『死体』を暴け
今、レディイザベラは懸想した相手の傍にへたりこみ、泣いている。
だが、ボクはすべておなじかを確認する余裕がなかった。
変わらない表情の中、内心違和感に似た既視感を感じる。
……嘘だと言ってくれ。
『顔』はレオルド・ポートワークと呼ばれた二週間前の死体と同じ顔。
似たような身長で傍から見ればおなじ体躯に見える。
だが、ボクは知っているんだ。
その身体は……───!
”「……こんな形で夢の時間が終わるとは思いませんでしたわ。依頼は破棄します。少なくとも、彼の所在は分かったのですから、亡骸を暴くような真似はしたくありません。連れてきて下さり、ありがとうございました」”
おなじ台詞とともに、同じ場所まで見送る。
そういうことか……。
事務所に帰るふりをして裏路地を利用し、ボクは警察署に舞い戻った。
───彼女の話には意味があった。
「……ドクター・エレキエル」
「お待ちしていました。レイドール小伯爵さま」
「単刀直入に言う。今回のポートワーク氏は───ロバートだな? 」
自分の口の中がギリっと音を立てた。
「……流石でございます。五年もの間パートナーをされていただけはあります」
「敵さんはとんだヘマをしたものだ。………脳筋野郎の筋肉と染み付いた太陽の恩恵を完全に消せるわけがないよな」
ドクター・エレキエルは柔和な顔を引き攣らせていた。
今のボクの顔はそれほどまでに───怒りに歪んでいた。
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