放たれた矢はそのまま
「しくじった。行くぞぃ。」
そういうと、弓を背負い、短剣を抜き手負いの
ものすごく暴れている。ビラ爺が短剣でとどめを刺そうとしたとき、よろめいた
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