第22話 コレが、おれの力

 喉がカラカラ。水瓶からカップ一杯の冷たい水を一気に飲んで目が覚めた。

 あの美味しかったけど、少し酔いが残っている? ひどい残り方じゃないけど。


 ビラルさんはまだ寝ているようなので、水瓶を持って外に。今朝もひんやりしているな。これから日々寒くなるってビラルさんが言ってたな。井戸へ向かった。


 顔を洗って、水を入れ替えた水瓶を持ち家に戻る。


 そういえば、起きたらステータス確認しようとしてたんだっけ。テーブルに着いて・・・簡易ステータス!でいいのか? やってみればわかるか。


 簡易ステータス!


 NAME: ソーヤ  状態:健康

 LV:  03  

 体力HP :  16/16  

 魔力MP :  11/11


 スキル 【たわし】【柄付きたわし】 洗浄(L3) 脱水(L1) 

 加護  【清浄たわしの女神の加護】 【転生神の気まぐれ】


 かなりすっきりした表示になったな。うん。体力HP魔力MPは回復している。


「あ、ビラルさん、おはようございます。お水どうぞ。」


 ビラルさんが起きてきた。二日酔いだって。あれだけ呑めばそうなるよね。でも今朝は腰の調子が良いそうだ。


昨夜ゆうべはすまんかったの。ちと呑みすぎたわい。バルゴがあんな良い酒隠してたから悪いんじゃ。」


「ビラルさん、って言ってましたよね、どこにいるんですか? 蜜を採るのが大変そうですね。」


「ソーヤ、そのって呼び方やめてくれんかのぅ。」


「呼び捨てでかまわんし、チビ達と同じでもかまわん。一緒に暮らすのに他人行儀で尻がムズムズして落ち着かんわい。」


 そんな話をしていると、今日も元気な声がドアの外から聞こえてくる。



 --------------


 食器をもって、井戸の洗い場に向かう。ベルナさん。ニッコニコしながら待ってたよ。脇には昨日と同様に食器の山。さてやりますか!


 では早速 "たわし召喚!”


「ねぇ、魔力は大丈夫? 昨日の魔力切れで倒れたのを見ちゃったから、ちょっと心配なのよねぇ。」


 気を使わせてしまった。


「大丈夫です。一晩寝たらすっかり回復したみたいなんで。一日に15回ぐらいは "たわし召喚!” できそうですから。」


 昨夜のの内容を思い出してザックリ計算して言う。

 あ…でも、明日以降は、このスキル知らない人が当番なんだよな。これを知らない人が見たら… "たわし召喚!” は、まずいよね。


「あの、明日以降なんですけど。この事を知らない人に、スキル見せて大丈夫なんでしょうか?」


 ベルナさんが、はっとした顔になった後、眉間にしわを寄せる。


「そうよねぇ。明日はマリーダが当番なのよね…。あのそそっかしいし、すぐに大騒ぎするし、やっぱりみんなに知ってもらっていた方がよさそうね。」


「ちょっと待ってて。ザック呼んでくるから。」


 そういうと急いで家に戻っていった。あの、もう洗い終わるんですけど。。



「なるほどなぁ。確かにそりゃまずいな。どうせそのうちにバレちまうだろうから、前もって言っておいた方がよさそうだな。」


 ベルナさんと一緒に戻ってきた団長はそういった。


「どうせしばらくここにいるんだから、みなに改めて紹介しておくか。ちょっと呼んでくる。」


 団長が声をかけると、開拓団の面々がぞくぞくと井戸前広場に集まる。


みな! ちょっと聞いてくれ。

 でここに寄ったソーヤなんだが。しばらくこの村で暮らすことになった。」


「よろしくお願いします。」


「「「「「 歓迎するぜ」するわ」しますよ」るよ」・・」


「で、みなに知ってもらいたいことがある。こいつのスキルだが・・・見せたほうが早いな。ソーヤ!」


 そういわれ、一歩前に出て右手を突き出す。右手に注目が集まったところで。


 "たわし召喚!”


「「「「「 !!!!! 」」」」」


 そしてビラ爺が、昨日処理できなかった鬼兎オーガラビットの毛皮を持ってきた。たわしに水を付けて、軽くこする。


「「「「「 !!!!! 」」」」」


「すげー!! 一瞬できれいになっちまった。。」


「それって、なんでもそうなるのか?」


 そう聞かれたので、どうしようかと団長を見るとうなずいていたので、食器の話・服の話・トイレの話をした。


「昨日トイレに行った時、いつの間に建て替えたんだと思ってたけど、そのせいだったのか。しばらく見とれちまって長居しちまったぜ。」


「おまえのトイレが長いのはいつもの事だろ!」


 誰かがそうつぶやいたのが聞こえると。みんな大爆笑だった。


「わっはっはっ・・・ちげぇねぇ!」


 みんなトイレには少なからず思うところがあったみたいだ。

 皆が次々に「よろしくな」と言いながら肩を軽くたたいて、それぞれの仕事に戻っていく。



 --------------

 そして、お洗濯の時間。3つの大きなかごに山盛り。たらいに水を張って軽く水洗い。

 そして "たわし召喚!” ・・・・ ゴシゴシ!ゴシ!ゴシ!

 えっ・・・手にしたのはかぼちゃパンツ。 これ、女性の下着だよな・・・手が止まってしまった。


「や~だ~よ~、ソーヤったら顔赤くしちゃってぇ。あたしたちゃ気にしないから、さっさと洗っちゃっておくれ。」


 いや、おれが気にしちゃうんだけど。


 ここは無心、無心、無心・・・


 洗い終わって、物干しに掛けたらたわしの水気をきって、乾燥!開始! 次々に乾かしていく。


 あ・・・これ・・・ここは無心、無心、無心・・・

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