第18話 わたしとたわしのおはなし
死んだ
たわしを送還して手から消すと、ベルナさんが
「あの、戻ってから話しますから・・・」
「あ・・・・あぁ、そうだな。戻ってから落ち着いて話そう。」
まだこちらに戻りきっていないね、ザッカールさんは。
ザッカールさんの家に戻り、揃ってテーブルに座る。二人の視線が・・・ちがうな、実質一人の鋭い視線・・・が刺さる。
「ねぇ、ソーヤさん。さっきのたわしどうしたの?」
言葉に
「じゃぁ、この
そう切り出して話し始めた。
「ザッカールさん・ベルナさん。神様と会ったことはお話ししましたよね。その時に頂いたんです。この
TFPっぽいあれとかの話は
「で、送り出された時に、只 ”たわし” というだけで全く説明もなく使い方も全然わからなかったんです。」
「昨日、
そこから、川で汚れを落とそうとしてた時に思い付きで念じたら ”たわし” が召喚されたこと。
その ”たわし” で汚れを
冗談で乾かそうと思って服を
血まみれの
砂や石に付いた血も消えたこと。
"たわし”は常に清潔な状態で召喚されること。すべて話した。
「さっきのアレ見てなきゃ信じられん話ばかりだな。」
「で、今朝はルーミアの洗い物の手伝いをその ”たわし” でしたのね。」
「えぇ、かなり驚かせちゃったみたいですけど・・・。」
「ねぇ、ねぇ! 明日も洗い物手伝ってくれない?
私が当番なの。うふふふっ。」
「ベルナ! お
「やーねーぇ。私が楽するだけの為に言ったわけじゃないわ。これからどんどん寒くなって水も冷たくなるのよ。
食器の汚れも落ちにくくなるし、手は
「食事作る時もお野菜洗うのに冷たい水使うのよ!!」
「お洗濯だって使うのは冷たいお水なんだから!!!」
「いいわよね!! 洗い物しない、おとこのひとは!!!!!」
「明日から、あなた達がやってくれるの?
それならいいわよ別に。・・・クドクド・・・・・・ 」
うわぁ。なんか途中から日頃の
「わかった!わかった!俺が悪かった!! ベルナにはいつも感謝してんだ。」
「ほんと? い~っつも、そうやって誤魔化して。」
「そんな事は無い、こんな俺に20年もついてきてくれてるんだ。感謝してないわけがないだろ。」
「ほんと? ほんとうに?」
「俺はお
「私もよ、愛してるわ ザック」
ここは砂糖工場か! 目と耳から砂糖が入り込んで、口と鼻からシロップを垂れ流しそうだぁぁぁ・・・。すみません退室許可いただけませんか?
おれの目が黒目だけになって眺めていたのに気が付いたのか、ベルナさんが口を開く。
「じゃあ、ソーヤに手伝って貰うのは決定でいいわね。ザック。」
「あぁ。わかった。ソーヤには、洗い物と洗濯を手伝って貰う。 でいいんだな。」
なんでそこでベルナさんに同意求めるの? あなた”団長”でしょ。この時点でおれの中でベルナさんが影の団長に決定した。
「で、さっき
ちょっと待ってろ。」
そういうと、家の裏で解体をしているビラルさんに声をかける。
「ビラル爺! 解体終わった
「おぅ! わかったぞぃ!」
返事があって、ビラルさんが解体したばかりで血の跡が残る毛皮を持ってきた。
「ビラル爺、これから見ることは他言無用にな。」
「うむ。」
「ソーヤ。やってくれ。」
おれは右手を突き出して "たわし召喚!” と念じた。目の前で堂々と召喚したのは初だな。
「すいません、桶に入れたお水お願いします。たわしが浸かる程度でいいですから。」
ベルナさんが台所から持ってくる。
たわしに水を含ませると、血のりが付いた毛皮の表面を軽く
「「「 !!! 」」」
3人の目の前で一瞬にして、血で汚れた毛皮がきれいになった。
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