第2話 学内

結局、俺の体には何事もなく警察の人に保護された


この一件であの人がどうなったかも分からないし、あの人が言っていた犯人もどうなったかも分からない。だが是非とも悔いの残らない形で、警察の方があの人と向き合ってくれる事を祈る。



そして普通に大学に登校する日々が戻ってきた


でも、人からの視線を多く感じるようになったし、大学内でも少しばかり有名になってしまった


そして一人の男に声をかけられる


「ねぇ...あのさ...どうやったら自分より強い人に勝てるのかな...」


何か言いたそうにしているから話を聞いてあげることにした


「君が人質にとらわれてる動画みたんだ...なんというかすごかったよ!自分が不利な状況なのに立ち向かっててなんか...」


「あー。やっぱり見たんだね。でも別に不利じゃなかったからさ」


俺がそう言うと不思議そうに男が見てきた。

まぁ俺が過去を覗けるなんて知らないからだろう


それより動画の拡散力の怖さを知ってしまった。この現代社会においてインターネットというものは全くもう便利というか不便というか...


「へぇー。君本当すごい人なんだね。あ!ごめん名前言ってなかった!僕は葵松光あおまつひかり。君はなんていうの?」


正直俺の名前は言いたくないんだ

でも自己紹介なんてされたら言わない他なくなってしまうではないか


「ええと。じさお。支倉時差男はせくらじさお。」


「おー!いい名前だね。僕友達いないから友達になってよ!ひかりって呼んで。よろしく!」


あ、案外すんなりと受け入れてくれた

しかも、いい名前だなんてひっさしぶりに言われた


で、こんな事をひかりに相談された

なぜ友達がいないかそれで判明することができた


「僕こんな見た目だし...こんな喋り方だから、よく人から舐められるんだ...。昔から友達なんてできた事ない。だから君みたいに立ち向かうのが本当にかっこよくて、だから勇気出して声をかけてみたんだ...」


なるほど。だから声をかけてきたってわけか。

まぁ確かにひかりには全体的に覇気がないというか



「舐められないためのアドバイスくれないかな?君、すごいから何か僕に言ってほしいんだ。」


俺自身別に凄くもないし、アドバイスする程の面じゃないがまぁ一応


「眼鏡やめてコンタクトにするとか?あれだよ、あれ、なんかひかりは眼鏡かけてたら優しく見えるし少しは強く出ていいんじゃないかな?」


ひかりは目を輝かせて言った


「なるほどね!コンタクトにするのか!というか優しく見えるってなんか照れるけどそのアドバイス試してみようと思う」


そして数時間が過ぎて

俺らは去ることになった。LINEを交換して


家にて..........



はぁ。眠い。最近は色々な事があり過ぎたな


巷では風水の五大吉数てのもあるらしいが、

俺が人質になった例の一件が起こったのが3:29で足して32だし、テーブルに置きっぱなしのコンビニで買ったおにぎりとサイダーのおつりも32円。

32の意味は"出会い、チャンス、発展、幸運の連鎖、ドラマチック"


らしい。


確かにその通りかもしれん


これはまだ何か起こりそうな気がしてきた。



翌日


なんてこった

ベッドに入らず眠ってしまった。

日々の体調管理は自分でしかできないんだからこういうのだけは気をつけておこうと思っていたんだが。やはり一人暮らしも何かと大変だ。


そして家を出る。


「おはよう!」


ん?誰だ?と思ったが近づいてくるとそれはまるで印象が違うひかりがいた


「眼鏡外すだけで結構印象変わるんだな」


「そう?!いやーじさおくんがアドバイスしてくれたおかげだよ!」


あら。それならよかった


「まぁ、舐められることには変わりないんだけど」


なんだ。まだそこは変わってないのか。まぁ1日だけで変われる人なんていないからこれからも頑張ればいいんだ


「あ、ごめんトイレ行ってくる」


俺は尿意がきたのでトイレにいく

なんか小学生の頃はトイレで大便とかしたらからかわれてたけど中学からは普通にやってたな。そんなことどうでもいいんだけれど


「ふぅー。スッキリした。」


手を拭いて男子トイレから出た瞬間


腕を掴まれる


「ちょっとまって...!」


振り返るとそこには


黒髪ロングの女性が俺の腕をがっしりと掴んでいる


「え?なんですか...?」


「あなたどうやって犯人を揺るがせたの?あの状況で」


俺はびっくりして何を言っているのか理解するのに時間がかかった

しかし徐々に理解する


「人質のことよ。話題になってたわ」


あーなるほど。そう言うことね


「あなた、あの犯人と赤の他人よね?どうやって素性も知らない相手を宥める事ができたわけ?」


なんでそんなに問い詰めるように言ってくるんだ?この女は。

なにか見透かされているような、気がしてくる


俺はなんでもいいからこの場を逃れようとし、適当に答えた


「たまたまですよ。本当たまたま...」


「逃げないで」


そんなこと言われるとは思わなかった。すぐ終わるだろうと軽い気持ちがあったが予想外のことで動揺した。だから俺は言った。



「俺に何がしたいんですか」

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