作戦1 遺体交換

「ボクとロバートの話はいい」

「いや、アダムとエバはともかく、なんでそんなになんだよ? 」

「確かに……。事件で遺体はよくご覧でしょうが、婚約者が亡くなっ───あ」


ドクターは思い出した。

ロバートの遺体と瞬時に察したカナリアの、ゾッとするほどの気迫を目の当たりにしていた。

ただ感情をコントロールすることに長けているだけで、という憤怒は出していた。


「? 」

「ドクター……。ボクはなどいない。きっとだ」


こほんと場を締める。


「話はそれたが、ドクター。遺体と交換は可能だな? 」


彼女の瞳だけはあのときの気迫が漂っている。

出来ないと答える選択肢はない。


「私の記憶に、レベルののご遺体が何体か思い当たる節があります」

「では、早急に衣服と場所を交換してくれ。盗んだ後に気がついても向こうさんは何も訴えられない」


たぶん、程度の仕事しか出来ない請負人だろうから。

違うと知っても、依頼人に話せはしない。


「盗まれるのは決まって夜半ですから、今から行動しても間に合いますね」


遺体を無下に扱ってはならないが、ロバートの遺体は取られる訳にはいかない。

証拠にもなりうるからだ。

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