奇人公女イザベラ

「こう言っては不謹慎、なのでしょうけれど……『レオルドさまに懸想していた』こと自体が勘違いだったようですわ。お恥ずかしさと、レオルドさまへの申し訳なさで苛まれます。だってわたくし───『生きた美しい方を見つめる』のが最大のでしたのよ……」


ん? どういうことだ?


「レオルドさまも大層素敵なお顔立ちで、スタイルもよろしかったのです。けれど! カナリアさまのには敵いませんの! 」


褒められて嬉しいのになぜだろう、手放しで喜びたくない。


はここにあるぞ」


ほら、しゃしゃり出てきた。


「確かに殿下はを彷彿させるに余りある魅力をお持ちですわ。ですが、カナリアさまはの域なのです! 」


わかった。過大評価がすぎると言うか、変人なんだ。この公女様は。


「わたくしわかりましたよ……。お父様の発した言葉に引っ掛かりを覚えての反動を起こしたのですわ」


公爵が生理的に合わないとかいう話になったぞ。

『パパの洗濯物と一緒に洗わないで! 気持ち悪い』って言っている世の娘たち的な話か?

ボクは洗剤が勿体ないからと気にしないタイプだが、(そもそも父上とは産まれる前から別居しているが)感覚的には親近感を感じた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る