イザベラと公爵の違い
「お話は簡単にお話すると、お父様は『おまえでは娘に釣り合わない』、レオルドさまは『わかっています。私は少しでもお嬢様の心の慰めとなれば十分なのです』と。身分など気にしなければ完璧な善良すぎるお人柄で悔やまれます。そんなレオルドさまにお父様は『娘を誑かした罪人め! そんなに娘といたければいさせてやる! 物言わぬ人形でな! 』そう言って───」
会話のキャッチボールしないタイプだ。
ボクも気持ち悪い。
……物言わぬ人形?
「その……物言わぬ人形とは? 」
レディイザベラはふっと瞳を伏せ、冷笑する。
「お父様のコレクションですわ。お父様はよく外出するので、監視が緩いときを見計らって探し当てました。存在すら隠蔽されていた地下室にございます。そこには……蝋人形となった美しい若者たちが美術館のように並んでいます。ご丁寧にプレートに名前まで掘って。そこに、顔のないレオルドさまもいましたの」
顔のない……。遺体の顔がポートワーグ氏だった理由か!
ヴィンセントとドクターは既に青ざめていた。
そうなるよな。
兄さんは……青筋を立てて必死に堪えている。
この人にしては頑張ってるな。
「……それは一刻も早く検挙すべき案件ですが、レディは生きた美しさを愛でる方であることから、死体愛好家である公爵に嫌悪されているのですね」
「ええ! その通りですわ! カナリアさまはやはり思った通りの方……」
恍惚として、眩しい。
形は違えど、兄さんと気が合いそうだ。
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