第4話 そして旅立ち
膝から崩れ落ちたままのおれは、その後しばらく立ち上がれなかった。
チートだ! ヒャッハーだ!! と浮かれていた30分前のおれに、本気でアドバイスを送りたい。
「絶対に、事前に見ちゃだめだ!!」
『これで転生前の儀式はすべて終わりじゃ。
おぬしが受け取った加護・
使い方や困った時には祈りを捧げるのじゃ。
たぶん力になってくれるはずじゃ。』
現時点ですでに困っているんですけど。しかも「たぶん」ってあやふやすぎです。
それでも一応は人族の平均値の基本能力だし、下向いてばかりいても仕方ないよね。
それに辛い思いしか残っていない元の世界に生き返りたいと思ってないし。
生き返っても、あの汚部屋には未練はない。なによりもう一度あの煩わしい人間関係に悩むことはしたくない。
『先ほど伝えるのを忘れておったが、おぬしの心はまだまだ摩耗したままじゃ。
そのままでは、いずれ… まぁ転生後にいろいろと経験をするのじゃな。
そうしていけば、摩耗した心もそのうちに回復するじゃろ。新たな人生を楽しむのじゃ。』
今更疑問なんだが、
でもどうせ答えなんか教えてくれないだろうな。
考えるのは止めだ、もう一度生き直すチャンスをもらえたのだから。
精一杯生き抜いてやる!!
『ほっほっほっ、そうじゃ、深く考えんでも良いぞ。
たまたま選ばれた。それでよいじゃろ。
おっと、最後に一つ渡しておくものがある・・・ムゥ。
これでよいじゃろ。心の中でステータスと言ってみるがよい。』
ステータス? 能力の確認かな。
「ステータス!」
NAME: 〇〇〇〇 AGE:16 状態:転生前
LV:01 EXP:00
スキル たわし(L1)
加護 ???の加護
名前が空欄?
そっか、転生後の名前決めていなかった。
16歳か、十二支一周分、12歳若返ったのか。
レベルは・・・1 まだ何もしてないし、当たり前か。
各数値は 10前後が平均なのかな? おいおい調べていこうかな。
「いろいろと、ありがとうございました。」
『うむ。ではそろそろ送り出すかの。
場所は・・・人類が治める国の村につながる街道付近でよいか。
このあたりじゃな。
そうじゃな、太陽を背に歩けば、3時間程度で人が住む村までたどりつけるじゃろ。
では送るぞ。息災でな。』
あのコロシアムのような広場から、急に景色が切り替わった。
こうして、おれは異世界に転生した。
って、そう言えばこの世界の名前もこの国の名前も知らんけど?
ついでに金もないし、
無事に村までたどり着けるのかな?
あ・・・自分の名前も決めておかないとまずいな…。
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