第3話 嫌な予感しかしない。

『それでは、こちらに来るがよい。』


 また、排水口? と思ったら24柱のいる階段の真ん中から左右に分かれて、奥から何かが引き出されてくる。

 え? ちょっとまて!!! それはまずいだろ。


『『『『『うぉぉぉぉぉぉぉ・・・』』』』』


 24柱の神々の何とも言えない歓声が響く中、奥からずるずると引き出されてきたもの… あれは…

 見間違う事は無い、まさにあの仕掛けだ。


 巨大なホイール、そして中心から放射状に線で区分けされたアレ。


 ポピュラーな選び方って… これはよろしくないと思います!


『驚いたかの?

 選べると言っても、必ずしも欲しいものとは限らん。

 この程度の遊び心は有っても良いと思わんか?

 おぬしの居た世界を覗いておった時にの…

 テレビとやらで見かけて ”ティン!” ときたんじゃ。』


 そんな遊び心はいりません。

 ゼッタイダメ!

 ”ティン!” とこなくても良かったはずです。


 下手をしたら、転生前からまた心が灰色になってしまいますよ!


 アレェ? 区割りが結構バラバラだよね。

 最大で45度ぐらい、最小は2度ぐらいかな。

 一番大きなところは・・・ ”剛力” って書いてあるのが見えるな。

 一番小さいのは15m先から視力検査の2.0みたいな・・・

 こんなの細かすぎて読めるか!!!


『ほっほっほっ。大きさが違うのがキモなんじゃよ。

 より多くの信仰を集めた神の部分は大きくなっておるんじゃ。

 今は力の神が一番かの。

 気になるなら近づいてどんな加護があるか見ておくがよいぞ。』


 確かに気になるし、全部見ておこうかな。

 剛力以外で大きめのは…

「英智」「魔法」「医術」「剣術」「弓術」「疾走」・・・まぁ順当かな。

 小さいほうは…

「美容」「歌唱」「芸術」「調理」・・・なるほど。

 一番小さいのは・・・ はぁ? なんだこれ? 「たわし」 だと!!


 見るんじゃなかった。間違いない。絶対フラグだ。

 30秒前に戻れるなら、自分で自分を殴ってでも止めてたよ。

 でも角度は2度… ほとんど面積は無いから…

 多分大丈夫だよね、普通は当たらないよな。


『そろそろいいかの。説明するぞい。

 おぬしはその線のところから、このミスリル矢を投げるのじゃ。

 刺さった所の神の加護とそこに書いてある能力スキルがおぬしの物じゃ。

 ただし、どこにも刺さらん時は何も無しじゃ。

 では良いかの。

 皆の者! 掛け声じゃ。それっ!!!』


 刺さらなかったら無し、さすがに外すことは無いと思う。

 とりあえず的に当てればいいんだろ!

 確か、的を斜め45度に見据えて、肘がブレないように意識して。そこからあまり力を入れないで耳の横から…

 足元に浮き出てきた線に立ち、神々の掛け声を聞きながらミスリルダーツを構える。


『剛力!』『調理!』『た『魔法!』わ『剣術!』し!』『弓術!』


 覚悟を決めて、ミスリルダーツを投げた。

 ミスリルダーツは真っすぐに飛んで、回転するホイールに突き刺さった。



 ミスリルダーツの行方を確認した数秒後、おれは膝から崩れ落ちた。



 おれが放ったミスリルダーツは…

 見事に『たわし』のど真ん中に刺さっていた。

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