第15話 続・尋問(お・は・な・し)です。

 軽く「なんか似ていないか」とか言ってるけど。

 たぶんそれ、おれの前に来た転生者で間違いないです。いいなぁ、料理の神の加護を持ってたのか。

 おれは たわしの女神の加護で "たわし召喚” だし。


 ” ビリリッ! ”


 おぉぅ。。びっくりした。なんだなんだ?


 バルゴ。ビラル爺の所に行って呼んで来い。ついでに、ソーヤの持ち物も全部持ってこい。」


「はい!団長!」


 とても農家とは思えない、とした敬礼をして、バルゴさんが出ていった。


「戻ってくるまで、ちょっと休憩だ。さすがに頭が廻らねぇ。ベルナ、お茶入れてくれるか?」


 ベルナさんと一緒にルーミアさんが台所に、ここに残っているのは、おれとザッカールさんだけ。き、気まずい。

 そう思っていると、トレーに乗せたお茶をもってベルナさんが戻ってきた。あれ?ルーミアさんは?


 出されたお茶を口に含んだ瞬間、口一杯にさわやかな香りが広がり、蘞味えぐみの全く無い上品な苦みが追いかけてくる。一言で美味い。ハーブティーかな? 緊張して喉がカラカラだったから一気飲みしてしまった。その様子を見ていたベルナさんが


「おかわり持ってきますね。そうね、ポットのままの方が持ってきましょうか。」


と言って、再び台所に行ってしまった、お願いですからぁ・・・ザッカールさんと二人だけにしないでぇぇ。


 そんなこんなで気まずい時間を過ごしていたら、ビラルさんとバルゴさんが戻ってきた。バルゴさんの手にはマジックバックと革カバーに納めたナイフ。バルゴさんが何か言いたげにおれを見ている。


「バルゴ、とりあえずテーブルの上に置け。ビラル爺すまんな、約束の時間よりだいぶ早くなってしまって。」


「かまわんよ。この腰では狩りにもいけんし、暇を持て余すだけじゃからの。」


 ビラルさんは只の狩人兼農家だと思ってたけど違うみたいだ。


 ルーミアさんがポットを持って戻ってきた。ビラルさんとバルゴさんにもお茶を入れて、テーブルに着く。


「では、見分をはじめ 「すんません、団長!」 」


「ソーヤの寝ていた部屋を探したんですけど。昨日見たオーガラビットの角がないんです。」


 バルゴさんが、サッカールさんの言葉を遮る。ああ、それね。マジックバックに入れてあります。


「ん?ソーヤ、どこに置いた?」


「えっと、そのマジックバックに入れてあります。」


マジックバックじゃとぉぉぉ!!」


 ビラルさんが絶叫する。うん、ビラルさんはさっき居なかったし。しょうがないよね。


 それを聞いたザッカールさんがマジックバックを開ける。・・・・何? この沈黙。。。


「ソーヤ、中身が空っぽだぞ!」


 え? 空だって???

 ・・・犯人はビラルまたはバルゴ、もしくは ”ヤス” なんて冗談はさておき、心当たりがある。


「ザッカールさん。たぶんそのマジックバックは、僕しか使えないと思います。」


 おれはマジックバックを受け取ると中に手を突っ込んだ。


  ”今、脳内でが流れている”


 角を掴んで取り出す。


「「「「 ! ! ! ! 」」」」


 バルゴさん、昨日見たんだから、そんなに驚かないで。


 取り出した角と、マジックバックを並べてテーブルに置く。明らかに納まるサイズじゃない。角を改めて観ると、波打った紋様がきれいに浮き出ている。


 ビラルさんが物凄く目を見開いていろんな角度から角を検分していたら、突然、大粒のなみだを流し始めた。


「この紋様・・・間違いない! バナソ川の河原の主、アリーシャの仇じゃ!」


「「「「 ! ! ! ! 」」」」


 な・・・なんだってぇ~~~!!!


 ビラルさんによると、オーガラビットの角はその個体ごとに特徴のある紋様が浮かびあがるらしい、生え変わっても同じ紋様になるという。


「丸2年、あやつの痕跡を追いかけて、抜け落ちた角を手掛かりにようやく巣穴のありか見つけたというのに、腰を痛めて動けず歯がゆい思いをしておったのじゃが。

 そうか、昨日喰ったあれはアリーシャの仇か・・・礼を言うぞ!ソーヤ!!」


 アリーシャさん・・・今朝言ってた  ”ばばぁ”  だよね。愛していたんだね。


 アリーシャさん・・・あなたは本当に愛されていましたよ。


 まだまだ、 尋問(お・は・な・し) は続く様だ。

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