第16話 続・続・尋問(お・は・な・し)

 おれ以外の皆さんはアリーシアさんの事を当然知っている。開拓団の仲間だったからね。どんな状況だったかは今ここで聞けるわけがない。聞くつもりも無い。


 で話は見分に戻る。


「デカいなこの角。好事家コレクターはかなりの高値つけそうだな。」


 売るだって? 思わず口を挟む。


「これ、この角ですけど。僕としてはビラルさんに受け取って貰いたいです。だってですよ。絶対にビラルさんに受け取ってもらいます。」


「「「「 ???? 」」」」


「ソーヤ。気持ちは嬉しいが、アリーシアはわしのじゃぞ。」 


「!!!」


 間抜け顔で視線をビラルさんに向ける・・・~。 某CMの口調で言いそうだよ。勘違いで先走ってしまった、恥ずかしいぃぃ。


「まぁ、なんとなくソーヤがどんな奴か解ってきたな。」


 ザッカールさんが、ニヤニヤ笑いながら言う。


「さて、ソーヤ。マジックバックの中身はこれだけか?」


 言われて思い出す。あと2匹収納してある。


「・・・実は、河原で遭遇したのは3匹なんです。ですからあと2匹入ったままです。」


「おいおいおい! それひと財産だな! で、どうする??」


 ザッカールさん!目が (肉) (肉) になってますよ。額に肉じゃなくてよかったよ。


「来たばかりで、売る伝手つてもないので、この開拓村で活用していただければ。」


 ザッカールさんの目が怒りで  (▼) (▼) ・・・え? 何? 何?


「ソーヤ、おぇにはしてもらう必要がありそうだなぁ・・・」


「いいか! よく聞け!! 此処はだな。

 開拓”” ではなく 開拓””だ。」


   ☆彡 ス パ コ ー ン ! ★ ! ☆ !


 チョーいい音。うわぁ…それって、お茶持ってきたトレーじゃん。ベルナさんを絶対に怒らせてはいけない。


「あんた!! いいかげんにおしっ!! ちっとも話が進まないじゃないかい!! ソーヤ! 残りを広場に出してきなさい。」


 あまりの剣幕に頷き、井戸前の広場に歩いていこうとすると


「オイ! 待て待て! 広場はまずい。この家の裏に出してくれ。」


 冷静さを取り戻したザッカールさん。確かに広場で ”” と取り出したら大騒ぎになりそうだし。


 裏庭に廻り、マジックバックに手を入れ鬼兎オーガラビットの耳を掴んで !と取り出す。 ほい、もう1匹。


「ビラル爺、解体頼めるか? バルゴ!手が空いてる奴ら集めて燻製の準備だ!」


「うむ、まかせておけ。」


「はい!団長!」


 ビラルさんは解体用のナイフを取りに、バルゴさんはまた畑に向かって走り出した。


「じゃあ、戻って見分再開だ。」


 ザッカールさん、ベルナさんと一緒に家に戻る。


「まだマジックバック入っているものはあるか?」


 そういわれて、マジックバックから銀貨の入った革袋と手ぬぐいを出す。


「財布と、端切れか。 よし、後は 。」


 そうだよね、おれしか使えないマジックバックに何が入っているかなんて、所詮はだものね。


「最後はナイフか。ちょっと見ていいか?」


 そういうと、ザッカールさんは革カバーからナイフを抜いて、まるで舐めるように隅々まで見ている。ナイフを革カバーに戻してまた舐めるように見る。


「こいつはすげぇ業物ワザモノだな。鍛鉄たんてつに…おそらくだがミスリルが混じってやがる。

 そこらの鍛冶師じゃ鍛えることすらままならんだろうな。鍛えてる最中に起こして、ぶっ倒れちまうのがおちだ。

 あと、このカバーだけどな、こいつもがかかってる。

 ったく…なんてもん持ってるんだか。」


 そういってテーブルに戻すと、天井を見上げ考えこみ始めた。しばらくするとおもむろに向き直って口を開く。


「ソーヤ。おぇはたぶん使ってやつに当てはまる。何か使命とか抱えてるもんあるんだろ。

 あぁ…言わなくていい。おれじゃあ聞いても理解できそうも無いからな。」


「えっと。あのですね。 神様に会った時に言われたんです。『使命とか与えるつもりも無い、心の赴くままに生きろ』って。」


「ふ~んそうか、じゃあしばらくここに居ろ。おぇにゃ、ここの常識ってもんが足ねぇ、危なっかし過ぎて見てらんねぇからな。

 しばらくはビラル爺の家で暮らせ。狩りや解体の技術なんか教えてもらえ。おぇにも、ビラル爺にもそれがよさそうだ。」


「ありがとうございます。お世話になります。」


 そういって、ザッカールさんの家をお暇しようとしたら。ベルナさんが叫んだ。


「ちょっと待って!待って!待って!

 すごい  ”たわし”  の話忘れてるわよ。」


  まだ釈放には程遠い様だ。。。


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