空気を読むイザベラ

「中に入れてもらえるか? 」

「はい! 度重なる失礼を致してすみません! どうぞおはいり下さいませ」

「……では公爵、頼んだぞ」

「は、はい。おまえたち、! 」


黙認人数より明らかに多い足跡が慌ただしく去っていった。


「ありがとう、公爵。次の会議ではあなたと少しでも懇意になれるようしよう」

「い、いえ! ありがとうございます! では私も下におりますので! 失礼致します! 」


異母兄あには笑顔で立ち去るのを見送った。


「さて、と。二人は窓際とドア前を頼もうか」

「殿下、信用されてないのですか? 」

「どう見ても何か隠しているであろう? ……では、レディ。 異母妹いもうとはあまり友もおらぬ! レディが懇意にしてくれていると聞き、嬉しく思う! 安心するといい! 俺が橋渡しとなり、いづれは婚礼を上げ、自由に、気兼ねなく交流出来るように取り測りたいと思っている! 」

「お、おにいさま! おおげさですよ! 」


棒読みになり掛けた。いきなり寸劇を始めるとは聞いてない。


「まぁ! 嬉しいですわ! わたくしも初めてお会いしてから、カナリアさまが大好きですの! そのカナリアさまのおにいさまと一緒になれたら二倍幸せですわね! 」


ヤバい、レディもノリノリで安い寸劇に参加してくれた。


「立ち話もなんですから、どうぞおはいり下さいませ」


クスクスと笑いながら通してくれる様は、とてもで好感が持てたのだ。

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